○ 監査役は、取締役の職務の執行を監査する機関ですね。職務・権限=義務は、業務全般(会計監査を含む)の監査であり、内容は会計監査と業務監査ですね。監査とは、業務執行の法令・定款違反または著しい不当性の有無をチェックし指摘する事ですね。
○ 一方、内部統制の目的は、①業務の有効性及び効率性、②財務報告の信頼性、③事業活動に関わる法令等の遵守、並びに④資産の保全の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいい、統制環境・リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応の6つの基本的要素から構成されるとされています。
・ また、内部統制の整備・運用については、取締役会が決定した基本方針に基づき経営者(組織の代表者=代表取締役)は、内部統制を整備及び運用する役割と責任があるとしています。監査役(&監査委員会)は、取締役の職務の執行に対する監査の一環として、独立した立場から、内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する役割と責任を有しているとしています。
○ 日本の内部統制制度は米国SOX法の、猿まね簡易化修正版ですね。ご承知の通り、米国の企業には監査役はいません。日本には監査役制度があります。監査役は上記の通り権限と義務を負っています。内部統制の目的との関連で言えば、②の財務報告の信頼性確保と監査、③の事業活動に関わる法令等の遵守チェックが監査役の仕事となります。なぜせっかく監査役制度があり、監査役がいるのに、脇役へと監査役を追いやるのでしょうか。なぜ内部統制を日本版に焼き直すときに、もっと日本の会社と米国企業との構造的な違い等を十分検討しなかったのでしょうか。だから、私は猿まね簡易化修正版というのです。
○ 監査役については、任期を長くしたり、取締役会の出席義務等も導入したりして機能強化に取り組んできましたが、うまく行っていません。監査役会では半数以上を社外監査役としました。一ヶ月に一度ぐらいしか会社に来ない社外監査役など実態としては何の監査もしていません。取締役会にでて、少しコメントしているだけです。
○ 監査役にもう少し働いて貰わないといけないですね。その一つの契機が内部統制制度だったと思います。内部統制構築で、取締役は監査役の意見を聞いて構築するとか、監査役と協力して構築すべきであるとかすべきだったですね。またまた監査役が無視されました。特に会計監査人が設置されている会社では、監査役の会計監査は、会計監査人にお任せです。監査報告書には、「会計監査人が適正な監査を行っているか監視・検証し、その職務執行状況について報告を受け、必要に応じ説明を求めました」ぐらいの事しか書いていません。監査結果については、「監査法人の監査の方法及び結果は相当」としか書いていませんね。
○ 会社法立案担当者も監査役をないがしろにしている嫌いがありますね。会計監査人設置会社に、業務監査権限を有する監査役・監査役会を設置しなければならないとしたのは、監査役等は会計監査人の選解任に関する議案についての同意権等を有しており、この制度により会計監査人の独立性が担保されるからとしています。(一問一答 新・会社法112ページ)。会計監査人設置会社の監査役の機能は同意権ですか?なぜもっと働かせないのですか。機能を与えて活性化しようとしないのですか?監査役制度の無機能化をいつまで、空洞化、形骸化、放置するつもりなのでしょうか?
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