オーストリアのアルプスで生きるある男の人生を描く映画『ある一生』を見ました。人生の意義を考えさせられるいい映画でした。
孤児が、とある農場主に預けられる。農場主はその孤児を奴隷のように扱う。大人になると、その孤児は農場主に逆らい、自分の力で生き始める。男は真面目に働き、結婚する。しかし、その幸せは雪崩によって壊される。妻は子どもを身ごもったまま死んでしまうのだ。男はその後の人生で亡くなった妻に手紙を書き続ける。年老いた男は、自分の人生を振り返る。そして人生はほんの狭間の時間にすぎないと悟る。しかしその狭間の時間こそが貴重なものであることを観客は知るのである。
自分も年を取ってきて、確実に余生の方が短くなってきている。死を意識し始める年代である。しかしこれまでの人生が長かったのかと言われると、本当にあっと言うまでしかなかった。毎日毎日辛くてたまらない時もあったが、振り返ればそれは一瞬である。生まれてから死ぬまでは、「狭間」でしかない。その狭間は大したものではないかもしれない。しかしその狭間はいとおしい。
最後の最後まで自分の人生を豊かにするように生きていきたい。そんな気持ちにさせる映画だった。
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