○ 今回は、大昔英文契約書に接したとき、「Joint and Several Liability」という言葉に出くわしました。なんじゃこれ? Joint=共同ですね。Several=「それぞれの」という意味ですね。英文契約書を読むと、どうも「連帯債務」という意味らしいと言うことが分かりました。今回は、英文契約書でときどき出くわす、Joint and/or Several Liabilityの話です。
○ 多数当事者の債務関係では、”Joint Liability”, “Joint and Several Liability”,と “Several Liability”の3つの態様がありますね。結論を先に言いますと、それぞれ、日本法の類似概念として、「不可分債務」、「連帯債務」、「分割債務」と考えれば良いのではないでしょうか。しかし、最近では、Joint Liabilityは、Joint and Several Liabilityと殆ど同じ扱いになってきている様ですね。
○ Several Liability:
これは、簡単ですね。例えば、「XとYは、Aに対して、それぞれUS$1,000支払う」というものですね。即ち、Aは、合計US$2,000の債権を保有していますが、Xに対して$1,000、Yに対してUS$1,000しか請求出来ません。
・債務は、各債務者毎に独立しており、債権・債務の数は、債務者の数だけ存在することになりますね。従い、請求・訴訟は、債務者毎に個別になりますし、債務者1人に対し債務免除しても、他の債務者の債務には影響しませんね。
○ Joint and Several Liability:
これは連帯債務ですね。即ち債権・債務の数は1つですね。債権者Aは、債務者X,Y,Zの三者に対して履行の請求が出来ますし、例えばxにのみ債務の全部の請求ができますね。X,Y,Zは、Aに対する関係では(金銭債務の場合は)全額を支払わねばなりませんね。債務者一人に対する免除は、当該債務者の負担部分を減じた残りの債務を、それ以外の債務者が負担します。また、一人の債務者が全額を負担した場合、他債務者には、各自の負担部分(Contribution)を負担するように請求出来ますね。
○ Joint Liability:
これは不可分債務なのですが、結論を言いますと、米国ではJoint and Several Liability (連帯債務)と同じになっています。この債務は、債権者と債務者集団間では、一つの債権債務関係であり、これを厳格に考えると債務者全員を一括して訴えなければならないなど厳しい条件でした。しかし、Joint and Several Liabilityと性質は同じであるにもかかわらず、債務が、いずれであるかと判断されることにより、履行の強制方法が異なったものになるのは妥当ではないし、また債権者保護の視点なら言って融通性がかけるのではないかということで、結局Joint and Several Liabilityと同じ扱いになったということですね。
○ 上記なので、結局、Several Liabilityなのか、Joint and Several Liabilityなのかということですね。
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