今朝(9日)の静岡新聞経済面でも紹介のあったとおり、昨日、浜松遠鉄ホールで(社)静岡県ニュービジネス協議会主催の『2012静岡県ニュービジネスフォーラムIN浜松』が開催され、今年の静岡県ニュービジネス大賞が決定しました(昨年度の記事はこちら)。
大賞は、高性能LED照明装置「ホロライト」を開発した、パイフォトニクス㈱(浜松市)。社長の池田貴裕さん(37)以下、社員の多くは、浜松ホトニクス出身で、光産業のプロテク集団です。池田社長の公開プレゼンテーションは、博士号を持つハイスペックなメカニシャンなのに関西弁(和歌山県のご出身)でごっつぅ親しみやすく、ハートに響く名言を吐いてくれました。
なんだかメカメカしい、一般市民には縁がなさそうな会社ですが、最近街づくりや観光イベントなどで人気の、アーティスティックなライトアップと聞けば、身近に感じるんじゃないでしょうか。同社が開発した「ホロライト」は、太陽光線と同じ擬似平行光を発生できる高性能LEDで、照明光の拡がり角の調整ができるため、必要な場所だけピンポイントでスポット照明がOK。キューブ型なので、直列・並列にいろいろ並べて、遠くのビルとか山の斜面に遠隔スポットを当てることもできます。
浜名湖の舘山寺温泉では、ホロライトキューブを300基設置して、500メートル遠方の対岸の大草山に【大】の字を描きました。浜松市の万年橋パーキングで開かれたお月見イベントでは、パーキング外壁に10メートル以上の光のラインを出現させました。また三重県鳥羽市の三ツ島では、島をまるごとライトアップ!なんて荒業も可能。池田社長のもとには、「富士山の世界遺産登録記念に、富士山をライトアップできないか」という相談が来ているそうです。
ステージイベントにも重宝され、年末恒例の日本レコード大賞(TBSで中継)の舞台でビームライトが使用されたとか。
もちろんイベントだけではありません。ホロライトは主に製造現場での目視検査用照明に活用されていますが、10メートル以上延びる光のラインが作れるのですから、高層ビルの建築、道路のセンターラインや境界線などに応用して事故防止に役立てることもできる。災害時には避難所の応急的光源になります。
キューブ自体は130ミリ×100ミリというお手軽サイズ。単体での活用、何十個・何百個並べての活用がいろいろアレンジできるんですね。富士山をライトアップするとなると、何千個・何万個のレベルかもしれないけど(笑)。
審査委員長の奥村昭博先生(静岡県立大学大学院経営情報イノベーション研究科長)は、「書類審査のときは、何に使える技術なのかさっぱりわからなかったが、プレゼンテーションを聞いてベンチャーらしい勢いと、わくわくする面白さや遊び心を感じた。大化けするかもしれないし、しないかもしれないが、ベンチャーとは本来そういうもの。“誰とでも融合できる”という点にも魅力を感じた」と講評しました。
「ホロライト」自体は単純な照明器具ですが、光を活用するという目的において相手を選ばず、誰とでも価値観を共有し、融合できる。相手が企業でも行政でも芸術家でも、それぞれの目的に合わせられます。池田社長は「中国人や韓国人ともコラボできる。地球を平和にできる技術だと信じてがんばっている」と熱く語りました。そして、「人生とは、経験に基づいた運命と、夢や希望で変わる未来がある」と。・・・37歳とは思えない老練さも感じる言葉ですね。
交流会の席で「あの言葉に感動し、さっそくFBにアップした」と伝えたところ、経営者の哲学や名言を読むのが好きで、「実際にそのとおりや」と実感しているとか。その素直な人柄もいいなあと思いました。池田社長とはさっそくFB友達になっていただきました♪
会社HPにいろいろな事例(こちら)が紹介されていますので、参照してください。
なお、静岡県ニュービジネス大賞特別賞には、LEDよりも高効率の、約6万時間の長寿照明と省電力を実現した「エネプライト」を開発した㈱TOSMO(磐田市)が受賞しました。パイフォトニクスとジャンルが被ってしまいましたが、日本国内でいまだに使われている水銀灯を「エネプライト」に換えたら、日本の電力コストは5分の1に減ると聞いて、これまた凄い技術だ・・・!と感動しました。詳しくはこちらの会社HPを参照してください。
公開プレゼンテーションを行った最終審査にはほか2社が参加しました。㈱NOKIOO(浜松市)は、企業の会社案内を電子書籍化し、動画や音声・翻訳機能等も備えたアプリ「ピノキオ」を開発。営業プレゼンツールや就活ツールに重宝できます。
杉山フルーツ店(富士市)は、フルーツゼリーで有名な杉山清さんの迫力あるプレゼンが印象的でした。
3食に1食は廃棄処分されるという食の業界、とくにスイーツ産業は大量生産・量販で市場崩壊しているという厳しい環境下で、30年来、手作り・手売りに徹して現在のポジションを確立した手腕はさすがです。
ご当人に何かあった場合のリスクヘッジの点で、審査員からは「事業を継続していく上で、杉山さん自身がリスク要因になっていないか」と指摘されていましたが、いずれにしても、ニュービジネス大賞に杉山さんのような方がエントリーしてくださって、大変面白かったし、個人事業者の経営課題を考える上では大きな意義があったと思います。
フォーラム当日の模様は、昨年同様、静岡新聞にて紙上フォーラムのカタチでご報告できると思いますので、今しばらくお待ちください。