まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

フィリピンの会社:定款変更による解散

2016-08-12 21:37:14 | 商事法務
○ フィリピンの会社設立については、2015年5月26日のブログで記載しましたが、今回は会社の解散についてです。解散については会社法XIV章 DISSOLUTION117条以下に規定していますが、会社法だけでは解散できませんね。労働雇用省(Department of Labor and Employment = DOLE)、地方自治体(Local Government Unit = LGU)、国税当局(Bureau of Internal Revenue = BIR)、社会保障関連機関(Social Security System = SSS, Philippine Health Insurance Corp. = PHIC, Home Development Mutual Fund = HDMF)などへの手続きも必要です。詳しい申請先と提出書類等はJetroが資料を作成しています。このJetro記載の手続きがほぼ終了した後の具体的手続き、例えば、新聞公告の事などがJetroの資料には載っていませんので、それらについて記載してみましょう。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/ph/invest_09/pdfs/ph12B010_kaishaseisan.pdf

○ 会社の解散については、会社法Sec. 118. Voluntary dissolution where no creditors are affected. Sec. 119. Voluntary dissolution where creditors are affected.及びSec. 120. Dissolution by shortening corporate term.という3通りの方法があります。Jetroの解説にはこの3通りがあることが記載されていません。しかし、中身を見ると「企業存続年数短縮を決議した取締役会決議書(SEC、BIR提出用と同じもの)(Certificate of Board Resolution attesting to the shortening of corporate )」等と記載しているのを見ると、120条に基づいて解散する前提で書いているようです。前提はきちんと書いてほしいですね。

○ 日本の大企業の現地子会社の場合は、一般的に債権者に影響のある解散はしないでしょうから118条か120条の解散ですね。この中で便利なのは、120条の定款変更で会社の存続期間の短縮による解散ですね。
「A voluntary dissolution may be effected by amending the articles of incorporation to shorten the corporate term pursuant to the provisions of this Code. A copy of the amended articles of incorporation shall be submitted to the Securities and Exchange Commission (= SEC) in accordance with this Code. Upon approval of the amended articles of incorporation of the expiration of the shortened term, as the case may be, the corporation shall be deemed dissolved without any further proceedings, subject to the provisions of this Code on liquidation.」と規定されています。

○ ここでは、従業員関係の対応、即ち、上記のDOLE、 SSS、PHIC、HDMF等への対応は一応目途が立った時点以降の、主として会社法関連の手続きの話をします。

1) 株主総会の特別決議(2/3以上)で解散を決議して、その詳細は取締役会に委任します。企業存続年数短縮を決議した取締役会決議書が、監督官庁への提出が必要だからですね。
2) 取締役会で定款変更決議(会社の存続期間を2017.x.xxまでと変更)
 →定款変更の取締役証明が必要
3) 解散通知の新聞公告の掲載(3回)→この証明書
4) 事業を停止し、現在行っていない旨の取締役の宣誓供述書
5) 債権者には全て弁済し債務が存在していない旨の取締役の宣誓供述書
6) 会社Secretaryの係争中の訴訟案件は無い旨の証明書
7) 税務債務不存在の税務署の証明書

上記を取り揃えて、SECに提出すれば、SECからの定款変更の証明書がでます。これにより定款に記載した期日をもって清算完了で、「the corporation shall be deemed dissolved without any further proceedings, subject to the provisions of this Code on liquidation.」。3年間の訴訟に備えた存続の定めの部分を除いて清算結了、残余財産分配が可能になりますね。




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