巨額の財政出動が必須だ
本日4日、岸田文雄総裁は組閣を行い、新内閣が発足する。そこで注目の岸田氏による経済政策についてあらためて検証してみよう。
岸田氏は、安倍政権時代から行なわれてきたアベノミクスの3本柱である「量的緩和」と「財政出動」、「成長戦略」を継承するとしている。
だが結論から先にいえば、デフレから脱却しインフレ率2%をめざしたアベノミクスは失敗に終わった。現状はデフレ不況の解消ができず、低インフレ~デフレ不況のままである。
経済はまったく好転していない。
アベノミクスはなぜ失敗したのか?
ではなぜ失敗したのか? それは量的緩和と車の両輪であるはずの「大胆な財政出動」が、第二次安倍内閣では1年目にしか行われなかったからだ。
その後はすっかり「ケチケチ財政支出」しか行われていない。
そのため何が起こったか?
量的緩和により市中銀行に日銀当座預金がブタ積みされただけで、肝心のマネーストック(ふつうのおカネ=銀行預金)が増えなかった。
つまり政府が発行した国債を市中の銀行が買い、それを日銀に買い取ってもらったおかげで、市中の銀行には日銀当座預金が山積みされた。
だがそこから先、銀行に企業などが「お金を貸してください」と頼む貸し出しのニーズがなく、銀行による信用創造が行われないためマネーストックが増えないのだ。
つまりマネタリーベース(日銀当座預金)だけはバカみたいに増加したが、財政出動が足りずマネーストックが増えなかったためにインフレ率が上がらなかったわけだ。
岸田新首相はこの点を謙虚に反省し、巨額の財政出動を行わなければならない。
岸田氏は巷間、「数十兆円規模の財政支出」と言っているが、インフレ率2%をめざすならそれでは全然足りない。
数百兆円規模の大胆な財政出動が必要だろう。
そのほかアベノミクスでは第三の柱である「成長戦略」で、チンケな新自由主義政策が行われただけだ。
岸田氏はこの点も改めて、本気で「新自由主義からの転換」をめざす必要がある。
また「岸田氏による成長戦略」がまったく具体的に見えてないのも大きな課題だ。
「健康危機管理庁」は絵に描いた餅だ
このほか気になるのは新型コロナ対策だ。
岸田氏はコロナ対策のために「健康危機管理庁」を創設するとしている。
現状、日本の新型コロナ対策を取り仕切っているのは「国立感染症研究所」(感染研)や厚労省の「医系技官」(医師免許を持つ官僚)といった感染症ムラだ。
岸田氏が言うこの健康危機管理庁の内実は、これら感染研と医系技官を寄せ集め、さらに強化したものにすぎない。
だがこのブログでも再三指摘してきたように、これら感染症ムラはまったくまちがったコロナ対策を行っている元凶なのだ。そんな出来損ないを束にしていったい何をしようというのか?
くわしくは
この記事に書いたが、一例をあげよう。
厚労省の医系技官は、保健所に天下りする。その保健所が仕切っているのがPCR検査である。
本来なら新型コロナ対策の基本は「検査」と「隔離」だ。ゆえに保健所は積極的にPCR検査を行うべきだ。ところが現状はまるで逆。PCR検査の「抑制」が行われている。
なぜか?
コロナ患者の爆発でPCR検査のニーズは増すばかりだ。ところが真っ正直に保健所が精力的にPCR検査をやれば、保健所はオーバーワークでパンクする。
そこで厚労省の医系技官は、自分たちの天下り先である保健所を守るため、なんとPCR検査をなるべく行わないよう逆に抑制しているのだ。
国民の命でなく、こんな「省益」を優先する集団を健康危機管理庁などという形で強化していったい何になるのか? 百害あって一利なしだ。彼らはせっせと自分たちの利益のために働くだけだろう。
感染症ムラの解体が必要だ
一方、第二のポイントはくわしくは
この記事に書いたが、日本の感染症ムラはこれまで、まったくまちがった新型コロナ対策ばかり行っている。
たとえば新型コロナは「空気感染」するため、それなりの厳重な対策が必要だ。
ところが日本の感染症ムラは新型コロナが空気感染することを認めておらず、「接触感染」と「飛沫感染」だけを対象にした研究や対策ばかり行っている。
いったいなぜか? それは接触感染と飛沫感染を対象にした「積極的疫学調査」なるものをやればやるほど、彼らに予算がつく業界構造になっているからだ。
つまり空気感染の研究をやっても、カネにならないから彼らはやらないのだ。
要するに感染症ムラは新型コロナを防ぐためではなく、積極的疫学調査というカネのなる木で儲けるためにコロナの調査・研究を行っているわけだ。
こんな自分たちの個人的な利益のために活動している感染症ムラを束ねて「強化」し、健康危機管理庁なるものを作ったところで害こそあれメリットなどない。
岸田氏は本気で新型コロナ対策をやるつもりなら、こうしたダメダメな感染症ムラを思い切って解体し、心ある研究者を集めて新しく組織の再編を行うべきだ。
日本の新型コロナ対策は、まずそこからが出発点といえるだろう。
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