ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

北浦溜池

2023-06-16 17:06:37 | 佐賀県
2023年5月20日 北浦溜池 

北浦溜池は佐賀県小城市小城町松尾の一級河川嘉瀬川水系祇園川左支流(河川名不明)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1948年(昭和23年)に佐賀県の事業で竣工と記されています。
現地記念碑には溜池築造の由来や経緯が刻されていますが、摩耗が激しく全文の解読ができません。
ただ戦前に溜池築造が着手され戦時中の事業中断ののち、戦後佐賀県営事業として再開され昭和23年5月(1948年5月)に竣工した旨は読み取れます。
九州北部は1929年(昭和4年)、1934年(昭和9年)と立て続けに大干ばつが発生しこれを契機に各所で溜池築造の機運が高まりました。
北浦溜池もそんな溜池の一つだったと推察できます。 
管理は北浦溜池土地改良区が行っています。

池の西側に日蓮宗円福寺というお寺があり日蓮上人の像がいいアクセント。

堤高19.7メートル、堤頂長200メートル(ため池データベース)の堤体。
堤体は犬走を挟んだ2段構成で下流側に湾曲した円形。
佐賀平野では今でも二毛作が広く営まれており、訪問した5月下旬はちょうど二条大麦の実りの季節。


左岸直下の底樋管と洪水吐導流部。


堤頂への道が堤体を斜行します。


天端右岸は墓地。
堤の上に墓地がある溜池は初見かも?


堤体は中央部が前面に張り出した逆アーチ。
これだと堤体中央に水圧が集中して宜しくないと思うのですが?
長崎県の犬木溜池や大分県の魚ヶ鼻池が同じような形状。


左岸の斜樋
わかりづらいですが、斜樋の右手に越流式洪水吐があります。


天端からの眺め
眼下には黄金色の大麦畑、麦の刈り取り後は田植えが始まります。
季節はまさに『麦秋』、耳にしたことはあったけど目の当たりにしたのは初めて。


左岸の洪水吐
明確な越流堤はなく、堤体が一段低くなっています。


左岸の斜樋越しの上流面。
コンクリートブロックで護岸されています。
奥に見える高架橋は長崎自動車道。


小城市の警告板
ため池コードが記載され、2次元バーコードでハザードマップにリンクしています。


左岸の改築記念碑。
裏面に池の由来等が記述されていますが、摩耗が激しく判読困難。


2522 北浦溜池(1991)               
ため池データベース 412080021  
佐賀県小城市小城町松尾 
嘉瀬川水系祇園川左支流 
 
 
17.9メートル 
192メートル(ため池データベース 200メートル) 
368千㎥/331千㎥ 
北浦溜池土地改良区 
1948年