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いや、映画の感想も立て続けに三つも書いているようなもので、久々にoverwhelmingな音楽に身も心も持っていかれたような感じで…その興奮も冷めやらぬうちにM様が2001年にサンフランシスコで行われたSweeney Todd In ConcertのDVDを貸してくださったのでした。
M様が熱烈お勧めされるのも当然、これ、凄いですよ!
ミ○ュランの☆☆☆レストランでさえも、これほどまでの仕事はしてはいまい!というか…(?)いえ、私は大して食通でもないのでこんなことを言っているんですが…とにかく、いい「音」に身をゆだねることができる喜びってこういう感じだったよね~なんて、日常生活に埋没していて忘れかけていた快感を思い出させてくれました。五感の最も深い所を刺激される心地よさというか…もう、最高です!
ミュージカルのIn Concertというと、他にも有名どころでは『レ・ミゼラブル』の10周年ロイヤル・アルバート・ホールのものがありますが、ステージ・パフォーマンスとはちょっと距離を置いて、こういうIn Concert形式になると、「音楽」が最良の形で表現されるようでもあり、これはこれでいいものです。
で、言うのも気が引けるほど当たり前のことなんですが…このIn Concertで演じている人たち、映画のキャストとは比べ物にならないほど、とてつもなく歌が上手いです。
私的に気に入ったのはトビアスのNeil Patrick Harris。他のメインキャストの声とは一線を画した「ロック声」(クレジットを見るとRENTにも出演しているのか…ま、そんな感じの声)あくまでもポップに、感情を忠実に歌に盛りこむことに成功している。映画でのこの役は少年でしたが、舞台では少し障害のある青年という役どころなのですね。でも、こちらの方がやはりしっくりきます。映画では、何故あれほど虐待されていたピレリを探し求めるのか理解しがたいものがありましたが、こういう設定であれば納得です。あの難しいLadies and gentlemen may I have your attention pleaseのメロディーも大人の声で演じる方が安定感もあるし、曲のよさもよく伝わる感じ。
ただ、ハリウッドのメジャー映画としては、こういう設定はちょっと「危ない橋」だったのだろうということは理解できないでもありません(このあたりがハリウッドの限界か?)で、最終的には、この役は無垢な「普通の少年」というところで落ち着かせたのでしょう。でもやはり、ホントのSWEENEYの世界観を味わうのであれば、やはり舞台でなくてはならないのだろうということも実感しました。最後のシーンの解釈も微妙に違ってくるようで…
また他にも、映画では分かりにくかったのが、このDVDを観て「!」と感じたところがありました。
大繁盛のパイ屋で歌うGod, That’s Goodで、ラベットとトビアスの「やけに突出したメロディーによる掛け合い」(ここについては、映画の感想記事でも触れていますが)こうやってみると、ラベットが純真なトビアスに「偽装」を知られまいと、ちょっと舞い上がって取り繕っているように受け取れますね。しかし、ここのアンサンブルの上手さも鳥肌もん!
あとは、判事がジョアンナの部屋を(おそらく)覗きながら歌うJoanna…これねぇ、単なる○態を超越した演技ですよ(笑)なんか、この年になって、アブノーマルな心の「深淵」を覗き込んだ思いがいたします、おお!!(感動してどうする…笑)
映画でも感じたのですが、あの判事ってやることは極悪非道なんですが、基本は「自虐の人」なんですよね。ジョアンナを病院送りにするときでも、「私を殺してくれ!」なんて叫ぶようなもので…あの台詞がちょっと意外だったけど、でも、怒りや攻撃が最終的には「自分」に向いてしまう人だな、こういうタイプってホントに危ないんだよ…なんて感じながら観ていたのでした。これって、見るからに攻撃本能むき出しなアニマル・ビードルとは対照的。
でも、どっちの判事が「コワイ」かと言えば、映画のスネイプ先生asターピン判事の方かも。DVDでは、かなり戯画化されている分、どこか「安心」して見ていられるようなところがある。
とにかく、この判事の心の捩れの部分がこのJoannaの曲に集約されていましたね。映画ではこの曲は割愛されていましたが、その分、Alan Rickmanもそれなりに頑張っていたんじゃないかと思います。
あと、これも映画では割愛されていましたが、ビードルがラベットの居間のピアノで歌う(映画では、唐突にピアノだけあって「?」だった)Parlor Songがなかなかいい感じ。なんかマザーグースの曲みたいで。このあとに次々と起きる悲劇的な場面の前の一服の清涼剤とでも申しましょうか(それでも口当たりは…)計算されつくしたコミック・リリーフな場面だと理解しましたが。
本当に1曲1曲について言えば、もどれだけ書いても書き足りない気がするでしょうが、例えばKiss Meの四重唱とか鳥肌~超絶技巧な曲ですね。また、バート・バカラック風味(Pretty Woman)だったり、ボサノヴァ調(By The Sea)だったり…私のように、音楽は(フォークソングだけが苦手だけど、後は)何でも聴くという雑食性の者には嬉しくて仕方がないような曲の数々。
あの名曲のA Little Priestなんて、オーケストラはウィンナー・ワルツみたいに演奏してるじゃありませんか。素敵すぎます!ナチスドイツがオーストリア併合を許したことへの反撃かなんかですか~なんて勘ぐるのも楽しい(?)また、トビアスの歌うT'was Pirelli's Miracle Elixir~のメロディー(パイ屋のシーンでも歌詞を変えて歌う)どっかで聞いたような雰囲気の曲調だと思ったら、『魔笛』の「僕は鳥刺し」?そう言えば、どこかの曲の中で『ドン・ジョヴァンニ』を思い出した「瞬間」もあった…いいわ、いいわ~♪
これを観ていると、今度NYに行ったら、ミュージカルもいいけれど、久しぶりにオペラも何本か見て来たい~!なんて思いになりますよ。
それと、The Ballad of Sweeney Toddは『レ・ミゼラブル』のAt the End of the Dayと被って仕方がないんですけど(笑)もちろん、女工たちの歌の方が年代的に後の作品になりますが。この音楽が後年の作曲家にどれほどの影響を与えたことか、想像に難くありません。
とりあえず、Amazon Japanでも入手できるので「即買い」ってことにいたします。
M様、本当にありがとうございました♪
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