ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

安倍さん、あなたの『世界で最も』が、どれほど軽薄で嘘っぱちなものか、それがよく分かりました

2014年07月29日 | 日本とわたし
安倍さんは、なにかというと、『世界』という言葉をよく使います。
安倍さんの言う『世界』とは、いったいなんのことを意味してるのでしょうか。
『世界で最も厳しい』
『世界で最も優れている』
彼の言う世界がどれほど粗末で嘘っぱちなものか、それがこのビデオにはよく表れています。

毎回、申し訳がないのですが、Daily Motionのビデオを、ここに載せることができません。
いつものように、紫色の大文字をクリックしていただくと、別画面にビデオが出てきます。
ビデオを止めて、数枚写真を撮ってみましたが、どれもピンぼけで見にくいものばかり…申し訳なく思っています。


日本の原発というものが、いかにいい加減で、無責任な考え方の元に成り立ってきたか、
しかも、あの凄惨な事故を経験してもなお、ほとんど改善されることもなく、この先も続けられようとしているか、

そして、スリーマイル島とチェルノブイリの事故後、それらの事故を教訓に、設計段階から考え抜かれた数々の安全対策が、欧米の原子力業界には存在していること、
メルトダウンは起こり得るものだという認識で、それに対する対策はもちろん、
過酷事故が起こり、『メルトダウンに至る事象の始まりから12時間は、格納容器保護のために人的対応に依存してはならない』というように、
事故の対処に当たる人たちの、被ばくの軽減にまで踏み込んだ規定が、原発の設計基準には組み込まれています。

規制当局の容赦ない審査。
極めて高い要求。
それに右往左往する企業に見切りをつけて、離れていく金融機関。

でたらめな使い方で長年良い思いをしてきた国々も、皆が気づき始めたことで、これまでのいい加減なやり方では通用しなくなり、
きちんとしようとすると、とんでもない額の費用がかかるので、原発から撤退し始めているのは当たり前のことです。

けれども、原発が、そんな危険でどうしようもないものだということを、まだ知らない国には、
窮屈で厳しい規制や基準から外れた、以前造っていたような原発を、どんどん売り込んで大もうけする。
もうそれぐらいでしか儲からなくなった以上、ダブルスタンダードと言われようが言われまいが、会社を守るためなら行け行けどんどん!

原発をたくさん抱え込んでしまっている国は、なにも日本だけではありません。
けれども、地震大国が、ここまでの数の原発を、それもご丁寧に、国をグルッと囲むようにして建てているというのは、
やはり誰が考えても、世界一阿呆な現象だと思います。

建ってしまっているものはしようがない。
けれど、稼働はしていない。
二度と、一基たりとも、燃料に熱を入れないこと。
一日でも早く、廃炉作業を開始すること。

廃炉には、90年かかります。
これは、前に、鈴木耕さんが書いたコラムで読んで、覚えた数字です。
廃炉先進国といわれるイギリスの現状を、毎日新聞の記事と照らし合わせながら、紹介してくださっていました。
 
↓以下、転載はじめ

廃炉作業の費用と期間に隠されている
原発の真っ黒な現実。
廃炉だけに特化した「廃炉庁」を早急に作れ!


毎日新聞(8月19日付)の特集記事が興味深い。
イギリスの原発廃炉作業に関する2面にわたる特集だが、それを日本の場合と比較して調べているところがなかなかいい。
 
まず、イギリスの例ではこんな具合だ。

「解体先進国」英の原発
稼働26年 廃炉90年


世界で最も廃炉作業が進む原子力発電所の一つ、英ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力23.5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。
1993年の作業開始から20年。
責任者は、「既に99%の放射性物質を除去した」と説明するが、施設を完全に解体し終えるまでに、なお70年の歳月を要する。(略)
 
65年に運転を開始し、91年に停止した。
原子炉の使用済み核燃料(燃料棒)は、95年に取り出されたが、圧力容器周辺や中間貯蔵施設内の、低レベル放射性物質の放射線量は、依然高い。
このため、2026年にいったん作業を停止し、放射線量が下がるのを待って、73年に、廃棄物の最終処分など、廃炉作業の最終段階に着手する。(略)


なんとも気が遠くなるような話だ。
これまでに20年間を費やして、廃炉作業を行ってきたが、最終処理まであと70年かかるという。
つまり、合計で、90年の歳月が必要ということになる。
しかも、これは、深刻な事故を起こしたわけでもなく、普通に運転をして、普通に廃炉作業に入った原発で、
なおかつ、23.5万キロワットという、小さな原発である。
それでも、これだけの時間が必要なのだ。
 
問題はそれだけではない。
大きくのしかかるのが、「廃炉費用」だ。
このトロースフィニッド原発の廃炉にかかる総費用は、約6億ポンド(約900億円)になるという。
だがこれは、現段階での試算。
あと70年間に、それがどうなるかは、実は誰にも分からない。
 
この費用問題について、同記事は次のように書く。

(略)事故を起こした東京電力福島第一原発1~4号機を除けば、国内の商用原発で廃炉作業が実施されているのは、
日本原子力発電東海原発(出力16.6万キロワット、炭酸ガス冷却炉)と中部電力浜岡原発1号機(54万キロワット、沸騰水型)、同原発2号機(84万キロワット、同)の計3基にとどまる。
 
日本原電は、東海の廃炉費用を、計850億円と見込み、2020年度までに終了させる予定。
中部電は、浜岡1、2号機の2基で、841億円かかると想定し、36年度までに終える計画だ。(略)
 
一方、福島1~4号機の廃炉費用は、「青天井」になっている。
東電は、4基の廃炉処理に、これまで9579億円を投じたが、放射性汚染水問題については収束のめどが立たないうえ、
溶けた燃料の回収・保管には、新たな研究開発費用が必要となる。(略)


だいたい、この廃炉費用の、各電力会社の概算が怪しい。
ほんとうに、こんな見積もりで、廃炉は可能なのか?

↑以上転載おわり


原発を稼働させるのはもうやめましょう。
やめさせましょう。
日本が本気にならないと、そのためには、日本に暮らしている人たちが本気にならないと、
この、日本のからだを腐らせてしまう恐ろしいバケモノを、根こそぎ引っこ抜けません。

報道ステーションのビデオの文字起こしをしました。
ビデオは、↓下記の紫色の太文字、または文字をクリックしてくださると、別画面に出てきます。

報道ステーション
『原発の〝世界最高基準〟驚きの現実…日本は遅れていた!』

http://www.dailymotion.com/video/x225181_原発の-世界最高基準-驚きの現実-日本は遅れていた_news?start=229

古館アナウンサー:
新聞のテレビ欄では何回も、今日はこの特集をお送りします、と告知していたにも関わらず、ずっとなかなかできなくて、今日に至ったんですが、
世界の原発の安全基準について見てみよう、ということで、
この写真は、『十万年後の安全』という映画でも有名になりました、フィンランドのオンカロ、最終処分場の方ですね。



こちらがあまりにも有名というところがありますけれども、同じ所に地続きで、オルルオト原発、こちらもあるんですね。



この原発と日本の原発を、比較してみます。


欧州基準から見ると…、
日本の原発は〝安全〟か?


今月16日
安倍晋三総理大臣
ま、世界でも、最も厳しい安全規準に則ってですね…」

川内原発が審査に〝合格〟したその日ー
総理は、世界で最も厳しい規制基準だと、胸を張った

原発の新規制基準⇒〝世界で最も厳しい〟とは本当なのか?

我々は、最新鋭の原発建設が進むフィンランドで、その答を探した。


原発の〝世界最高基準〟
驚きの現実…日本は遅れていた


田実万紗子リポーター:
ヘルシンキから車で3時間あまり走ってきました。
ここから先、さらに進んだ所に、オルキルオト原発があります。



深い森を抜けると、目的地(フィンランド・オルキルオト/5月下旬)に辿り着く。
初夏とは思えないような、冷たい風が吹き付けていた。
ボスニア湾に面した広大な敷地の一角で、オルキルオト3号機の建設が進む。

すでに稼働している1、2号機。
そして、地中深くに核のゴミを埋める、最終処分予定地『オンカロ』も、併せ持っている。



2005年着工の3号機は、世界最大の原発メーカー、フランスのアレバなどが受注した。
EPR(欧州加圧水型炉)と呼ばれる次世代の原子炉だ。


田実万紗子リポーター:
まず驚かされるのが、原子炉格納容器です。
こちら、ご覧ください。
ドームのようになっているのですが、日本の原発にも似ていると思うんですけれども、
実はあのドームの部分ですね、鉄筋コンクリートで2重の構造になっています


ここには、設計段階から考え抜かれた、数々の安全対策があった。


パシ・トゥオヒマー広報部長・TVO(電力会社):
あそこは、2重のコンクリートが被さった2重構造です。
ですから、何が起きても、突き破られることはありません。
内部で、また外部で、何が起きても、影響を及ぼすことがないように造っています。


建物の2重構造は、テロ対策の一環でもある。
核燃料を燃やす原子炉容器に、それを囲む格納容器。


ここでは、原子炉を守る格納容器が、2重の構造になっているのだ。




9.11の(同時多発)テロの後、欧米で安全規準が強化され、航空機の衝突に耐えられる構造が求められるようになった。


2重の格納容器という発想は、日本の基準には無い

福島の事故を受け、日本の新基準で義務付けられた、フィルターベント
事故の際、格納容器が破損しないよう圧力を下げる装置で、放射性物質を取り除くフィルター(排気設備)がついている。
(日本)国内の導入は始まったばかりだが、ヨーロッパではすでに〝標準装備〟だ。


STUK(フィンランド規制当局)・キルシ原子炉規制部門チーフ:
重大事故をコントロールする対策は、スリーマイル島(米国)とチェルノブイリ(旧ソ連)の事故後、1980年代が終る頃に定められました
稼働中の原発にも、1990年代に、対策を講じています


さらに驚いたのは、メルトダウンを想定した対策だ。
格納容器の底に、コア・キャッチャー(Core Catcher)という受け皿が用意されている
コア・キャッチャーは事故の際、原子炉容器の底を突き破って溶け落ちた核燃料を、まず受け止める。


そして、引き延ばすように広げて、高温の燃料を冷やし、格納容器の外に漏れ出すのを防ぐ
のだ。


広げて冷やすとは、いったいどういうことなのか。

これは、フランスで建設中の、同じ型(EPR)の原発(フラマンビル原発3号機)で撮影された、コア・キャッチャーの映像。








超高温に耐える素材でできていて、広さは170平方メートル。


核燃料を薄く引き延ばし、熱を逃がしやすくする。

特別な化学材料が用いられ、ここで冷却し、封じ込める。


事故が起きるたび、その教訓を活かし、2重構造やコア・キャッチャーなどを取り入れてきたヨーロッパ
原発の設計基準には、メルトダウンに至る事象の始まりから12時間は、
格納容器保護のために、人的対応に依存してはならない
と、規定されている



電力会社TVO・エサ・マンノラ顧問:
何よりも最優先に考えているのは、安全であることです。
重大事故が起きた場合、例えば、福島のようなケースでは、数時間、人の手を使わなくてもよいようにとは、考えています。


これだけ厳しい基準となれば、当然、金がかかる。
とんでもないことになっていた。


田実リポーター:
原子炉での重大な事故を想定し、あらゆる対策を施した、最新鋭の3号機。
ただ、安全審査が厳しいこともあり、何年も、工事が遅れてしまっています


規制当局の容赦ない審査によって、オルキルオト原発(3号機)の工事は長期化している

オルキルオト3号機
2005年着工
2009年稼働の予定は、大幅に遅延


追加措置も指摘され、コストはみるみるうちに膨れ上がった
その額は、当初の3倍規模、1兆円を超すと言われている。
世界をリードしてきた原発メーカー・アレバだが、ドル箱(高収益)の送電網部門を、丸ごと売却する窮地にまで、追い込まれてしまった。
当局の要求レベルは、それほど高い



アレバ・アレキシス・マランシック執行役員:
安全性を向上させるのに金をかけるのは、良い悪いの問題ではない。
安全面への投資をやめれば節約にはなるが、建設はおろか、原発は存在できない。


巨大企業をもってしても、厳しい安全要求には従う他ない


佐藤暁氏・原子力コンサルタント(元GE技術者):
日本の安全規準とか、それからまあ、それを発電所に導入する仕組みがですね、周回遅れ、
追いついたというならばですね、まあ、ヨーロッパの10年前、ぐらいですか。


〝世界で最も厳しい基準〟だと、自画自讃する政府


しかし、規制委員会の田中委員長は、言葉を濁す。

田中俊一委員長(原子力規制委員会):
その、世界最高水準とか世界最高とかってのは、やや政治的というか言葉の問題なんで、具体的ではないんですよね。

そして、コア・キャッチャーなど、海外の最新技術については、
「既存の施設に追加するのは難しい」「具体的な技術指定はしない」とした。

Q. コア・キャッチャーや2重の格納容器を、今後要求していく考えはないのか。

田中委員長:
2重格納容器とかコア・キャッチャーってのは、設計段階から入ってかないといけないんで、ちょっとそう簡単ではないわね



だが、諸外国は、現実に起こり得る『危険』に対し、常に高い意識で、何重もの工夫を積み重ねてきた


佐藤氏:
基準からですね、ほんとは、もう一回作り直さないといけないぐらいだと思うんです。
ですけれども、もうだいぶその(原発の適合審査)先に進んできちゃってるわけですよね。
ここから何をやったらいいのかと、ヨーロッパ、アメリカと比べて明らかに欠けているところ(視点)を、
きちんと洗い出して見ていかないといけない
と思います。


古館アナウンサー:
管さんに伺う前に、ひとつ、あのフィンランドのあそこの地層は、18億年前から動いていないと言われる、強烈な岩盤、その前提がちょっと違い過ぎるんですけど、
あとどうでしょう?


姜尚中氏(国際政治学者):
聖学院大学学長。東アジア情勢に詳しい。
近著に『心の力』小説『心』

やっぱりこう、観てて思ったのは、結局◯◯の違いで、人間の命に対する考え方が、根本的に違うんじゃないかなと。
ですから、やっぱり人間の命が、安く見積もられている、としか思えないんですよね。
基本的に、事故は起きるもんだと、人間がやるものは、事故は必ず起きるわけで、
で、起きるという前提でコア・キャッチャーを造ったり、つまり、炉心溶融が起きても、核燃料をしっかりと捕捉して、それを冷やして封じ込めると、
それからまあ、格納容器の2重構造を造ってですね、まず人間がもう十(←まうみ注・十ではなく)数時間、何も加えなくてもいい状態にある

前あのー、東海村でしたかね、あの原発事故が起きた時には、バケツで汚染水を汲み上げてたわけですよね。
そうするともう、人がそこで、莫大な被ばくを帯びるいるわけですから、
結局、人間の命というものが、やっぱりあまく見られているという感じですね。
で、その根本的な違いはやっぱりあるんじゃないかと。
ですからこれはもう、生命観の問題で、その問題を解決しないと、安倍総理の言ってらっしゃること、
例えば『アンダーコントロール』にせよ、あるいは今回の『世界一厳しい基準』にせよ、やっぱりこれ、言葉のあやで実態をくぐり抜けようとしていて
本人もそう、なんか信じ込みたいのかどうかは分からないんですけど、まあある種、言霊の世界に自分を追いやっているとしか思えないんですよね。
だから、事態をしっかり見ないといけないし、その上で、やっぱり採算が合うのか合わないのかという問題ではなくて、
原発を進めるということは採算が合わないと。
で、合わなくてもやる、ということであれば、今回のような、フィンランドのようなことになるわけで、
採算もたくさん取りたい、そして進めたい、これは実はもう、水と油で、どちらかを選ばなければいけないわけで、
最終的には、採算が合わないならどうしたらいいか
やっぱり脱原発を求めるしかないわけですよね。
ですから、資本主義社会においては、採算、つまり経済性というのが一番優先されるわけですから、
自ずからそういうふうになっていくんではないかと。


古館アナウンサー:
さらにもう一つ、ちょっと穿つ過ぎと言われるかもしれませんが、正確に調べ抜いたわけじゃないんですけど、
ヨーロッパもずるいなって思うところがあって、
フランスのアレバでもそうですけれども、あれだけの、何兆円とかかってしまうっていう現実がありながら
あれはヨーロッパ向け、のような気が一瞬してですね、
新興国に向かっては、もうちょっと割安な原発をどんどん売って、儲けてるんではないですかと。
そこまで原発のことってのは考えないと、さっきの、命に関わってくると思っちゃうんですよね。


姜氏:
だからヨーロッパも、ヨーロッパという枠組みの中での一つの価値観と、しかも西ヨーロッパと東ヨーロッパは違いますけど、
やっぱりそういう西側諸国の高い水準は、ヨーロッパの外側に行くと、いわば、かなり低く見積もられるし、
で、そういうダブルスタンダードですよね、
そういうものを無くしていくならば、自ずから原発は限界がある、そうなるわけですよね。
ですからまあ、ちょっとこう、ある種の偽善的なものも、そこにつきまとってますよね。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする