ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

地別当共同池

2017-10-05 15:43:37 | 福岡県
2017年9月20日 地別当共同池(新池)
 
地別当(じべっとう)共同池は福岡県筑紫郡那珂川町上梶原の那珂川水系梶原川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1940年(昭和15年)に梶原地区の事業により建設と記されています。
現地の警告看板には管理者として上梶原区・下梶原区・梶原水利組合の三者の名前があり、池の名前は『新池』になっています。グーグルマップも新池となっています。
地別当は池のある小字名、共同池は上梶原区と下梶原区の共同財産という意味かと推察します。
ダム便覧では堤高18メートルとなっていますが、福岡県のため池データベースでは9.3メートルとなっています。
この数字を採用するなら河川法上のダムの基準を満たしていません。
 
県道601号線を南下し梶原地区の小字地別当に入ると県道から池の堤体が垣間見えます。
分岐を右に折れ集落を抜けると池の袂に到着です。
下流面を見ると堤高が18メートルもあるようには見えません。
 
天端は車両通行可能ですが貯水池側にはメッシュのフェンス。
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
右岸の横越流式洪水吐
こちらも道路側にフェンス。。
 
池のすぐ下には住宅地が続きます。
 
右岸の斜樋。
 
左岸から。
 
総貯水容量3万5000立米の小さな溜池で、灌漑期が終わっているせいか水位はずいぶん低くなっています。
対岸に見える白い建物は学校かと思ったら新興宗教の道場でした。
 
警告板には『新池』と書かれています。
また養魚池とあるので鯉の養殖もおこなっているようです。
厳重なフェンスの意味が理解できました。
 
2391 地別当共同池(1136)
ため池コード 402310024
福岡県筑紫郡那珂川町上梶原
那珂川水系梶原川左支流
9.3メートル(ダム基準未達)
100メートル
35千㎥/35千㎥
上梶原地区・下梶原地区・梶原水利組合
1940年

牛頸ダム

2017-10-05 12:53:21 | 福岡県
2017年9月20日 牛頸ダム
 
牛頸ダムは福岡県大野城市牛頸の御笠川水系左支流牛頸川上流部にある福岡県県土整備部が管理する治水目的のロックフィルダムです。
建設省の補助を受けて建設された補助治水ダムで、牛頸川および御笠川の洪水調節、両河川の安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給を目的として1991年(平成2年)に竣工しました。
水道事情が苦しい福岡県にあっては数少ない上水道目的のない県営ダムで、ダムの完成により福岡のベッドタウンとして急速に宅地化が進んでいた御笠川及び牛頸川流域の治水能力は大きく向上しました。
 
ダム建設に合わせて周辺一帯は大野城いこいの森として整備が行われ、中央公園や水辺公園、さらに牛頸川源流部にキャンプ場などが設けられ筑紫地区有数のレクリエーションエリアを形成しています。
またダム湖上流はホタルの生息地としても知られています。
 
県道505号線に牛頸ダムへの標識があり、これに従って南に折れると牛頸ダムが見えてきます。
管理事務所への道が洪水吐減勢工を跨いでおり、ここが下流からの展望ポイントとなります。
 
リップラップには草木が茂り、一見しただけではロックフィルダムと見分けがつかなくなっています。
 
右岸の横越流式洪水吐
写真ではちょっとわかりづらいですが、洪水吐の奥の小さな穴が常用洪水吐になります。
 
導流部は大きく湾曲しながら斜水路へと続きます。
 
 
上流面
こちらもずいぶん草木が茂っています。
 
天端は車両進入禁止。
 
ダム下は芝生の公園で東屋もあります。
 
洪水吐脇の管理事務所
事務所からはインクラインと斜樋が並んでいます。
 
通称大野貯水池と呼ばれるダム湖は総貯水容量228万立米。
治水ダムですが、不特定利水容量分が貯水されています。
 
ダムのすぐ下流には福岡地区水道企業団の牛頸浄水場がありますが、牛頸ダムと水のやり取りはありません。
 
追記
牛頸ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2440 牛頸ダム(1135)
福岡県大野城市牛頸
御笠川水系牛頸川
FN
 
52.7メートル
383メートル
2280千㎥/2100千㎥
福岡県県土整備部
1998年
◎治水協定が締結されたダム

大佐野ダム

2017-10-05 11:26:31 | 福岡県
2017年9月20日 大佐野ダム
 
大佐野ダムは福岡県太宰府市大佐野の御笠川水系大佐野川源流部にある太宰府市上下水道課が管理する上水道用水目的のアースフィルダムです。
高度成長以降、大宰府周辺は福岡のベッドタウンとして人口急増が続き上水道の給水能力がひっ迫する事態が慢性化していました。。
これを受け当時の太宰府町の事業により1974年(昭和49年)に完成したのが大佐野ダムです。
大佐野ダム完成により新たに日量2400立米の給水能力が確保されましたが、太宰府の人口増加は留まる事を知らず、ダム完成前年の1973年(昭和48年)から実に30年にわたって給水制限が続く異常事態が継続しました。
その後も新たな水源確保は続きますが、太宰府市の給水制限が解除されるのは2002年(平成14年)水資源機構の大山ダムを水源とする福岡地区水道企業団からの受水開始まで待つことになります。
 
太宰府市大佐野の県道505号線から太宰府メモリアルパークの標識に従って南に折れ住宅街を抜けると大佐野ダムに到着します。
上水道水源のため堤体への立ち入りは制限され右岸から眺めるのみです。
洪水吐越しに
上流面はコンクリートで護岸。 
 
横越流式洪水吐。
 
 
 
総貯水容量は17万5000立米。日量2400立米の水を給水します。
 
左岸の斜樋。
 
竣工記念碑
ダムの諸元が記載されています。
 
水利使用標識。
 
 大佐野ダム訪問をきっかけに太宰府市水道事業の歴史を調べると、福岡の他の自治体同様水不足解消のための闘いの歴史であったことがよくわかります。
 
追記
大佐野ダムには洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2426 大佐野ダム(1134)
福岡県太宰府市大佐野
御笠川水系大佐野川
25.5メートル
77.5メートル
195千㎥/175千㎥
大宰府市上下水道課
1974年
◎治水協定が締結されたダム

北谷ダム

2017-10-05 00:07:14 | 福岡県
2017年9月20日 北谷ダム
 
北谷ダムは福岡県太宰府市北谷の御笠川水系山の神川源流部にある福岡県県土整備部が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
建設省(現国交省)の小規模ダム事業である生活貯水池事業の補助を受けて建設された補助多目的ダムで、御笠川上流域の洪水調節、安定した河川流量の維持と既得取水権への用水補給、大宰府市への上水道用水の供給を目的として1998年(平成10年)に竣工しました。
太宰府では上水道の需給ひっ迫から給水制限が30年も続くという異常事態となっていましたが、小規模ダムである北谷ダムの給水能力は限定的で、太宰府市の給水制限が解除されるのは2002年(平成14年)に水資源機構大山ダムを水源とする福岡地区水道企業団からの受水開始まで待つことになります。
 
太宰府市北谷の県道35号に北谷ダムを示す標識があり、これに従って山道を登ってゆくと北谷ダムに到着します。
左岸ダムサイトにある竣工記念碑。
 
下流面
右岸に管理事務所があります。
 
普段は天端は立ち入り可能ですが、訪問時はオオスズメバチが巣を作ったとのことで立ち入り禁止。
 
上流面。
 
上流から
クレストには自由越流式洪水吐が1門、その下にオリフィスゲートが見えます。
訪問直前に九州を襲った台風に備え水位を下げたんでしょうか?ずいぶん貯水位が低くなっています。
 
右岸から下流面。
 
天端親柱の装飾
こちらも天端は立ち入り禁止。
 
管理事務所屋上が展望台になっています
生活貯水池事業で建設された小規模ダムで総貯水容量はわずか25万1000立米。
 
天端はスズメバチの巣のため立ち入り禁止、ダム下への道も通行止め。やむを得ないとはいえちょっと残念。
管理事務所の屋上が展望台になっており空気が澄んでいれば遠く博多湾まで遠望できるそうですが、この日は霞みが酷くそれも叶わず。
うーーん・・・の連続の北谷ダムです。
 
追記
北谷ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3049 北谷ダム(1133)
福岡県太宰府市北谷
御笠川水系山の神川
FNW
 
39メートル
145メートル
195千㎥/175千㎥
福岡県県土整備部
1998年
◎治水協定が締結されたダム