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覆屋が新しくなったワット・チェンセーン古窯址

2018-05-06 07:34:49 | 窯址・タイ

去る4月30日、2015年以来3年振り3度目のワット・チェンセーン古窯址である。3年振りで変化していたのは、窯体に新しい覆屋が設けられていた点である。窯跡はワット・チェンセーンの対面であるが、その道路脇には写真のモニュメントが設置されていた。これは従来なかったものである。

モニュメントのトップには青磁鉄絵双魚紋盤(今できではあるが)を埋め込んでいる。う~ん。ようやく整備する気になったのか・・・。

奥をみると立派な覆屋が建っている。四方に回廊が設けられ、あらゆる角度から窯体をみることができる。

そこまでは大変結構、写真を見て頂ければ分かるのだが、四方がスケスケである。これでは豪雨の場合、周囲から土砂が流れ込んでくる。土砂が流れ込み風化しないような処置が必要だがそれはない。何処か抜けているが・・・う~ん。

何時だったかすぐに思いだせないのだが十数年前の現場である。窯体のまわりに土砂が流れ込んでいる様子がお分かりいただけるであろう。今回覆屋が新しくなっているが、この土砂流入防止の処置が何もなされていない。更に風化も進んでいる。抜本的な保存処置が必要であろう。

訪問目的は、鉄絵陶片の表採である。ワット・チェンセーン窯で用いられた鉄絵顔料成分が、どのように分布しているであろうか分析したいがためで、蛍光X線分析である。この方法では年代分析はできない。従って広い年代の顔料成分分析は可能で、ワット・チェンセーン窯産の判断に用いることが可能である。

過去11点の鉄絵サンプルを表採している。これに今回、以下のサンプルを表採した。

今回6点の鉄絵陶片を採集した。翠色に発色した鉄絵陶片で双魚文盤や草花文盤片である。これで合計17点の鉄絵陶片になり、それなりの分析になろうかと考えている。

それにしても、写真のような全長3m程の窯で、青磁が焼成できたものと感心する。やや酸化がかり、麦色というか人肌色にみえる陶片も存在するが、翠色の陶片が多い。これらは還元雰囲気での焼成が必要である。従って炉内への空気の流量を制限し、炉内圧力を高めて還元状態にする必要がある。ちっぽけと云えば語弊もあろうが、写真のような窯で還元焼成できたものと感心する。そのような訳で崩落も頻繁に発生したものと考えられる。帰国後、多分来年であろうが、分析にかけたいと考えている。

 

 


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