植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

雨の日はお出かけ日和 田舎のネズミ東京へ

2021年06月05日 | 日記
 ワタシがまだ、小学校6年生だった夏、大分市の外れの、山の斜面に建てられた農家に家族で転居いたしました。転勤の多い父親で、小学校に入る直前、もっと田舎の湯平町から大分市へ引っ越しして以来5年半ぶりでした。

 賀来という片田舎で、藁ぶき屋根の古い農家から見下ろす景色は田園風景そのものでした。そこで多感な少年期6年間をすごしたのちに神奈川県の大学に進んで以降、47年間ずっと神奈川県に居住しております。故郷は遠くにあり、旧友たちとも離れ離れで消息さえ知らなかったのですが、10年ほど前から里心が出て、たまに帰省するようになりました。中学校の同級生などとも、40年ぶりの再会を果たし、その頃から大分の友人とは何人も連絡が取れるようになり、こっちにいる高校の同級生とはゴルフコンペもいたしております。

 さて、そんな旧知の友人(Sさん)から娘さんが展覧会に出品するから見に行って、と連絡がありました。彼女は中学校の同級生で、lineのグループ仲間です。ワタシが篆刻に夢中になって片端から彫るうちに旧友にも彫って送っていたのですが、Sさんの娘さんが日本画家なので、落款印を彫って差し上げたのでした。かなり前にも一度葉書で個展の案内を頂いたのですが、残念ながら行き損ねていました。

 彼女の作品に「Tちゃん(ワタシの名前)が作った印を使った」というのです。ワタシは自治会やらメダカ、篆刻、園芸など猛烈に忙しいのでなかなか時間が取れないのですが、ここのところそのせいか疲れ気味、少し息抜きが必要と感じていました。そして天気予報では昨日(6/4)は一日雨でした。もし天気ならば、草取りや庭木剪定、病害虫の薬剤散布など、外仕事が待っています。雨なのでそれはお休み、平日でコロナ禍のさ中の雨降りならば、人流も少なかろうと思い立ちました。お出かけ日和であったのです。

 展覧会会場は花の都、お江戸は御徒町の松坂屋でした。電車に乗るのは昨秋の孫の七五三祝い以来であります。田舎のネズミは、コロナで出かけることも無かったのです。ミッションは3つ、展覧会の絵を見て写真に収める、緊急事態宣言下の首都の状況を視察する、デパ地下でパンと夜の食事用のお弁当を買う、でありました。

 人との接触を避けるために千円のグリーン券を奮発して出向きました。会場は松坂屋6階「日本画洋画工芸特選展」と銘打たれ、黒いスーツ姿の案内の男女が大勢待ち構えていました。あぁこれは、展覧会ではなく展示販売会でした。リクシルや大塚家具、レクサスなどと同様黒いスーツを着た販売員が丁寧に接客する高級高額品を売る、というものです。ワタシは、最初から目的は「見るだけ」写真撮影ですから、構うことはありません。場内は広く10位のブースに所狭しと絵画が展示されておりました。

 ワタシはてっきり無名の新進画家の作品を廉価で即売しているかと思っていましたが、さにあらず、誰でも知っているような超一流の作品が多数「正札」つきで展示されていました。東京というところは怖いとこだなぁー。高額なものは数千万円、横山大観、河合玉堂、中川一政、山下清、藤田嗣治、前田青邨等々美術館で飾られているような名作が普通に販売されているのに驚きました。ワタシの目当ての日本画作家「岩野雅代」さんの作品が7点ほど展示されていました。大したものです。価格こそ大作家の絵画に比べたら1/10位ですが、それでも数十万円の作品として、肩を並べて売られているのですから。


 ワタシはそんなこととはツユしらず、「落款印ね、オッケー」とばかりに気軽に彫っていたのですから、汗顔の至りでありました。彼女とは会ったこともなく画業の変遷も存じませんので安易なコメントは出来ませんが、確かな技巧で非常に丁寧に描かれており、精緻かつ繊細な筆致は好ましいものでありました。日本画としては珍しいタッチやモチーフでもあり、グラフィックアートを思わせる作品でした。ともかくも写真に収め他の展示物も足早に見て回りました。正直、朝から行ってゆっくり眺め、お昼を日本橋あたりで済ますというプランにすればよかったと思いましたな。絵画好きの家内もつれていくべきでした。なにしろ平塚あたりではたまに巡回展で来るくらいのもので、ここでは無料で美術館クラスの芸術品を鑑賞できるのです。

ワタシの彫った落款印はこれです。

自分の作ったものが誰かに大事に使われている、こんなうれしい気持ちは経験しないとわからないものです。日々練習を続けている自分としては、もっと上手にもっといいものが彫れるはずだと信じて、また雅代さんの印を彫ってみようと思いました。

 さて、これでミッション1が終わり、デパ地下に向かいました。5年前まで、現役の頃は毎日のように横浜のデパ地下で晩御飯のお惣菜を買っていたのです。ワタシは「銀座鳴門のウナ重」、家内には「浅草今半のすき焼き弁当」(勿論一番高いやつ)を買いました。金谷ホテルのパンとかスイーツ・果物などちょこちょこ買いましたが、近所にお土産を買うほどのこともないので、これにて終了。

 帰宅してどっと疲れが出ました。久しぶりの外出、しかも大勢の人が繰り出す東京のど真ん中でしたから。夕ご飯に食べた「うな重」の美味しかったこと、家内も感激したすき焼き弁当に、デザートのフルーツケーキもふわふわ。スシローや餃子の王将をありがたがっている田舎のネズミにとっては大変なご馳走でした。東京の人は毎日こんな美味しいものが食べられるのです。

 ただし「お金があるのが前提」ですね。
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世界で死屍累々 それでもオリンピックを開く

2021年06月04日 | 時事
 日本が掲げるオリンピックの目標・コンセプト。そのスタートは「東日本大震災からの復興」でありました。おもてなしを謳い文句に開催権を獲得したまではよかったんでしょう。沈滞化して久しい日本経済への起爆剤として、五輪需要を喚起し当て込んだ商売人が舌なめずりしていました。インフラ整備や専用施設建設もそれなりの経済効果があったとは思います。

 しかし、実際に福島がどうなっているかと言えば、地中に潜っていまだに放射能と高温を発し続けている燃料棒の溶け落ちた燃えカス(デブリ)はまだ一片すら取り出していないのです。ということは半永久的な核分裂が絶え間なく起きており、放射能が排出され続けていることを示します。汚染水は保管スペースが拡大する一方、処理能力を超えて海洋投棄が現実味を帯びる中、諸外国からも非難されています。トリチウムが人体にどんな影響を与えるか解明されていません。人体実験したわけでもなし、動物実験をしたからと言って、不都合な結果が出たらそれは闇に葬られるでしょう。まだ、福島原発はなんにも解決していないのです。ただ、除染や復興ビジネスに暴力団が入り込んで、国費が闇に消えているのは以前から指摘されています。

 そしてコロナが広がってパンデミックが起きてやむなく延期。そうしたら「人類がコロナに打ち勝った証し」でオリンピック開催を決行すると言い出しました。どこが?ワクチン接種が国民に行き渡って大はしゃぎしている国はまだ数か国、ほとんどのワクチン後進国は、いまだに感染者が増加し死者が増えてい居るのです。米国が指定したおよそ150の国と地域が「渡航中止の勧告」の対象なのです。更に変異株が次々に発見され感染力が増し、強毒化も懸念されています。専門家は、来年には更に別のワクチンを打つ必要が出てくる、と警告しています。打ち勝ったのは、計画通りに、ワクチン外交・コロナ戦略で着々と世界的な役割を広げ、いち早く経済活動を活発化させた中国だけでしょう。

 すると今度は丸川大臣「五輪で絆を取り戻す」発言がありました。そもそも五輪担当大臣ってなんなんでしょうか。主催は東京都にありなどと無責任発言を繰り返す無駄な存在の大臣です。コロナで分断された人々の間に必要なのはワクチンとお金・日常生活であります。そもそも国際スポーツ大会はおおよそが国別競争、お互いに敵国になるので、絆は出来ませんわね。

 さらに、平井デジ相 「パンデミック下のオリンピックモデル」を構築するですと笑笑。パンデミック下では最もやってはいけない人流を巻き起こす愚挙、歴史上世界最悪のスポーツ大会という「やってはならない」モデルとなる可能性が大です。言い方は下品ですが脳みそが腐りかけた人が多いように見えます。

 選手村にはコンドームが用意され、お酒の持ち込みOKだそうです。理屈は、選手にとって選手村は「自宅」扱いなんですと。何千人もの選手が一つ屋根の下に居てコンドームを何に使うのですか? 大勢の選手たちが宿舎内を行きかうのに、個室でちびちび一人「家飲み」(笑)爆笑。ルールを細かに厳格に定めても治外法権の選手村誰が見張るの? 筋肉を鍛えるだけのスポーツモンスター、世界のいろんな人種が、真に受けてルールに従うと本気で思ってるんでしょうか。

 さすがに尾身先生も聞き分けの無い政府に「パンデミックの状況で開催するのは普通はない 」と公言いたしました。自分は反対したとの立場を明らかにしたのかはわかりませんが、辛抱強く穏やかな方ですね。ワタシだったら、「ふざけんなコノヤロー、二言目には専門家の意見を聞いて決めたと言いながら、自分らの都合のいいことしか言わず、実際はこっちの言い分はシカトかよ」。利用するだけ利用して好き勝手に突っ走る菅政権に、ケツを見せて辞めますね。

 相変わらず菅総理は「安全安心な大会にすれば開催できます」と何百回もオウム返しであります。安心安全な運営方法などだれもわからないのですよ。例によって、何かあっても自分たちの責任ではないという態度をとるでしょう。オリンピックが原因で更に感染者の拡大や死者の増加を招いても「エビデンスが無い」と言って済ませるでしょう。

 直近では今更「『平和の祭典』。一流のアスリートが、スポーツの力で世界に発信をしていく 」んだそうです。人のふんどしであります。香港・台湾問題でもミャンマークーデター、新疆ウィグル自治区人権問題でもなんらはっきりした態度をとらず、我関せずです。ロシアの反体制指導者ナバリヌイ氏が拘束 ベラルーシの反体制家の乗った民間機の強制着陸など、ロシア中国が関係する国際不安や内戦・内乱・人権弾圧どころか、尖閣諸島竹島問題にも目を背けている指導者に「世界平和」を口にする資格はありません。

 国民にはまだ高齢者さえワクチン接種終了のめども立ちません、なのにアフリカへは700億円ほどワクチンを買ってあげましょうと発表したそうです。税金を投じるなら他国を援助する前に、コロナであえぐ納税者・自国民に目を向けるのが筋でしょう。その国民の8割が「オリンピック開催を望まない」のですよ。夢やスポーツの感動・絆、そんなものでお腹は膨れません。医療現場で壮絶な戦いを強いられている人が、オリンピックを見て楽しむゆとりがあるとは到底思えないのです。

 
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スイカとぶどうが最優先

2021年06月03日 | 植物
 昨日懸案のスイカの誘引対策を行いました。毎年の天候不順、日照不足に悩まされスイカは2年続きで壊滅状態でした。今年は屋上栽培に特化しようと思ったのですが、やはりそこは未練がましいワタシ、ニンニク玉ねぎ、ジャガイモを収穫したらぽっかりとスペースが出来るのを見越して3か所に地植えしたのでした。

 屋上でのスイカ栽培も2年目です。規模を拡張して屋上の半分近くをスイカのために用意しました。スイカ作りで、まず気を遣うのが苗の植え付けと育成です。どんな強健な植物も発芽してしばらくはとても弱いのです。接ぎ木苗とて同じで、まだヨチヨチ歩きの幼児です。スイカの根は酸素を必要とし根腐れしやすいので乾燥気味に育てますが、つるを伸ばしス始めるころまでに根を優先して広げます。この時水が切れて乾燥しすぎると干からびて生長不良になります。肥料が強いのも禁物、それを見越して5,6鉢に種で苗を育てています。枯れ始めたり様子がおかしい時にはすぐ植え替えるのです(保険をかけておくのです)




 今年も実は3本を枯らしてしまいました。水が溜まって根が腐ったのと乾燥して枯れ死したのと両方でした。保険の苗に取り換えて今のところ順調です。そして、花が咲き受粉できるようになれば一安心です。今朝数個確認できました。スイカのツルは何かに掴まるようになっております。これを地面に何もない状態で放置すると葉が倒れ地面に付きぐらぐらします。つるが動いて傷みます。しっかりと誘引し固定するのがスイカ栽培の大事なポイントです。といっても、ピンと張ったネットにツルを乗せたりひっかけておけば勝手に巻き付いてくれるのですが。

こうなればあとはぐんぐんツルが伸び、葉が茂るので次々にスイカの赤ちゃんができます。一つの苗で小玉スイカなら6.7個とれます。大玉はせいぜい3個というところ。梅雨が短くて降雨量が少なければ日照と温度が確保できます。お天気次第、あなた任せであります。

 地植えのスイカは、ジャガイモの収穫が終わるのを待って草取りした後、やっと「ワライラズ」を敷くことが出来ました。これで雑草が蔓延るのを抑え、スイカのツルが安心して広がってくれます。安定すると花が咲きスイカが生り地面からの泥撥ねも防げます。

 そしてこの時期もう一つ、何をおいてもやるべき作業がブドウであります。先日このブログでジベレリン処理(種なし処理)の話を載せました。(一部はすでに受粉して膨らみ始めたので、肥大化処理となっていましたが)

これが、「甲斐路」であります。ピカピカツヤツヤ。昨年はこの後、袋掛けしましたが、雨に打たれ病気になってすべて腐ってしまいました(´;ω;`)。雨に弱い欧州種でも極めつけに雨が禁物なんです。梅雨の高温多湿の時期に何日も雨水に濡れた状態だと、ウィルスが活性化し、茎や葉を伝って病気が広がるのです。今年は一念発起、わずか4㎡足らずながら、ロザリオビアンコとともにビニール屋根がつきました。もう2か月ほど雨に当たっていないはずです。

 しかし、すでに昨年黒糖病に感染し、この春先までは屋根が無かったので病原菌が全体に潜伏しているのは違いないわけです。昨日3回目の殺菌剤を噴霧いたしました。根競べです。乾燥状態において、何度も殺菌していれば発症を抑えられ、重症化も防げるはずだ、というのがワタシが立てた仮説なのです。

 さらに、ブドウは来週には2度目のジベレリン処理をいたします。これに先駆けこちらもツルの誘引を行いました。出来るだけビニール屋根に収まるように、そして満遍なく日照があたるようにします。シャインマスカットの棚では、一番外側のツルはどんどん剪定いたしました。これからは、ブドウの房に栄養が回るように、つるや葉っぱの生育を抑制するのです。はみ出て伸びすぎたツルは雨を受けて病気と水気を他の葉茎に運びますし、他の果樹に巻き付いて日照を悪くするのです。
こんな感じで、なんとかビニール屋根に収まっています。

 一方でつるを伸ばさせて誘引し、一方ではつるを切って抑制する、素人農法なりに試行錯誤し、手間暇かけるのも、ひとえに甘いスイカ、健康に太ったブドウを食いたい、という衝動・食欲が支えているのです。
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女性を軽視してよかったためしはない

2021年06月02日 | 時事
 コロナをきっかけに抑うつ状態の若者が増えているそうです。シングルマザーや派遣さんは職を失って生活苦、自ら死を選ぶ人もじわじわ増えていると聞きます。もともと日本は人口当たりの自殺率が高くG7では一番高いのです。先進国ではワースト10に入っています。韓国やロシアが自殺者が多いことで知られていますが、それらよりは低いだけで自殺大国と言ってもいいくらいなのです。

 特に問題なのが、女性の自殺が前年より2割程度増えているという実態です。日本の社会で女性の置かれている立場が改善しないまま、経済的な事情が急速に悪化し追い立てられているように見えます。

 自殺の多くは「将来を絶望する」というものです。老化して介護疲れ、病気になり治る見込みがない、家庭内や人間関係の悪化などがその原因です。更にお金の問題がそれに追い打ちをかけます。借金苦・手元に現金が無い、収入が途絶える、そんな生活不安が心を苛み、健康を害します。健康な人ならば、なんとか苦境を打開できますが、心や体を傷めて抵抗力を失ってくると、ささいなことでも耐えきれなくなってくるのです

 うつ病と自殺は切っても切れない関係にあります。大きなショックを受けた時(パニック症候群)や経済的な問題や人間関係などの悩みからうつを発症すると、身体はセーフティーモードとなります。重大な危険やトラブルから身を守るために生理的に「半死」状態、極端な機能低下となります。体が動かず人との話も出来なくなり、ただただ布団の中に潜ってしまいます。食べ物の味が分からなくなって食欲が失せ、夜中は不眠となります。

 初期には「さぼり病」とか言われて誹謗中傷され、外見ではそれとわかりにくいのでどんどん重症化します。そうなると社会から途絶し食べるものもなくお金もなく、その先は「死にたくなる」という悪循環に陥るのです。ちゃんと病院に行き、きちんとした医療を受ければ1年で軽快、2年で薬から手が切れますが、これを怠ったり、もとの原因を取り除かないとそのまま重篤化し「廃人」同様で死ぬまで治らないという怖い病気なんです。

 ちょっと前にイギリス王室から離脱したハリー王子とメーガン妃 のことが話題になりました。テレビのインタビューで王室内のいじめでうつ状態だったと吐露しました。真相は分かりませんが、日本の皇族、美智子さんもだいぶ宮内庁内の嫌がらせがあったのは周知のことですし、雅子様が長年適応障害で苦しんだのも、王子待望などのプレッシャーや軋轢があったのは明らかでした。外務省で、世界を飛び回り、多国語を操るキャリアウーマンが一切の外遊を禁じられ、公務以外は軟禁状態だったですから。

 最近では深田恭子さんが適応障害の治療でしばらく休養すると発表されました。
 さてそこで大坂なおみちゃんの、インタビュー拒否・休養問題が急に注目されました。全仏の直前に正式な記者会見に出ない、と通告したのが発端で、主催者は多額のペナルティーと、4大大会の出場停止を仄めかしました。なおみ選手はだいぶ前から風変わりなその発言や振舞いに賛否もありましたから、トップアスリートにありがちなワガママは許さん、という判断をしたのですね。

 テニスの関係者や選手たちからは、大金を貰う以上はインタビューなども含めてテニスで、注目され影響力もあるのだから、記者会見で説明すべきだという意見や論調が多かったのです。日本でも、ちょっと天狗になってる、とか負けたらインタビューに出ないのか?などと論じる向きも多かったように見えました。

 するとなおみ選手は、「数年前からうつ病に苦しんでいる。自分の心の健康を守るためにプレス会見拒否した」と明らかにしました。これで一気に流れが変わりました。これを出したらもうけんかになりません。グランドスラム(大会主催者)が、世界rank2位の人気選手の心の病を逆なでし、最悪の場合選手生活も絶たれかねない事態を起こした張本人(被告)となってしまうからです。金を払うのはこっち、賞金を稼がしてやるのだから文句を言わず、主催者の言う通りにやれ、という思い上がりだと批判されます。

 実際になおみ選手がどんな体調だったのかは存じません。彼女のプレーや話しぶりからは、ナイーブでシャイな少女、気配りが目立ちあまり話上手でもなく、心の起伏がプレーに影響するようなタイプに思えます。本人が出たくないと言うにはよほどの理由があるはずです。事前に拒否通告があった時点で、選手の体調や本音・内在する問題点をヒアリングして探り、運営上の配慮や改善を検討するという深慮遠謀があれば、だいぶ展開が変わっていたのだろうと思います。いきなり「じゃあ罰金払え、そんな態度なら大会からは追放されるかも」、という恫喝めいた態度をとったら選手の気持ちは硬化するに決まっています。

 グランドスラム側も大慌てで「意義ある改善」を表明したようです。為政者や権力者は、個々人の気持ちや発言をなめてかかり軽視すると、時にとんでもないしっぺ返しを食らいます。「検察庁法改正案に抗議します 」とツイートした小泉今日子さんを挙げるまでもなく、一人の人間、とりわけ女性の言葉は、実はほとんどの人たちの素直な意見や気持ちを代弁しているのだ、と謙虚に受け止めるのがよかろう、そんな印象を持った一件でありました。
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賄賂になるほどの代物ではない(笑)篆刻印 ワクチンラプソディー

2021年06月01日 | 時事
 ワクチン接種、これは最近では人が集まれば真っ先に口に上る話題であります。
 ワタシの周りでもぽつぽつ一回目の接種が終わったという人が出てきました。知っている限りでは千葉県松戸に住む旧友が5月12日に接種したのが一番乗りだったようです。

 当然ながら「得意満面」うれしいのは人情であります。アメリカやイギリス・中国などはマスクなし、飲食の制約なしにはしゃいでいる人が沢山テレビで紹介されています。イスラエルでは、ワクチン接種がどの国よりも早く進んでいるのは、安心してパレスチナと戦闘できる為ではないかと思ってしまいます。

 グループラインなどでも、やっと接種の予約券が届いた、ようやく予約できたが8月までいっぱいだったとか、の情報が入ってきます。予約へのアプローチや自治体によってかなりのばらつきが生じているようです。神奈川県では川崎や横浜など、人口が集中した都市部での接種が遅れているのは仕方が無いのかもしれません。

 当地平塚は、今日から20日まで蔓延防止対象地区に指定されました。もはや、そうなると何が変わるの?という反応になってしまいます。緊急事態宣言同様慣れっこになってたいして緊張もしません。あの尾身先生が対談で「今の若い人で、緊急事態宣言が出てるのか出てないのか知らない子が多い」と言われて絶句していましたが、ワタシら年寄りだってあまり意識しておりません。

 平塚は地方都市のせいもあって、比較的ワクチンの打ち始めが早かったようです。うちのお隣さんも、2週間前に一回目をGホテルで打ってきたと喜んでいました。その頃にはワタシにも「赤紙」ならぬ白い予約券が届きました。ワタシのライフスタイルで言えば、最も感染しないような日常なのでそのうちに順番が回ってくるだろうとのんびり構えていたのです。

 すでにワタシはGWの後、かかりつけ医井上クリニックに薬を貰いに行ってきましたが、その時に先生から「うちも来月後半から始めるよ」と説明されました。その時点では井上先生のところは、公表された個別接種対象先になっていなかったのです。待合室には人がおらず、のんびり世間話、ワタシが頼まれもしないで勝手に彫った「姓名印」を持参したら(これを押し彫り、と呼んでいます)殊の他喜ばれました。周りの仲間にタダで彫ってるのとは違って、社会的地位の高い先生に日頃の感謝を込めて作成するので、高価な印材に気に入るまで一度は彫りなおし、側款には贈呈井上先生と刻み、念入りに磨いたものだから「わかる人にはわかる」のですね。

 その数日後、今度は家内が以前受けた健康診断の結果を聞きにいったんです。すると井上クリニックは様変わりだったようです。受付には予約申請の年寄りが殺到し、電話には看護士がかかりっきり、コール音が鳴りやまない騒ぎであった由。いい加減長生きしていてもまだ死にたくないという年寄りが多いのです。
 
 中には「ほかで断られて、手あたり次第病院を回っている」とか何年前に会社の健康診断できたことがある、などという「かかりつけ医」などというルール無視でやってきているのです。家内が受付で待っているとその前のお爺さん「集団接種で予約しているが日にちがだいぶ先なので、こちらで早く打ってもらいたい」とねじ込んでいたのであります。不承不承ながら看護士が調べて、今月20日過ぎの時間を聞いたらあろうことか「その日は都合が悪い」と断ったのでした。次の番だった家内はすぐさま「そこが空いてるならうちのお父さん(ワタシ)に回してよ」と尋ねたら、順番なので診察が終わってから申し込んで、とやんわりと断られたそうです。

 そうして診察が終わって、受付に戻ると、なんとすでにワタシの名前で予約終了!、そうです、あのジジイが断った日時に入れてくれていたのです。家内の機転で労せずして早々に接種が出来るようになりました。急ぐものではありませんが、せっかく取れた予約なのでありがたく打ってもらいましょう。その爺さんが、じゃお願いしますと言ったらおしまい、そうでなくても押せ押せとばかりつめかけた希望者から先に埋まってしまえばいつになるか見当もつきません。

 実はワタシはこのクリニックではちょっとした「顔」なんです。診察そっちのけで、メダカや書道・篆刻、ガーデニングの話をするものだから看護士もよく知っているのです。医者と患者の絶対的な関係性を無視して、世間話に興じるのを先生も面白がっているのですね。

 そんな気もなく感謝の気持ちで彫り、届けた篆刻印、これが案外利いたのかもしれないか? えらく喜んで看護士に見せびらかし、「偉くなったような気がする」と言ってくれてましたから。これがハナグスリになった?それはない(笑)

 ともあれ、若い頃の不行跡・愚行を恥じ、せめて心を入れ替え、感謝の気持ちを忘れず人のために何かをしよう、欲はかくまいというのが近年のワタシの心境、心がけであります。そうした心持があると、たまにはいいこともあるのかもしれませんなぁ。
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