もうちょっと褒めろよ…
6月20日全米公開のクリント・イーストウッド監督の映画版JERSEY BOYS、これまでのレビューを見ると、あんまり芳しくありません。叩かれてこそいませんが、絶賛もされていないと言うか~全体的に生ぬるくて微妙~~~~
私は、もちろんまだ映画は見ていないのですが、批評の中には「なるほどな…」と思える部分もあったりとか…明日になれば、実際に御覧になった方の感想も聞けるでしょうが。
とにかく、Varietyに、まず先制パンチを食らいまして(苦笑)とにかく、Varietyが言うには「イーストウッドはどういう映画を作りたいのかビジョンを明確に持ってない」的なことが書いてありましたね…痛いところをついてますよ。「だから言ったでしょ!」と思わず突っ込みを入れてしまった(笑)
このJERSEY BOYSって、実はとても映画化しにくいミュージカルだと思います。「フランキー・ヴァリ物語」あるいは「フォーシーズンズ物語」ではなく、あくまでもJERSEY BOYSという舞台ミュージカルの映画化でありますんでね。(だから、私は最初から映画化には反対だった)(まぁ、この1年ぐらい…ジョン・ロイド・ヤングが主演すると決まってからは、ちょっと「躍らせて」いただきましたが…?)とにかく、ブロードウェイ・ミュージカルの映画化は数あれど、こういう実在のミュージシャンをモデルにしたミュージカル舞台を、さらに映画化するというのは前例がないと思います。チャレンジングだったと思います。
また、「アメリカンドリーム」「不和」「裏切り」「挫折」こんなテーマの映画はいくらでもある(まぁ、たしかに)今なぜ、フランキー・ヴァリとフォーシーズンズの長々とした話を見せられなきゃいけないのか、という声もありまして…まぁ、言われてみればそうですよ。しかし、同じテーマでも、舞台は非常に魅力的なのですがね…スクリーンという媒体を十分に生かしきれなかったのかなぁ~レビューの中には、ボブ・クリューの台詞「スカイブルーを表現できないかな~、ブラウンじゃなくって!」を引き合いに出して「この人物の方が、イーストウッドよりも分かっている」と書いてあるのがあって、思わず笑ってしまった(笑ってる場合じゃない!)
一般の人たちの中でも、「伝記映画だと思ったら、ちょっと違った」という感想もありますし、4人の主人公がカメラ目線でナレーションを語る、という手法に馴染めなかったというのもありました。しかし、この「4人それぞれの視点から」というのは黒沢監督の「羅生門」の手法もとりいれたもので、これはRashomon effectと呼ばれていて、JERSEY BOYSがこの手法を取り入れているのは、むしろ「洗練されている」という印象を持った、という感想もありました。
とにかく、4人の語りを中心として、人間ドラマとして掘り下げるという面においても、どこか中途半端で、それでもって、下手に舞台ミュージカルへの敬意も示した作品にしたことで、かえって評価が低くなっているんではないかな、という気がします。
でも…私としては、こういうやり方しかできなかったんではないかな~とも思いますが。それでも、音楽の素晴らしさは評価されていますし、とにかく、舞台と同じように、人々から愛される作品になってほしいとは思います。
それと、日本の配給会社の方は「伝記映画」とは宣伝しないでくださいね。あくまでも、舞台ミュージカルの映画化です。それと、「主人公たちがカメラ目線で話す」というのは、もとの舞台からの手法をそのまま取り入れているので、映画化に当たって、新たに取り入れられたものではありませんので…(そういうふうに受け取れるような紹介をしているサイトもありました)そこんとこ、よろしく。
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