あっという間に四月も半ばとなりました。
ソメイヨシノも盛りを過ぎて、今日も桜吹雪の道を歩いて帰りました。
仕事の帰り道、駅の階段で、
隣を歩いていた小柄の青年の視線を感じて、
こちらもちらっと視線を返しました。
すると 「こんにちは~」 と、にこやかに挨拶をしてくれて、
こちらは、はて、この青年は・・・どなたでしょう・・・と。
・・・青年はダウン症のようでした。多分、初めて会った人です。
ふいのことだったので、こちらも「こんにちは~」とは言いましたけれど、
果たして、青年に届く挨拶になったかどうか・・・。
もっと明るく挨拶したほうが良かったな。
それにしても、青年の挨拶、胸がキュンとなった。
誰にでも挨拶しているわけでもなさそうだったから、
自分のことを誰かと間違えたのかもしれません。
でも、わけもなく、嬉しいというか、心がプラスの方向に動かされました。
ところで、この「気持ちがプラス、またはマイナスの方向に動く」というフレーズは、
川上弘美さんの短編小説に出てきたもので、
大学生の女の子が、カチカチ鳴るカウンターで、
プラスの感情の時、マイナスの感情の時をそれぞれカウントするというお話なのです。
今日の出来事も、ひょっとしたら人によっては、
「知らない人がいきなり挨拶してくるなんて・・・不審なやつ」と感じるかもしれません。
これはマイナスの方向でしょう。
しかし、今日の自分にとっては、青年のにこやかさがすがすがしく、
プラスの方向に動かされたというわけです。
青年には心の中でお礼を言いました。
自分も少しは人にプラスの感情を与えたいと思わされる出来事でした。