田辺信宏静岡市長様 2021年4月12日
8市2町62万住民に寄り添い南アルプスの自然・生態系を保全するために
JR東海、国に対して明確な姿勢を示すことを求める要望書(案)
南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡
共同代表 有元利通 服部 隆 増田和明 松谷 清 八木 功
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リニア中央新幹線・南アルプストンネル工事による南アルプスの自然・生態系への影響と大井川の水の減少に対して静岡市民、大井川に関わる8市2町の住民及び静岡県民の多くは大きな懸念を持っています。そして国土交通省が組織した有識者会議、静岡県が継続している静岡県環境保全連絡会議への東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」)の対応に対してその不誠実さを強く感じているところです。
こうした中で、8市2町の首長は3月20日、大井川の水減少に対して3項目に亘る要望書を提出しましたが、いまだJR東海からの回答がない状態が続いています。
3項目とは
1、 流域住民の理解と協力が得られることなく、トンネル掘削工事に着工してはならないこと
2、 水資源の確保と水質を含めた自然環境の保全に万全を期すこと
3、 有識者会議において分かりやすいデータを提示し、流域住民に分かりやすい説明をされること
となっています。
一方、有識者会議は3月22日で第10回目となり、国土交通省はその場で中間まとめ案を提示しました。そして、3月30日国土交通大臣は「有識者会議は科学的で中立公正」と発言するも3月31日に静岡県は「議論・対応不十分」とする要請を行っています。
こうした中で、静岡市は2014年に国土交通省によってJR東海のリニア中央新幹線への許認可された時点からユネスコエコパークに指定された南アルプスの自然生態系の保全に全力を尽くして来ました。毎年の環境保全調査や水資源巡る1都6県において唯一の水収支に関する調査はその一例です。
ところが2018年におけるJR東海による井川トンネル工事などを巡る協定以降、南アルプスの自然・生態系の保持と大井川の水の減少は表裏一体のものであるにもかかわらず、JR東海に対する対応が毅然としていません。今こそ、2014年市議会における「南アルプスの自然環境保全とユネスコエコパークと整合を図ることは絶対の条件とする」議会決議の原点を保持することが求められます。以下の要望を提出しますので、4月23日までに文書にて回答を求めます。
1) 静岡市として3月20日、8市2町のJR東海に提出された3点の要望項目を支持し、JR東海に8市2町同様の要請を行うこと
2) 有識者会議における「中下流域への影響は少ない」など度重なるJR東海寄りの発言を繰り返す福岡捷二座長、及び、南アルプストンネル工事による山梨県側への水流出に対する「戻すのに10年から20年かかる」との対応に対する見解を明らかにし、国土交通省、JR東海に抗議を行うこと
3) 3月29日静岡県環境保全連絡会議生物多様性専門部会での「ヤマトイワナを別の場所での育成など代替措置」を示すものの大井川の水の減少をどう抑制するかの前提条件をあいまいにするJR東海の説明への見解を明らかにすると同時に環境影響評価書における静岡市の意見である「導水路トンネルによって大井川の水が戻されたとしても上流域の自然環境への懸念」を示してきたことの意義を改めて表明すること
4) 静岡市域で実施される南アルプスリニアトンネル工事であり、水の収支に関する調査結果をJR東海が活用している現状に鑑み、国土交通省・有識者会議に対して全面公開を求める要望を提出するとともに、そのことが実現するまで間は会議時に静岡市、静岡市議会議員へのリモート型傍聴を要請すること
5) 「中央新幹線建設工事環境影響評価協議会」を開催し、JR東海に全10回に亘る有識者会議で示された大井川の水減少問題に関する見解や静岡県環境保全会議に示した生物多様性に対する見解を明らかにさせ、静岡市としての姿勢を明確に示すこと
以 上