朝日新聞の「折々のことば」より引用します。
「嫉妬するわたしは四度苦しむ。(ロラン・バルト)」
このことばについて鷲田清一さんが次のように説明します。
嫉妬している人は、自分が排除されたことに苦しみ、自分が嫉妬という攻撃的な感情に囚(とら)われていることに苦しみ、その感情が愛する人を傷つけることに苦しみ、そして自分がそういう凡庸な感情に負ける「並みの人間」であることに苦しむ。いずれの局面でも自分を外せない。人であるとは難儀なことだ。フランスの批評家の『恋愛のディスクール・断章』(三好郁朗訳)から。
「嫉妬」というのは人間の、あるいは動物の特有の心です。これほど厄介なものはありません。なぜ「嫉妬」はあるのでしょう。「嫉妬」がなければどんなに人間は幸せになれるだろう、そんなことを考えながら、「嫉妬」との戦いにつかれながら人間は生きています。
しかし、考えてみれば「嫉妬」がない世界は人間の世界ではありません。「嫉妬」とともに生きていくのが人間なのです。「嫉妬」に苦しみながら生きていく、それこそが人生なのです。
「嫉妬」は「自分」を大切にしたいという心の表れです。「自分」ほど厄介なものはないのです。
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