まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

米国での再販売価格維持行為の許容範囲

2011-07-03 16:27:50 | 商事法務

  米国独禁法と言いますと、厳しいということで有名ですが、緩和されている分野もあるようです。価格に関する協定は全て違法(per se illegal)とされていましたが、再販売価格維持行為(resale price maintenance=RPM)については、合理の原則(rule of reason)により判断され、競争制限的で無い場合は違法では無いという米国最高裁判決も出ていますので、今回はその話です。

  Sherman Act § 1. Trusts, etc., in restraint of trade illegal; penalty Every contract, combination in the form of trust or otherwise, or conspiracy, in restraint of trade or commerce among the several States, or with foreign nations, is declared to be illegal. Every person who shall make any contract or engage in any combination or conspiracy hereby declared to be illegal shall be deemed guilty of a felony(重罪), and, on conviction thereof (有罪として), shall be punished by fine not exceeding $100,000,000 if a corporation, or, if any other person, $1,000,000, or by imprisonment not exceeding 10 years, or by both said punishments, in the discretion of the court. http://www.law.cornell.edu/uscode/uscode15/usc_sec_15_00000001----000-.html

  米国独禁法では、一定の行為はそれ自体悪質であるため、実際に競争を制限しているか否かを認定するまでもなく当然に違法(per se illegal)とされています。価格協定はその典型であり、競争関係にある同業者と行う水平的取引制限(horizontal restraint)のみならず、流通の上下間で行う垂直的取引制限(Vertical restraint)、中でも価格制限(price restraint)は違法性が高いとされます。

  しかし、RPMでも一概に競争が制限されるものではなく、競争を促進する効果もある場合があると。即ち善玉RPMと悪玉RPMがあって、限定的ですが善玉RPMなら、競争促進的な性格も持っており、これは独禁法違反では無いのではないかと以前から主張されていましたが、これが最高裁判所によって認められた訳ですね(州の独禁法で認められるか別問題ですが)。まあ、ビジネスは単純に○×クイズで回答は出ないですから、現実的には善玉・悪玉の区別は難しい場合も多いと思いますが。

  まず、合理の原則とは何かですが、RPMは、製造業者が販売業者の販売価格をつり上げるために行われるというよりも、販売業者に適正なマージンを保証することにより当該商品の販売活動に注力せしめることを目的とするのが普通であって、他の製造業者との競争(interbrand competition)が促進されるという効果が期待できる。従い、行為の目的・種類・効果等を分析して不当に取引を制限する場合は違法であるが競争が促進される場合は合法とする「合理の原則(rule of reason)により判断されるべきであるというものです。

  Rule of reasonを認めたケースは以下ですね。Wikipediaによると以下の様に言っています。Leegin Creative Leather Products, Inc. v. PSKS, Inc., 551 U.S. 877 (2007), is a US antitrust case in which the United States Supreme Court reversed the 96-year-old doctrine that vertical price restraints were illegal per se under Section 1 of the Sherman Act, replacing the older doctrine with the rule of reason. このケースでは本件のMinimum Resale price maintenance即ち最低再販売価格維持行為は違法では無いとの判決です。

  では親子会社間でのではどのように考えれば良いでしょうか。特に100%子会社との間でSherman Act1条違反の共謀は成り立つでしょうか。これについては19846月に従来の判例を変更して、「親会社とその100%子会社は異なった経済的利益を追求する異なった経済単位とみるべきではなく、従ってSherman Act1条上はsingle integrated enterpriseと見るべきでありその間では共謀は成立しえない」という判決を最高裁が出しました。暇な方はこちら↓をご覧下さい。私も読んでいません。

U.S. Supreme Court Copperweld v. Independence Tube, 467 U.S. 752 (1984) http://supreme.justia.com/us/467/752/case.html

20110629


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