○ 東京証券取引所は、経済産業省の企業統治研究会の「企業統治研究会報告書(H.21.6.17)」等を踏まえて、有価証券上場規程を一部改正して、独立役員選任義務化とその開示などを行うことになりましたね。
○ 一方米国証券取引委員会(SEC)は、8月25日、公開企業の主要株主が取締役を指名し選任できるようにする規定を定めましたね。↓
http://www.sec.gov/news/press/2010/2010-155.htm
一部を抜粋すると以下ですね。This "proxy access" is designed to facilitate the ability of shareholders to exercise their traditional rights under state law to nominate and elect members to company boards of directors. Under the rules, shareholders will be eligible to have their nominees included in the proxy materials if they own at least 3 percent of the company's shares continuously for at least the prior three years.
(少なくとも、(議決権ある株式の)3%を3年間保有している株主に取締役を指名する権利を付与する)
○ 東証の独立役員選任義務化は、取締役会の活性化について少しは貢献するかもしれません、勿論選任された独立役員の器量・見識などにもよりますが。しかし、取締役会の活性化という視点では、まだまだ道は遠いですね。理由は以下です。
・大企業では、取締役会決議は形式的儀式であり、実質上、社長室会・経営委員会で決定されている。
・大企業の取締役会では、案件が多数あり、案件ごとに実質的な議論等されていない。
・取締役会は、オフィシャルの決議機関であり、背後事情や不都合な事を隠して、議題を提示する。
・独立役員(社外役員〉は、月に一度の取締役会だけに出席して、会社の内情・事業の詳細など理解していない。
○ 会社の事業報告には、社外役員の主な活動状況を記載することになっていますね(会社法施行規則124条)。いくつかの会社の事業報告を見ましたが、社外役員が活躍した記載が全くありません。「経験豊富な経営者の観点から発言している」ぐらいしか記載がありません。また、施行規則には、「当該社外役員の意見により当該株式会社の事業の方針又は事業その他の事項に係る決定が変更されたときは、その内容(重要でないものを除く。)」を記載することになっていますが、こういった記載は(あるかもしれませんが)私は見たことが無いです。
○ 相変わらず取締役会は活性化していません。原因はどこにあるのでしょうか。主な原因は、①社外役員の指名は、現経営陣が行うということです。自分を指名してくれた経営者にたてつく人は少ないということです。②現経営陣の方針を堂々と批判する「うるさい取締役」がいないと言うことです。
○ ではどうすればいいでしょうか。方法は簡単です。①累積投票排除の定款規程を、公開会社(又は有価証券報告書提出会社)には認めないことです。これにより一定比率以上の議決権を保有する株主は、役員を指名し選任することができます。また、② 議決権比率10%以上保有の株主は、取締役指名の義務を負わせる、あるいは少なくとも指名できる権利を付与する事です。
関連の私のブログは以下です。
2009/05/24 企業統治強化は累積投票制度復活から
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