稲垣潤一さんのコアなファンの間では、全曲、秋元康作詞によるこのアルバムの評判は、ちょっと微妙だった。前年の暮れには「クリスマス・キャロルの頃には」の大ヒットで、稲垣さんの圧倒的な「声力」が再び注目を浴びていた頃のニュー・アルバムである。
私としては、前作・前々作のSKETCH OF HEART, WILLが、もう完全に「守り」に入っていて、ヴォーカルやサウンドにも劣化の兆しが見られることに大いに不安を感じていたこともあり、注目を浴びている中でリリースされた、このFOR MY DEARESTは「よくぞ土俵際で踏ん張ってくれた」と思ったものである。今でも、そんなに悪いアルバムだとは思っていない。
ところが、この年のツアー・ライブの最後のコメントで
「これまでのように、細かい音程やアレンジのミスも許さないような完璧な音作りを目指すのではなく、これからは、技術を超えた何かを伝えられるような音楽を作りたい」という内容の話をした時(言葉の詳細は覚えてないです。でも内容はこういうものだった。)私は焦った!!
そんな!…そんなのは稲垣さんじゃない。なに考えてるの?
あなたは、[あなたじゃないあなた]になるつもり?!
稲垣さんは「類まれなヴォーカル」と「あまりにフツーの人間性」のミックス具合が魅力だったのだけど、この頃から、稲垣さんの「ひとりの人間としての、あまりのフツーっぽさ」に、「言いようのない危うさ」を感じるようになっていった。
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aoniyoshi
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