杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

みかん、サンガ、大仏、ノルウェー産日本酒、つぶ食

2010-11-27 20:27:13 | アート・文化

 怒涛の1週間が終わります。変なタイトルですみません、タイトルを考える余力がなく、とりあえずこの1週間でかかわったものを列記しました 写真だけのご報告でスミマセン・・・。

 

 

 まず22日(月)は朝一からJAみっかびみかん選果場の取材。東洋一の規模を誇るみかん専用の最新式選果工場です。

Dsc_0039  農家は収穫したみかんを既定のケースに入れて車で運びいれるだけ。車からケースを移動させるのも、ケースを仕分けするのも全自動です。高齢化が進むみかん農家の負担を減らすのと、各農家のケースにはICカードならぬICボールを付けるので、トレーサビリティーが一発で出来る一石二鳥のメリットあり。不良品のチェックだけは人の眼で行いますが、大きさや糖度計測もすべて自動センサー。梱包もロボットで行い、あっという間に配送トラックに積まれます。

 こんなすごい工場が、冬場のみかん収穫期しか稼働しないのですから、ぜいたくな話・・・。でもこれくらい徹底して品質管理しないと、産地競争には勝てないんですね。

 

 

 

 

 23日(火・祝)は朝一から伊豆稲取の観光取材。稲取は何度も訪ねているのでポイントは承知してるし、今回は稲取東海ホテルの滝社長がアテンドしてくれたので気は楽でした。早朝に走った天城山の紅葉が、雨上がりでホントにつやつやと輝いていて、つかの間、もみじ狩り気分を味わいました

 

 アットエス地酒の店でもおなじみの「笑の家」と「誇宇耶」で、稲取の新しいB級グルメにしようと盛り上がっている『サンガ』をご馳走になりました。地魚をミImgp3307 ンチにし、3種類の薬味(三香=サンガ)と混ぜた“なめろう”状態のものを、ハンバーグ状にして、焼いたり揚げたり煮たりする漁師の家のお総菜料理。食感はひき肉を使ったハンバーグや肉団子だし、魚のたたきだからヘルシーだし、いろんな料理に使えるし、うまく行けば大バケするかも!?いずれはB1グルメコンテストに出品する予定だそうです。

 

 

 

 

 

 

 24日(水)は松崎晴雄さんの日本酒市民講座に参加するため東京へ。その前に『東大寺大仏~天平の至宝』(東京国立博物館)を観に行きました。大仏さまや月光菩薩さまが東京へやって来れるわけはないのですが、法華堂のご本尊・不空羂索観音菩薩さまの光背を間近に観られて大感激! 平安末期~鎌倉期に大仏殿を再興させた重源上人や、江戸時代に大仏さまを修復した公慶上人の像にもすぐ近くでお目にかかれて、博物館展示の素晴らしさを満喫しました。

 東京芸大大学院の学生さんたちが、「月光菩薩が出来るまで」を解説した制作工程展示&ギャラリートークも大変興味深く聴講しました。・・・こういう仕事に就くのが夢だったんですよね~私。

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 夜の松崎さんの日本酒市民講座は、南青山のオシャレなカフェが会場。ノルウェー、カナダ、アメリカ、ベトナム、台湾で造られた日本酒を飲み比べるという貴重な講座でした。いわゆる大手酒造メーカーの現地生産ではなく、現地の人が建てたマイクロブルワリー(小規模地ビール工房の規模)の蔵元です。米や酵母は日本から取り寄せ、山廃や生酛タイプの、酸も香りも高い濃厚な味が多かった。なんでも向こうの蔵元は「生きた乳酸菌を取り込むことに神秘性を感じる」らしいです。

 

 

 松崎さんがわざわざ持ち運んだというノルウェーの『グリムスタッド』という蔵は、地ビールを造っていたそうですが、2009年に日本酒『裸島』を初めて造り、これが商品化第一号。蔵元はスカンジナビア航空の現役パイロットで、日本に頻繁に来ていてSAKEに興味を持ち、長野の『真澄』で酒造り体験までして、地ビImgp3314 ールに協会7号酵母を使うほどマニアックなファンになったとか。酒はすべて山廃で、生原酒や無濾過など5種類ほど試飲しましたが、どれもキョーレツな味でした(苦笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 25日(木)は國本さんと5日朗読会のリハーサル。その様子はこちらをご参照ください。

 26日(金)は水窪町でつぶ食レストランを経営する石本静子さんの取材。

 

 

 石本さんのところへはこの20年のうちに2~3度におじゃましていて、今回は10年ぶり。何にもない限界集落のような村で、稗や粟や蕎麦をつぶ食という伝承料理として特産化し、水窪の気候風土にあった作物の種をアジア諸国からImgp3337 探して試験栽培するなど、本当にパワフルに活動する石本さん。つぶ食メニューは昔と変わりませんでしたが、古い民家を農家レストランに改装し、40人以上収容できるようになったとか。

 ツーリングでやってくるバイク野郎のお兄ちゃんたちが、「田舎のばあちゃんちに遊びに来たみたいだ~」と喜んでくつろぐことも多いそうです。

 

 

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 数多くの取材や視察を受ける地域おこし有名人の石本さんが、「真弓さんでしょ、覚えてるわよ」と挨拶してくれたときは、なんだかジーンとしてしまいました。

 3日前に稲取で会った「なぶらとと」のオーナー、3年前に県商工連の『つまんでごろーじ』でキンメの卵の味噌漬けを企画開発した時、さんざんやり取りしたのに、私のことをまったく覚えてなくて、自分はその程度の存在&世の中そんなもんだと苦笑いしたばかりだったのです。

 ・・・縁のあった人をちゃんと覚える、ちゃんと覚えてもらうって、地域を元気にしようと行動を起こす時にはホント、大事だな~って改めて思いました。

 

 

 ホントは1日ずつちゃんと報告したいところですが、駆け足の1週間レポですみませんでした