大きな盛り上がりのうちに終わった日比谷シアター・クリエで上演された『ジャージー・ボーイズ』さっそく再演のアナウンスもあったとのことです。
私は7月7日の公演を観ましたが、それを観ての感想など、何回かに分けて書いていきたいと思います。(当初は26日にも行く予定を立ててチケットも購入していましたが、都合で行けず、チケットは知人に譲りました。大変喜んでもらえて、こちらも嬉しかったです)
(1)では、日本版上演に至るまでの自分の思いというか…そういう話になると思います(たぶん)(脱線したらスイマセン)
日本版を、私よりも早い時期に観た人たちから、日本版の独自演出については事前に耳にしていて、まぁ…私は、これまで馴染んできたものとかなり異なるものを見せられたとしても「驚かない」「狼狽えない」という心の準備もできていたわけですね(笑)
で、いよいよ7日に劇場で観たわけですが…上演時間ずっと「涙ぐんでいた」と言っていい。
日本版の演出はかなり独特ではあったけれど、私にとっては、披露される綺羅星のような曲の数々もさることながら、劇中さりげなく差し挟まれる曲、つまり中景、後景としての音楽の使い方がオリジナルと同じだったことがかなり好印象でした。翻訳脚本や楽曲訳詞にもセンスの良さが感じられて…ただただ胸がいっぱい。演出も良く考えられていて、とてもいいと思いました。(演出についての話は日を改めて)明らかに、どの一瞬を切りとっても、私が愛し続けてきたジャージー・ボーイズでした。やっぱ…これは泣くよ~
思えば、2005年11月にブロードウェイでオープンし、翌年のトニー賞作品賞を受賞。その後まもなく、ラスベガス、ロンドン、メルボルンでも開幕、ツアーはどこへ行っても大盛況でシカゴやトロントではシットダウン。BWではチケット取れず…
海の向こうではこれほどの大人気ショーであったにもかかわらず、最初の数年間は、日本では殆ど話題になりませんでした。
いや、フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズや同時代の音楽に詳しい方、洋楽ファンの方は早くから注目していらっしゃいました。日本を代表するフォー・シーズンズ・ファンとしても有名な山下達郎氏はこのために渡米、鑑賞された後は、劇中で使われる音楽の選曲の妙を興奮気味に自身の番組で語っておられたそうです。
とにかく、ジャージー・ボーイズに、日本でもっとも早い時期から注目していたのは音楽関係の人たちだったと言ってもいいでしょう。私も、そういう人たちからたくさんのことを教わり、いっそうこの作品への愛着が増したものでした。
ただ、舞台劇としてのジャージー・ボーイズは、実在のミュージシャンをモデルにしてはいるものの、ドキュメンタリーではなく、あくまでも創作であって、私にとっては、むしろ劇としての魅力に溢れているものでした。そういう部分も、もっと注目されれば!…と、どれだけ思ったか分からないけれど…残念ながら、演劇関係者の反応には冷ややかなものを感じていました。
結果、舞台が好きでときどきBWに出かけるという人たちの間でも「ジャージー・ボーイズ」は観劇リストの上位には決して入らず(苦笑)「あくまでも洋楽に興味のある人向き」…あるいは、たまたま本作を鑑賞した人でも「単なる音楽ライブ」「所詮ジュークボックス」「ドラマ要素は薄い」なんて感想ばかり…
「このストリーは、日本人に共感できるものであるはずなのに…」「フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズの曲にしても、日本人には馴染みのあるものが多いのに…」「日本人にはハードルが高いけれど、でもあの脚本を熟読してもらえれば…」ジャージー・ボーイズが日本でなかなか日本に浸透していかないことに切なさを覚えながらも、拙ブログでマニアックに盛り上がっていた数年間でした。
一気に動いたのは2年前のイーストウッド監督による映画版が公開されてから。舞台版に馴染んでいる米英の観客からは歓迎されなかったものの、日本では高評価の話題作となったのは記憶に新しい。あまりの日本での受けの良さに、向こうのファンもビックリしてました。私としては…まぁ、映画を観て泣くことはなかった(笑)だいたい、当時は日本国内でジャージー・ボーイズの舞台版を観たことがある人なんてごく少数だったし、映画派の人たちから「元がミュージカルだそうだけど、ドラマとしても面白い映画になってるってのは、やっぱりイーストウッドの手腕だろう」なんて普通に言われてましたしね(これも、今となっては懐かしいな~)
それから、昨年の北米ツアーキャストによる来日公演があったわけです。
その来日キャストで昼公演のフランキーとして出演したミゲル・ホアキン=モアランドが向こうのインタビューで語っていたことです。
「この脚本には無駄な台詞は一つもなく、どの台詞も劇中のどこかの台詞と関連している。極めて優れた脚本」
私は、ミゲルの心のこもった(血が通った…とも言える)演技が忘れられず、チャンスがあったらもう一度観たいフランキーであります。インタビューなどでは、知的に、明快に作品論を語る人でもあります。
とにかく、(ミゲルも熱く語るように)「この脚本の素晴らしさは、限られた字数の字幕で筋を追うだけの来日公演でも十分には伝わらない。(事実、来日公演の字幕には疑問符がたくさんついた)とにかく、このジャージー・ボーイズという作品の本当の面白さは日本語で上演しないと絶対に分からないはず」という思いは日に日に強くなっていきました。
日本語にすると、元々の英語のジョークが伝わりにくかったり、韻律が壊れることがあるとしても(ミュージカルの場合はここを重要視する人も少なくない)それでも、日本語で演じることのメリットの方が絶対に大きいはず。もう「ライブの合間にエピソードを挿んだだけ」とは言わせない!…なんてね(笑)
まぁ、そんなで日本版ジャージー・ボーイズに臨んだわけですが、最初に書いたとおり、ずっと涙ぐんでいたわけですよ。
BW版と日本版の演出の違いで面白かったところなどは、またあらためて書きます。
今日はここまで。
読んでくださってありがとう。
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