人生というのは、「めぐりめぐる円」ではなくて…実は「三角形のチェーン」だったのか。三角形のチェーンにはワルツがよく似合う…それも、2拍目が「ちょっと急いでやってくる」ウィンナ・ワルツがよく似合う…
奇跡のようなメロディーの洪水…至福のミュージカル!!
もう、ボビー・スペンサーには悪いけど、NEXT TO某なんてリピートしなくてよかったですよ。ああいうのを見たら、またまた「説教モード」にスイッチが入ってしまうのでした。このA LITTLE NIGHT MUSICは、初めて「生」でみるソンドハイム作品であり、キャサリン・ゼタ・ジョーンズやアンジェラ・ランズベリーらの名優の夢のような競演であることも魅力ではありましたが、観終わってみると、作品そのものの完成度の高さに震える思いでありました。
言ってみれば、モーツアルトの艶笑オペラのような、ああいう趣の…お洒落なアダルト・オリエンテッド・ミュージカルです。まさに私好みで、観ていて気持ちがいい。ホント、NEXT…なんて見なくてよかった(はいはい、その話はもう終了)
このミュージカルの原作は、古いスウェーデン映画『夏の夜は三たび微笑む』
「夏の夜」…と言いましても、場所はスウェーデンなわけで…日は完全に沈まないのです。アンジェラ・ランズベリー演じるマダム・アームフェルトは、それがいかに人間の自然に反しているか、皮肉を言います。「こんな夜は、ナイチンゲールだって何時啼けばいいのかわからない」「人間の脳は溶けてしまう」
この物語の登場人物たちも、最初は、ちょっとした自然の(運命の)悪戯で、みんな「仮の場所」に身を置いています。18歳の娘と結婚するも、まだ夫婦関係が持てない中年法律家。その継母を慕う前妻の息子。彼をもてあそぶメイド。法律家の元恋人だった女優。女優の現恋人の軍人。軍人の現妻は、18歳の若妻と協力して、女優から夫を取り戻そうとする…とにかく、すべての登場人物が「三角関係の真っただ中」それを図示すれば、すっきりした三角のチェーンになるという、設定の見事さです。
私的に好きだったのは、軍人の妻のシャーロットですね。本当はとても愛すべき女性なのに、「斜め目線」からしかモノを言わない(笑)演じたのはエリン・デイヴィー。ステージでは、普通の美人女優さんという感じでしたが、もっと個性的な人が演じても面白かったと思います。
で、驚いたのが、その夫を演じたのがアーロン・レイザー…PLAYBILLを見て「まさか?」と思ったんですが、あのリバイバル版LES MISERABLESの「赤いベストの似合わない」「迫力不足」なアンジョルラスの人ですよね(?)え~、ちょっと意外!でも、この役も、まぁacceptableな出来でございますよ。違う人が演じれば、もっと違う味が出たと思う。(しかし、あの「ナイフ投げシーン」だけど…あれって、何のトリックもないの!!?…だったらスゴイ!~しかし、手元が狂って、客席に飛んでくることないんでしょうね??)(最前列左側の席だった私は、今も気になって仕方がないのです)
キャサリン・ゼタ・ジョーンズが演じたのは、自由奔放に生きる女優のデジレ(Desiree)このdesireeという名前は、英語のdesireから来ていますよね(と勝手に仮定)つまり、彼女のキャラクターってdesire(煩悩)のシンボルのような感じなのです。ですから、そんなにリアルに演じる必要はない(と思う)キャサリンは、その辺をうまく解釈しているパフォーマンスを見せていましたね。まるで、真夏の夜の堕天使のように~。彼女の歌も、前もって動画で見たときは「あまりに微妙」な印象だったのですが、実際に聴くと、そんなに悪くはなかったです。(それと、彼女の足のサイズは25センチぐらいです。最前列で見たのだから、間違いはない)(だからどうなんだ~?って話ではありますけどね…汗)
この作品の、過去のプロダクションのスチールを見たら、舞台デザインや衣装など、ずいぶんヨーロッパ的に作られているものが多かったのですね。天井も高くして、オペラハウスで演じられるモーツアルトのオペラと変わらないような意匠だったり。それと比べると、今回のプロダクションは、それほどヨーロッパ的ではない気がしました。私が非西洋人だからかもしれないけれど、あんまり北欧的な雰囲気も感じない(白樺があるから、北のほうなんだろう…とは思うけれど)舞台デザインとしては、天井が低いのが欠点かもしれないです。物語の隠し味になっている宇宙的な広がりが、視覚的に感じられない。それと、ステージが狭くて、群舞のシーンではみなさんぶつかり合っていましたけど…(?)
アンジェラ・ランズベリーは登場する度にshow stealerで、まさに「生きる哲学」を演じ切りました。良いものを見せていただきました。ブラボー!です。最後のシーンは涙が出そうになりました。この後に観たOUR TOWNと同じ、現世とは、全てを見抜ける人間には相応しくないところなのだ…座ったまま演じる場面が多かったのですが、カーテンコールの時の歩く姿の美しさは印象的でした。まるで、床を滑るような歩きかたでした~
で、音楽なんですけど…とにかく、1回観ただけでは、このソンドハイムの音楽について語れないです(汗)とにかく、モーツアルトのオペラと同じ、人間の生理に反しない、心地よいメロディーの洪水だったという…今のところ、それだけしか印象にありません(汗)このミュージカルの音楽を語るには、もっと聞きこまないとだめですね。劇場内で、現キャストのCDの予約を受け付けていました。「日本への発送はしていただけないんでしょ?」というと、係りの人は「いいえ、5ドルで国外発送しますよ!」あっ、ホントだ…申込書にそう書いてある~ま、いいか…アマゾンで買うわw(何それ?)
ステージドアへも行きたかったのですが、この後ウェストビレッジでOUR TOWNを見る予定が入っており、それはあきらめました。賑わったことでしょう。
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Elaine's
フブキ
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