ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

大きくなり過ぎることの恐ろしさ

2010年08月12日 | ひとりごと
もう25年も経っただなんて信じられない。
けれども、次の年に生まれた息子がもう24才になるのだから、それだけの年月が経ったのは事実なんだ。

くり返し観続けたテレビのニュース。ワイドショーで紹介される遺書の数々。最後の30分の、死と直面した人々の思いや叫びが明らかになり、もし自分がその場に居合わせたらどうだったろうと、思いに沈み込んだ毎日。

いろんな本を読んだ。ノンフィクションも小説も。
そこにいつも、その現場の足場の厳しさが書かれていた。
何十年もかけて、日航の職員や専門家の手で整備され、格段に登山がしやすいようになったとはいえ、それでもまだ登るには相当の覚悟がいる。



でもそれはまた、そこで眠らざるを得ない運命を背負わされた520の魂を、ただの興味本位や遊びでやってくる人々を山が遠ざけてくれているように思える。

近くの小学生が、登山の時の助けにと、杖を用意してくれている。
杖の一本一本には、子供達からの励ましや、優しい言葉が刻まれている。



悲惨な事件や天災が起こった地域の周りには、そうやって命の儚さ、尊さを学び、自分を大切に思うように他人のことも大切に思える子供が育つ。
人が命をかけて教えてくれたことだもの、それを受け取る側は、足の裏をしっかりと地に着け、腹に力を入れて、がっしりと受け止めなきゃ。

けれども残念なことに、そうやって受け止めるのはたいてい、市井の市民で、大きくなり過ぎた国の政治家や軍の幹部や会社の役員は、わかったような顔をして頭を下げるだけで、その下げた頭の中ではもうすでに、どうやってこの損害を補えばいいか、カチャカチャと計算機を叩いている。

だからまた、あちらこちらで悲劇が起きて、その被害を被るのは政治家でもなく、軍の幹部でもなく、会社の役員でもない。

それがものすごく腹立たしい。



『慰霊の園』
 
日航機が墜落したのは、群馬県の上野村。
1985年8月12日の夕闇迫る長野県に近い山の中。
慰霊の園は8km彼方の事故現場である御巣鷹の尾根を拝する形で、村の中心地に設けられた。
合掌を形どった慰霊塔、その奥の納骨堂には、身元不明の遺骨が123の壷に納められている。
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サラダ日和

2010年08月11日 | ひとりごと
こいつがあんまり美味そうにムシャムシャぱくぱく葉っぱを食べるもんで、


え?それってボクちんのことっすか?


我々もサラダ!


赤いパプリカと紫玉ねぎ、きゅうりと昨日茹でたコーンの残りと黒豆の水煮、そしてシラントロを大量にまぜまぜ!
そこにクミンパウダー、カイエンペッパー、オレガノなどのスパイスと、ライムジュース、オリーブオイル、ちょいとお塩を加えたものを加えました。

そしてこれ、


右の方の、ちょっと色が浅いのがうちのプチトマト。でも、甘みは赤い方より上!わ~いわ~いそろそろ収穫が近づいてきましたよ。
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米国ヒーロー事情

2010年08月10日 | 米国○○事情
夕飯を作る時には必ずCNNのニュースを観る。というより聞く。
あんたひとりとちゃうで~感が台所に漂うことがとても大切。
なので、別にラジオでもいい。
CDとかの音楽はだめ。ライブでないと。

最後の患者さんが来なかったので、早めに戻って来た旦那。
手を洗い、服を脱ぎ、アンダーウェアマンに変身してテレビを観る。
そして突然「アハハ!」と笑った。

それは先日のこと。
ある航空会社の客室乗務員の男性(38)が、旅客機の乗客の理不尽な振る舞いに怒り、脱出シュートを使って職場放棄し、逮捕された。

事の次第は以下の通り。

『AP通信などによると、この客室乗務員は米ジェット・ブルー航空のスティーブン・スレイターさん(38)。
ペンシルベニア州からニューヨークに向かう機内で9日、荷物の置き場を巡って苦情を訴える女性の乗客から、離陸前と着陸後に再三、悪態をつかれ、殴られて額に傷を負った。

業を煮やしたスレイターさんは、「尊厳と敬意をもって搭乗された皆さん、ありがとう」と機内放送すると、キッチンのビールをつかみ、脱出シュートで機外に立ち去った。その後、迷惑行為などの容疑で逮捕された。

ニューヨーク州の刑事裁判所は10日、保釈を決定。
スレイターさんは停職処分になったものの、インターネット上には、「誰もがやりたいが、出来ないことをやった」と、スレイターさんを支持する書き込みが数時間で1万5000件を超え、米メディアは「職場のイライラを抱える人たちの琴線に触れた」(タイム誌電子版)などと伝えている』


ほとんどが事実だけど、彼が機内放送した言葉はMワードやFワード満載で、そりゃもう強烈だったらしい。
持ち去ったビールは2本。逮捕されたのはクィーンズにある自宅。


ついさきほど、肝気鬱結(Stagnant Liver Qi)のことを記事にしたところだったので、旦那と一緒にわたしも大笑い。
もしそこに旦那が居て、もしそんなことが許されるのであれば、スレイター氏が後ろ手に取り押さえたその女性に『肝気鬱結』治療用の鍼を旦那が打てば、もしかしたら事の顛末は違うものになっていたかも知れない。
などと、好きなことを想像しながらニュースの続きを観た。

もちろんこのご時世だから、即ネットで広がり、「ようやった!」「あんたは正しい!」などと支持するコメントが数多く寄せられ、YouTubeには模倣ビデオやらミュージックビデオまで登場。大騒ぎもいいとこだ。

でもね、『誰もがやりたいが出来ないこと』を出来ないまま、うつうつとしている人達がこんなに多くて、少なくともその人達に、あっつぅ~い日にキリキリッと冷えたサイダーを飲んだ時のような、小さいけれど確実な幸せ(村上さん、またも拝借させていただきました)を与えたことは確か。

生きてりゃいろいろありまんがな……今日も暑かった。






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米国Stagnant Liver Qi事情

2010年08月10日 | 米国○○事情
Kが珍しく朝早くから起きて、同じ時間に朝食を食べました。
いい感じだったのだけど、夏休み明けから始まる大学の最終学年(願わくば……)の学費の支払い手続きがまるで進んでいなくて、そしてそれがどうして進んでいないかというと、旦那からのメールをチェックせずにいるKの怠慢が原因だということで、朝っぱらからお小言が始まりました。

こちらの大学の学費支払いについては、どんなシステムになっているのか丸っきり知らずにいるわたし……。
知らないままで、Tが卒業し、Kがあと1年。すべて旦那がやってくれました。
学生ローンや州からの援助、それから国からの援助などが必要な場合は、そりゃもう面倒くさい書類の申請をしなくてはならなくて、申請をしても、大学の事務所がうだうだしていると、それがちゃんと通ったのか通ってないのかわからないまま新学期を迎え、「え、あなたは授業を受けられませんよ。だって手続きが終わってないんだから」などとシラ~ッと言われた挙げ句に家に戻らなければならなかったりします。
旦那が親としてやるべきことは全部やったので、今度はそれをKが大学に届けたり、自分の書類を記入して申請するのみになっているのです。
ところがそれをKは全くやっていなくて、ずっと黙って待ち続けていた旦那がとうとうキレた、というわけ。

事情は納得できるのだけど、どうも口調がどんどんキツくなってきて、ちょっと余計に怒っている感が無きにしもあらずの旦那。
高温、高湿度の不快指数上がりっ放しの朝だけど、叱られてる方はたまらんわな~と、ちょっと同情しないでもありません。


さて、うちは家長が東洋医学に従事しているので、ちょっとケッタイな言葉がよく使われます。
それが『Stagnant Liver Qi』
片仮名だと、ステグネント リバ チと言っているように聞こえます。
意味を直訳すると、滞った肝臓の気。へへへ、わけわかりませんよね


それではここでちょいと蘊蓄をば。といっても、あっちゃこっちゃ検索して拝借してきたものですが……。

『肝臓』は英語で『Liver』そして、『生命』は英語で『Live』。
英語の語源では『肝臓』と『生命』というのは、共通のルーツを持っていて、『肝臓=生きる人』という意味にもなるそうです。

東洋医学では『肝』が一番、精神的なストレスを受けると考えられています。
ストレスはマインド『精神・感情』の自由なノビノビとした働きを抑圧します。
ストレスによって『肝』としてのノビノビとした働きが抑圧された状態を『肝気鬱結』(←これぞStagnant Liver Qi!)といいます。
イライラとか脇腹・季肋部の張った感じとかが主な症状です。覚えがありませんか?
今でいう心因性の病気とか自律神経失調の病気とかも『肝』と大変深く関わっているようです。


ちょっと余談ですが、ついでに五つの内臓のことをちょいとだけ。

「怒り過ぐれば肝を傷り、喜び過ぐれば心を傷り、思い過ぐれば脾(胃腸)を傷り、悲しみ過ぐれば肺を傷り、驚き過ぐれば腎を傷る」

これは東洋医学の五行理論に基づくもので、五つの臓器(肝、心、脾、肺、腎)の診断、予防、治療法をうまく表現しています。
また、逆の見方もできます。

つまり、このように。

・肝が悪いと怒りっぽくなる。
・心臓が悪いと良く笑うタイプの人が多くみられる。
・脾(胃腸)の弱い人は常に沈み込んだり考え過ぎて思い患いしやすい。
・肺の悪い人は悲しみに沈みやすい。
・腎の悪い人は諸事に恐れおののく。



で、うちではカッと怒りやすかったり、怒る度合いが必要以上だったりすると、「へへ、『Stagnant Liver Qi』だもんね~」などと、自分勝手な言い訳をしながら頭をガリガリ掻くわけです。

どうでしょう、みなさんのおうちでも流行らせませんか?なんちゃって。

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朝からだらりんこ!

2010年08月09日 | ひとりごと
かあちゃんがパソコンしてる時は、ここ、かあちゃんのすぐ隣の椅子がアタシの特等席。

けど、かあちゃん、よう飽きんと毎日毎日パソコン遊びしてからに……。
アタシはまあ、ネコやさかい、じっと座ったり寝たりぼぉ~っとしたりするのがお仕事やねんけど、かあちゃんは他にやることいっぱいあるんちゃうんかいな……と、ネコながら心配になるねんな。

ほんで、毛繕いとかしてる最中にも、ふと気になって、かあちゃんの顔見たりしてるねんけど、

あ、気ぃつかれたみたい。かたまっといたろ。


なによ、そんな、ピカピカ眩しいのつけて……知らんふりしとこ。


もぉ~しつこいなあ……、今日は朝から洗濯と練習するんちゃうん?ダラダラしてんとさっさとしんしゃい!


へへぇ~い
……と見せかけて、こんなん食べにキッチンに入ったかあちゃんでした


器は師匠からいただいたヨウ君作のもの。入れ物がいいと、超~てきと~なシャーベットも美味しそうに見えます。
超安だからといってバカ買いしてしまって、冷蔵庫の中のオブジェと化していた、ブルーベリーとイチゴとバナナで作りました。

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この子をのこして

2010年08月09日 | 世界とわたし
たとえ最後の二人になっても
どげん罵りや暴力ば受けても
きっぱりと戦争絶対反対を叫び通しておくれ

たとえ卑怯者と蔑まれたって
裏切り者と罵りられたって
戦争絶対反対の叫びだけは、守っておくれ

敵が攻めてきたとき
武器がなかったら、みすみす殺されてしまうではなかか
という人が多いだろう

しかし、汝の剣をさやに収めよ
剣を取る者は、剣に滅ぶべければ也だ

敵も愛しなさい
愛し、愛し抜いて、こちらを憎む隙がないほど愛しなさい
それには、お前が残してゆく子供達のためにも
忘れてはいかん

1945年8月9日 午前11時2分
長崎浦上で、何が起こったかを


永井隆博士の『この子をのこして』を、朝から読んでいます。
今日は長崎に原爆が落ちた日。
長崎に落下した原爆は、広島のそれよりも威力のあるものでしたが、落とされる直前に重なった失敗と天候の差によって予定以下の被害だったそうです。
それは落とした側の冷徹な事後報告であって、落とされた側にとっては被害の増減など全くどうでもよいことです。
そして、あの惨たらしい兵器によって殺された何万の人達の魂にとって、せめてもの慰めになるであろう核兵器撲滅の実現の日はまだまだ遠い先です。
 

放射線治療の研究に情熱を傾けていた永井博士は、すでに白血病に侵され、余命を告げられている身でした。
そこにあの日の原爆が落ち、原爆症という病も抱えながら、瀕死の状態で被害者の治療を続けました。


『この子を残して』の最後の文章です。

『死病にかかっている父、二人の幼い孤児予定者……これが如己堂の住人である。
この三人の人間が生きてゆく正しい道はどこにあるのか?……それを探して苦しみ悩み考え、祈り、努めてきた。
私が考えたこと、子供たちがしたこと、子供に話したこと、今わかりそうにないから書いておいて後で読んでもらうこと……それを、そのままこの書に書いた。

これは私の家の記録である。公のものではない。世間一般に通用する考え方、生き方ではないかもしれない。
しかし、孤児の親たち……あっと言う間もなく、愛する子を焼け跡に残して亡くなったあの人たちの魂は、あるいは共鳴してくれるかもしれぬと、ひそかに私は思うのである。
もし共鳴する魂があれば、この書はその亡き人びとの代弁をつとめるであろう。
 
ここから見ていると、誠一は瓦のかけらをもっこで担いで捨てに行くところ、カヤノはつるばらの花を有田焼のかけらに盛って独りでままごとをしている。
この兄妹が大きくなってから、私の考えをどう批判するだろうか? 
五十年もたてば、今の私よりずっと年上になるのだから、二人寄ってこの書をひらき、お父さんの考えも若かったのう、などと義歯を鳴らして語り合うかもしれないな』


「自分を愛するように、人を愛しなさい」



この、たった二畳の小屋の中で、死を迎えつつある重体の父は想いを切々と書きとめながら、親を失う我が子達の行く末を案じておりました。



わたしはいったい、どんな言葉を息子達に遺せるのか……。
平和ボケした母は、そんなことをぼんやりと思いながら、長崎に祈りを捧げます。
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米国おうちでぶどう狩り事情

2010年08月08日 | 米国○○事情
寝坊してキッチンでドヨョ~ンとしているわたしに、「さあ、ぶどう狩りに行こう!」と元気いっぱいの旦那。


ついて行きましたとも!カメラを持って。

去年はここまで色づく手前で、なぜかシュワシュワ~ッと縮まって実にならなかったのでした。ところが今年は……!


なんとも元気な実なり!

すぐ横のプチトマトも、収穫の日が近づいてきて、


そのすぐ横のハーブもすくすく育ち(というか、育ち過ぎている方々も)、


大きな木に寄生しているこのぶどうの老大木。この鬱蒼とした葉っぱの下には、ものすごい量のぶどうの粒があるのだけれど、手が届きません



などと写真を撮っているわずかな時間に、蚊の女どもがわたしの露出している肌に群がっておりました。ものすごい勢いと数です。
モグラ叩きのゲームの要領で、バチンバチンと叩いても追っつかないほどです。


こんなのが軽く10個できておりました。これからこれがどんどんおっきくなって膨らんで、わたしはしばらくの間、爪で『井の字』を描いて遊びます

穫ったぶどうを洗おうと流し台に行くと……なんで蜂が濡れたパンの端っこの上で陶酔しているんでしょうね?


今日の収穫。


ちっちゃい頃に食べたぶどうの味がします。

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二度あることは三度ある

2010年08月07日 | ひとりごと
マンハッタンに出かけた。
10月のカーネギーのコンサートのチケットが、おかげさまで52枚売れた。
そのチケットを取りに来てくださいというメールがアルベルトから送られてきたので、待ち合わせ場所のペン・ステーション駅前のカフェまで取りに行った。
もちろん『週末はなんかしたいねん』男の旦那も一緒。
あまりにも気持ちのいい天気なので、電車で行くことも考えたけど、二人だと往復25ドルかかるので、それだとトンネルの通行料8ドルとガソリン代だけで済む車の方がなんぼか安い。なので車で行くことにした。
但し、路上駐車のスポットがうまく見つかったら、の話だけど……。

とりあえずムチャクチャ混むこともなく、カフェに到着。わたしだけ降りてカフェに、旦那は駐車スポット探し。
……10分……20分……30分……天気がいいだけに混み方が半端じゃないようだ。
旦那もわたしもカフェで食べるつもりだったので、お腹がペコペコ過ぎて、互いに物事がうまく決められない。
何も注文できないまま時間が過ぎ、そこに居たACMAのメンバーも一人消え二人消えていく。
もう用事も終わったことだし、駐車するのはあきらめて、わたしが店から出ようと思った時、「いいとこが見つかった」と旦那。
でもまあ、どこか違う所で食べようということで、通りで待ち合わせてウロウロ歩き、無印良品の店の真向かいにある麺専門店に入った。
もうその頃にはふたりとも意識朦朧&機嫌最悪。血糖値が下がるってほんとに恐ろしい……というより、ガキそのものという方が正しいのかも。

お腹が落ち着くと気持ちも落ち着き、少しはマシな会話もできるようになった。
「今日はスタバじゃなくて、A子のアパートの近くにある、ほら、めっちゃ美味しいペイストリーのある店に行きたいなあ。ここらへんにもあったりして」
「ここらへんにあるかどうかわからんし、わざわざその店って決めんでも、この町にはアホほど店があるから、その望みは却下」

とにかく、せっかくこんなにいい天気なんだし、ブライアント・パークに行こう!
ちょっとふくれっ面をしつつも、そのアイディアには賛成。行こ行こ!
いつも前を通り過ぎるだけで、ちゃんと行ったことがなかったその公園は、市立図書館のすぐ前にあるすごく広々とした憩いの場なのだ。

公園の入り口がもうすぐそこ、という時に、旦那が「あっ!」と叫んだ。
なんてこった。わたしが行きたかったカフェが、公園の真ん前にあるではないか!
もちろん入って行って、小さなおやつとカフェオレを頼み、それを持って公園に入った。

がっかりしてたから、余計に嬉しかった。

今日はカメラを持って行かなかったので、少し季節が違うが、ここがまさしく我々が座った場所からの景色。

 
公園内には、たくさんの緑色の簡易椅子とテーブルが置かれていて、人々は好きな場所を選んで好きなことをして過ごす。
目の前には回転木馬が。チビッ子達が周りに立って観ているパパやママを見つけては手を振る。音楽はとても静かで全く気にならない。


芝生の周りにもぎっしりと椅子が並んでいる。水着姿の女性達もいた。


こちらは日よけの傘付き。



さて、これからすぐに帰る?それとも、すぐ近くにブックオフがあるから、そこに寄ってく?
そりゃまあせっかくだしね、来週末にカナダの湖畔に行くしね。そこはテレビもコンピューターも電話も無い、まさに読書三昧の家なんだしね。
1ドル均一の単行本狙いで行ってみよぉ~!
歩き始めると、サンダルを選び間違えたのか、足の裏の上半分が少し痛み出しているのに気がついた。
店の通りに入ると、なんだか様子がおかしい。こんなとこに大学なんかあったっけ?
←店の前に立ち尽くすふたり……。

撤退?電子本ができて本屋業界がかなり厳しいって聞いてるもんなあ……こんなとこにも影響が出たのかなあ、哀しいなあ。
でもまあ、無いもんは無い。しょうがない。家に帰ろう。
車のある46ストリートまで上がり、その通りを東に向かって歩いていると、今度は旦那とわたしが同時に「あっ!」と叫んだ。
ブックオフが移転していた。それも偶然46ストリート上に。

これまたがっかりした後だったので、余計に嬉しかった。

1冊1ドルの本を熟慮?の末に10冊ゲット。ほんでもって、ちょっと贅沢して、1冊10ドルもするのを1冊。
単行本ばかり11冊なのでかなり重い。でもまあ、もう帰るだけなのでなんとか頑張ろう!旦那がもしかしたら助けてくれるかもしれない。
店から出た途端に、足の裏の痛みが急激に増した。ヤバい!あとアベニューを4通り歩かなあかんのに……。
こういう時「足が痛い」などと言うと、「マンハッタンに来たら歩くってわかってるのに」と、旦那は必ず怒ってくる。言おうかな~どうしようかな~。
「あのぉ~、足がだいぶ痛いねんけど……」
重い方の本(わたしが買った方)を持ってくれてる旦那に怖ず怖ずと言うと、思った通りのお小言が返ってきた。
スピードを少し落として歩いてもらう。6thアベニュー、7thアベニュー、8thアベニュー、おぉ~とうとう9thアベニューじゃ~!!
ところが……←再び通りで立ち尽くすふたりの図。

無いやんか、わたしらの車……。

近くを行ったり来たり、一応思い違いの可能性もあるってことで、通りを二往復してみたけれどやっぱり無し。
標識を見直した旦那、「あっ……」し~ん……。
車があっただろう場所の道路上には、なんの記入もされていない。どこに取りに行ったらええねん……。

とにかく気を落ち着けて対策を練ろうと(わたしの足も限界だったし)、すぐ横にあったバーに行き、外に置かれたテーブルに座りビールを頼んだ。
「前にKが持ってかれた時、取りに行くのに何時間もかかったし、めっちゃ不便なとこやったし、向こうでアホほど待たされたって言うてへんかった?」
「そんなこと言うてたな」
「けどさあ、ボクらラッキーやで」
「???」
「だって、どんだけ待たされても平気なぐらい、今日は本持ってるやん」
なんたるポジティブシンキング……恐るべしアメリカ~ナ。
「とにかく、どこに連絡したらええのか、誰か友達にネットで検索してもらえるように頼んでみたら?」
「そうやな」

そんなことをブツブツと話し合ってるわたし達の横を、奇妙な形をしたデカい車が横切った。
それはまさしく、町中のあちこちに出没しては、情け容赦なく車を引っ張ってくにっくきレッカー車!
運のいいことに、バーのすぐそばに信号があり、その信号が赤。
「早よ早よ!あそこの書いてあるあの番号覚えよ!」
「書くもん無いっ!」
「そんなん、わたしが半分覚えるから、あんたが後の半分覚えたらええやん!」
番号を携帯に打ち込み、そこから牽引場所の事務所まで連絡をつなげてもらった。

わたし達のテーブルのウェイトレスに、牽引されたことを言うと、「ああ、わたしも1週間前にやられちゃった。けど、こっからすぐ近くだし、手続きもすぐだったよ。大丈夫、簡単だから。お金はしこたま取られるけどね」と慰めのような励ましのような情報を教えてくれた。
マンハッタンの道路標識の駐車編は、そりゃもうトリッキーでなぞなぞのような代物。一枚で安心したら大間違い!すぐ下に全く反対のようなサインがあって、その下にもう一枚、さらに頭がこんがらがるような表示が書かれてあったりする。
なので、その三枚を、いったいどう理解したらいいのか、標識を見上げながらしばらく放心している人の姿は、この町では全然珍しくもなんともない。

こんな感じ。この謎解きのような標識については、また改めて書きたいわたしなのであ~る。


旦那はいつも、その三枚をじっくりと読む人なのに、今日に限ってどうしたわけか一番上の真っ赤な看板を読み落とした。
それで$185也

足の裏はもう限界を超えていた。けれど、これからどんなことになるか予想がつかないので、一緒に行動したかった。
そうだ!いつも持ち歩いている生理用ナプキン、あれを足の裏に貼ってみよう。
更年期に突入し、生理がすっかり不順になってしまったので、念のためにいつも持ち歩くようになった生理用品。
面倒なことになったなあ……なんてクサッていたけど、これがうまくいったらもう万々歳。
大正解!歩けるではないか!なんて賢いの、わたしったら更年期バンザイ

歩いて行ける所に牽引所があるのはありがたかった。しかも、彼女の言う通り、行くとほんの少ししか人が居なくて、すぐに手続きをしてもらえた。
最後の出口前でサインをする時、その帳面がとんでもなく分厚くてデカいのにビックリしていると、
「こんなんでビックリしちゃいけん。今日の朝8時から今までで、こんだけの人がサインしたんだから」と、6ページに渡ってぎっしりと書き込まれた名前を見せてくれた。
どんだけ儲けてまんねん

がっかりした後だけに、なんだか嬉しい、もちろん罰金はかなり痛い。けっこう泣ける。
旦那よ、また月曜からお互い頑張って稼ごうね


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深窓の令嬢

2010年08月06日 | 家族とわたし
ちょっと、中に入れてよ。


なんで入れてくれへんのん……拗ねたろ。


うちの深窓の令嬢。あ、もとい、外窓の令嬢。

朝から、外に出たいだの、中に入れてだの、ニャアニャアうるさい。
それで家に戻ってきたら今度は、「おかか~おかか~」とまたうるさい。

網戸越しの、編み目のついたショーティ。あの窓際に一発でジャンプできる70歳のあんた。
うるさいのがたまにキズやけど、これからもその調子で元気でいてや。
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ポテトサラダ

2010年08月05日 | 家族とわたし
この町のファーマーズマーケットが復活した!とのことで、ちょっと覗きに行ってみました。
う~ん……。
前に住んでいたモントクレアのファーマーズマーケットが盛大な規模なので、やっぱりテント一基のみのマーケットはちょいと寂しい……。

けれども、そこで演奏していたバンドがとってもうまかったので、買い物がてら、ベンチに座って聞いている人がたくさんいました。

ぜひとも新鮮な卵が欲しくて行ったのだけど、とうもろこしもとても美味しそうだったので、他の野菜も一緒に選んで、レジの前に立ちました。
売り子のおじさんに「卵はありますか?」と聞くと、「ああ、あるよ」とはっきり答えてくれまして、やあやあ、ここのはどんな卵なのかなあ~とワクワクして待っていたのですが、いっこうに出てきません。
おじさんはさっさと野菜の値段を足して、「11ドルね」と言ってわたしの支払いを待っています。
「卵も入れて?」と聞くと、
「そうだよ」とおじさん。
「でも、わたしには卵が見えないんだけど……」と言うと、
「ここにある」と真顔で野菜を指差すおじさん。
「いや、わたしには見えませんけど……卵」
「ここだよここ」と、野菜の入ったビニール袋を指差すおじさん。
「でも、そこには卵は無いですよ」
「ここにあるよ」
「だから、野菜じゃなくて卵ですよ、卵。EGGS!」
「だからここ!」



あかん、こりゃ埒があかん……。
横に立っているもうひとりの男性に「卵は売ってますか」と聞くと、「いや、うちは売ってない」ときっぱり言われガックリ……。
土曜のモントクレアで買おっと。
でも……いったいあのおじさんは、卵という単語をなんだと思ってたんでしょうか。あまりに自信あり気だっただけに、ちょっと聞いてみたい気もします。


今夜は旦那がマンハッタンに帰省している友人を訪ね、Kはトーナメント、Tは休日前で多分飲み会、なので呑気にひとりご飯だ~!と思っていたら……、
「おかん、家で食う」とTから連絡が入りました。
慌てておかずを考えました。おっしゃ、ポテトサラダにしよう。

ポテトを茹で、キュウリを塩で揉んで輪切りに、人参もいちょう切りにして、玉ねぎを水にさらし、卵を茹でて下準備完了。
けど待てよ……うちにはマヨネーズという物が無いことに気がつきました。
旦那が嫌いで、滅多に料理に使わないので、いつも古くなって捨てなければならなくて、もったいないので買うのをやめたのでした。
う~ん……マヨネーズ抜きではTがガッカリするだろうなあ……う~んう~ん……。
で、マヨネーズを作っちゃえ!ということに。生卵を食べないここでは、生の黄身を使うのはちぃと勇気がいるのだけれど、家にあった卵はとりあえず大丈夫そうだったので決行しました。

あとはとうもろこしを茹で、鯵の開きを焼いておしまい。


なかなかに暑苦しい台所になりましたが、Tとふたりでおいしくいただきました。

「オレ、ポテトサラダ食べたかってん」

なにやら最近、インターネットで観ていた日本のバラエティショーでポテトサラダのことが特集になっていて、それを観てからやたらと、ポテトサラダを食べたくなっていたのだそうな。
なんてこともない一言だけど、そういうふうに言ってもらえると、汗まみれで作ったおかんとしてはかなり嬉しい。

暑いけど幸せな、夏のある日のポテトサラダなのでした。





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