重要なJersey contractのシーンです。
ボブ・ゴーディオとフランキー・ヴァリのやりとりも重要なのですが…これを、陰で聞いている人に注目です。
…舞台では、この人ではない…
Jersey Boys Movie CLIP - Jersey Contract (2014) - Christopher Walken Musical HD
ボブ:…お互いに協力するのさ。僕が曲を書いた分の半分を君にあげるから、君はグループを離れてレコーディングをした分の半分を僕にくれる。
フランキー:グループを離れてレコーディングだって?
ボブ:まぁ、いずれそういうことになるさ。
フランキー:トミーやニックはどうするのさ?だって、ニックは僕に歌を教えてくれたし…トミーは、何というか、奴がいなかったら僕たちはここにいないよ。
ボブ:あの二人の取り分までは侵害しない。
フランキー:じゃあ、ふたりに言わなきゃ。
ボブ:もちろんさ。
フランキー:ところで…それがうまくいったら、サックスを入れる話をしようぜ。
ボブ:それがうまくいったら、ホーンセクション丸ごと入れる話ができるさ!
フランキー:わかった、乗るよ。
ボブ:よし!じゃあ、誰かに契約書を書いてもらわないとな。
フランキー:弁護士の紙切れにサインを書くって?君がやりたいんなら、やればいいだろ。契約が欲しいのか?じゃあこれだ…ニュー・ジャージー式の契約だ。
以下、ネタばれ注意!
ここは、Sherry, Big Girls Don't Cry, Walk Like a Manの3連続ヒットを飛ばした後のシーンです。ボブの方は、Short Shortsのヒット曲を出したものの、一発屋で終わってしまった苦い経験があり、とにかく、この3連続ヒットで満足せずに、さらに先を考えておくべきだと実感していたのでしょう。それにはフランキーの「声」はどうしても必要。そして、グル―プに見え隠れする裏社会とのつながりも払拭したい。
そして、フランキー役のジョン・ロイド・ヤングの演技も上手いです。他のフランキー役で舞台で観ていたときは、ここのシーンでのフランキーの真意というのが、なかなか理解できなったのですが、昨年、ジョン・ロイド・ヤングの演技を観て「ピン」と来たものがありました。とにかく、ジョンの演技には、これまで私自身がずっと解釈に苦しんでいたところのすべての「答え」があって、ステージドアで思わず私はジョンに「あなたの演技が答えでした!」と言ったのですが、それを聞いたときのジョンのきらりと光った眼を私は忘れていません。
このときのフランキーは、ボブの考えていることがすべて理解できているわけではなかったと思うのですが、(サックスの話がそれを表しています)最初は「何のこと、それ?」と言いたげな表情を見せていますしね。知的なボブに理詰めで語られても、フランキーの理解には限界がある…それでもボブに大きな信頼を寄せていましたし、なにかの新しいきっかけになりそうな気配は十分に感じ取れたのでしょう。とりあえず「乗る話」である…という直感が働いたのでしょうね。
そして、契約云々と言う話になると、フランキーの口調は力強くなります。トミー、ニックという古い仲間を置いて新しい世界に踏み出そうとしているのではあるけれど、でも、それだからこそ、古いニュー・ジャージーのスタイルだけは守りたい、僕たちはジャージー・ボーイズなんだから…と。
あっ、これはあくまでも私の解釈ですが(笑)映画が公開されれば、このシーンについては、さまざまな皆さんが感想を持たれるでしょう。感想を交換し合うのも楽しみです。
それよりも、さらに重要なのは、映画では、この話を陰で聞いているのがトミーになっている点です!これは、ちょっと衝撃でありました!
実は、舞台では、陰で聞いているのはニックなのです。…それで、このクリップのこのシーンも当然ニック役のマイケル・ロメンダだと思い込んでいたのですが…よ~く見ると、これ…ヴィンセント・ピアッツァじゃない?でも、こんな顔の3分の1ぐらいでは判断できないな。ジョンなら太い眉ですぐわかるんだけど(?)…そこで、ヴィンセントの大ファンの某様に確認してもらいましたところ「100パーセント、ヴィンセントである」という心強いお返事をいただきました。あのお返事があって、私は安心してこれを書いている次第なのです
ここがニックかトミーかで、今後の話の印象はずいぶん変わってきます。映画版の制作者は、なぜこれをニックからトミーに変えたんだろう?…ここは「大問題」ですよ。この辺りは別記事にしたいと思います。
ところで
「サックスを入れる話をしようぜ」
「サックスどころか、ホーンセクションを丸ごと入れられるさ」この会話を聞けば、フランキー・ヴァリ&ザ・フォーシーズンズの代表曲をご存知の方であれば(殆どの日本人は知っているでしょうけどね)「あ~~~、あそこにつながるのか!」と思われるでしょう。こういうところがJERSEY BOYSの巧みなところです。
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