まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

株式移転による少数株主排除

2009-02-08 21:47:24 | 商事法務

     少数株主整理・排除の方法については、先のブログで書きました。

http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20080628

先のブログ↑では、主なものとして、①全部取得条項付種類株式を利用する方法、②現金合併方式、③吸収分割方式、④株式併合方式、及び⑤単元株制度の導入を取り上げていますが、今回は株式移転を利用した方法について考えて見ましょう。

少数株主を、整理・排除する方法は、一般的に特別決議の承認が必要ですので、議決権の2/3以上を保有した(横暴な?)株主(株主グループ)しか出来ませんね。少数株主権等持っていても歯が立ちません。資本多数決の論理は、やはり金の力がものをいう世界です。

     では、株式移転を活用した少数株主排除の方法とはどのようにすればよいのでしょうか。

利用する会社法の規定は以下ですね。

1)  234(一に満たない端数の処理)IIX号により、株式移転をする株式会社の株主は、1株未満のときは、一括売却により得た金銭の交付で、株主(社員)権を失います。

2)  773条①V&VIでは、総会承認を取る株式移転計画書では、以下を規定するように定めています。

V   株式移転設立完全親会社が株式移転に際して株式移転完全子会社の株主に対して交付するその株式に代わる当該株式移転設立完全親会社の株式の数又はその数の算定方法並びに当該株式移転設立完全親会社の資本金及び準備金の額に関する事項

VI  株式移転完全子会社の株主に対する前号の株式の割当てに関する事項

3)  一方、会社法は、1株の出資単位の規制がありません。(出資単位の廃止は、旧商法でH13年6月になされていますが)

     一番単純・極端な例をあげましょう。

       A社の純資産5億円 発行済普通株 1万株、1株の価値 5万円/

       株主X= 2/3以上で6,667(66.67%)保有、株主Y3,333(33.33%)保有

       株主Xが、A社取締役に株式移転計画を作成させ、新設の完全親会社(B)の株式の出資単位を1株=25000万円としたらどうなるでしょうか。

       A社株式5,000株がB社株式1株になりますね。この場合、一株未満の端数合計(株主X保有分=1,667  株主Y保有分=3,333株、合計旧株5,000株=)即ちB社株1株を、競売等では売れませんので、裁判所の許可を得て株主Xが購入するわけですね。株主Xは、この株式購入代金25000万円のうち16665万円を株主Yに払えば、自分は完全親会社の全株式=2株の株主になれます。即ち株主Xが会社なら、B社その100%子会社となります。その後はXBAとも100%子会社・孫会社ですから、煮ても焼いても好きなように。即ち、BA社を無増資の吸収合併することも出来ますし、出資単位を切り下げるため株式分割も出来ます。自由ですね?あくどいやり方ですね!

           もし上のケースの場合、B社の出資単位をA社株6,000株相当としたらどうなるのでしょう?1株だけになりますね。残りは0.67(=4000/6000)株となります。端株制度がなくなりました。234条では、「端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し」と記載していますが、端数の合計数が1株に達しません。ということは括弧書が適用されます。「これを切り捨てるものとする」と規定しています。

○ これを切り捨てたら、株主Yは激怒でしょうね!!訴訟に発展しますね。831①(株主総会等の決議の取消しの訴え)により、著しく不公正ということで、争えば決議が取り消されるでしょう。上記の例は極端なケースです。しかし、2%とか3%の株主を切り捨てるために交換比率を調整すればどうでしょうか?また、そういった少数株主も、金と時間と労力をかけて訴えで争うでしょうか。結局、はした金をもらって泣き寝入りではないでしょうか?

まあ、今の会社法はこういう悪い使い方も出来るわけですね。


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