杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

鞆のひな祭りを前に

2008-02-05 10:41:45 | 朝鮮通信使

 年明けから関わっていた内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)上川陽子さんの国政報告集を書き終え、ご本人の校正を待つ間、陽子さんが出演した『今夜はシャベリーノ』という番組を観ました。「アンガールズが大臣室に取材に来たのよ~、あの子達、本当に細いのよ~」と楽しそうに教えてくれていたので、陽子さんもいよいよお茶の間バラエティデビューか!と興味シンシンで観ましたが、アンガールズの2人が大臣室ソファーにかしこまって座り、「実効性ある少子化対策として未婚30代の縁結びを支援する政策は!?」と、意外に真面目に質問をしていたので、少々拍子抜け…。

  テレビタレントのようにふるまう女性議員と比べると、陽子さんは確かに地味でおカタく生真面目なイメージがあるかもしれません。自分のブログに紹介してもいいですか?と事務所スタッフに聞いたところ、「本人のお茶目で明るい性格を伝えるいい機会だから、どんどん書いてくれ」とGOサイン。マスコミに露出するのがいいとは限りませんが、少子化対策・男女共同参画というテーマを担当する大臣で、しかも、自ら働くママとして、男性社会で苦労してきたキャラクターを、少なくとも同性や、女性の力を活かそうとする男性たちにより積極的に伝えることも大事です。

 私がまとめた国政報告集は、地元の支持者にしか見てもらえないでしょう。女性向けのライフスタイルやキャリアアップをテーマにした一般誌や番組作りを担当される方は、ぜひぜひ陽子さんを活かしていただきたいと思います。

 

  少子化の問題をまとめているうちに、広島県鞆町の石井六郎さんから、鞆・町並ひな祭(2月15日~3月23日 問合せTEL 084-982-1121)のパンフレットが届きました。再三、紹介している映像作品『朝鮮通信使』のロケハン&撮影を行ったのは、一年前のちょうどこの頃でした。

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 午前7時前、陽が昇る頃、まるで映画のセットのような美しい町並みを、ぶらぶら一人で散歩しました。

 Photo_2 ぐるっと一周歩いても1時間かからない、小さな港町です。

その中に、瀬戸内の潮待ち港として歴史を刻んだ数々の証しが点在し、地元の人々の力で美しく保たれています。

 昨年5月、朝鮮通信使全国大会&上映会に来静した鞆町の関係者が、清水・興津沖の港湾の様子を見て、「反面教師になる」と呟いていたのが忘れられません。

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 今、この美しい鞆の港周辺を埋め立てて港湾&道路整備をしようという計画があり、住民有志が反対運動を行い、裁判にまでなっているそうです。

 確かに、昔のままの町並みですから、軽自動車でしか通れないような狭い道が多く、私たちも、ロケ車を離れた駐車場に止めて、歩いて機材を持ち運ばざるを得ない状況でした。実際に生活している人からすれば、何かと不便も多く、開発を支援する人・反対する人で町は二分しているとか。

  現在、鞆に住まいを持つ映画監督の宮崎駿さんや大林宣彦さんら著名人が音頭を取って、“鞆を世界文化遺産にしよう”と100万人署名運動を展開しているそうす。私たちは『朝鮮通信使』で、そんな運動があるとは知らず、純粋に鞆の町並みの美しさに感動し、風景をふんだんに取り入れ、後から、鞆の関係者より、運動の励みになると喜んでもらいました。

 来月、また鞆のひな祭りに行って、関係者の方々と交流を深め、気になる運動の行方も聞いてこようと思いますが、何より、こういう伝統ある町で、町を上げて、我が家に伝わるひな人形を飾って見てもらおうと努力していることに感銘を受けます。

  

  ひな人形とは、子どもの健やかな成長を祈る気持ちの証し。上川陽子さんの原稿の最後に、陽子さんが北斎の浮世絵を観て、江戸庶民の祭りや生活道具がきめ細かく描かれていたのに感動した話を加えたことを思い返しました。

 

  「私たちの暮らしの営みは、過去の日本人の暮らしから受け継がれてきたものに支えられている。今の問題しか見ず、今がよければいいという対策にとらわれてはいけない。今の決断が、子や孫たち=未来の日本人の暮らしにつながることを、政治家は自覚しなければ」。