ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

安倍政権の狙い→「JA解体、小規模家族経営農家の消滅、農業と農地の株式会社化の後、大資本に売り渡す」

2015年10月05日 | 日本とわたし
TPPが大筋合意、などというニュースを、またまた何の検証も危機感も無く、単語だけを伝えているマスコミ人。
ネットでは、さまざまな立ち位置からの意見が飛び交っています。

今日ここでご紹介する記事は、2014年のものですが、その時点で自民党が企んでいたこと、認識していたことが、とてもわかりやすくまとめられています。
もちろん、伝え手は岩上さん。
ご自身の命(これは大げさな言い方ではなく)と身銭を削ってまでして、わたしたちに真実を伝え続けてくださっている方です。
これまでに何度も、ここでもお願いさせてもらっていますが、どうかこのIWJの支援を、よろしくお願いします。
岩上氏のもと、大勢のスタッフの方々も、日々必死で頑張ってくださっています。
このような報道、このような人たちを支援することもまた、日本の再生への道につながっていくと思います。

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記事は非常に長いものですが、ぜひご一読ください!

【岩上安身の「ニュースのトリセツ」・加筆バージョン】
JAが「殺される」理由
TPP参加で「聖域」の関税を守る気のない自民党と、それでも安倍政権を支えるJAの不条理

【IWJウィークリー75号】より 


大西英男が取材を受けました、2013年5月14日の放送内容について閲覧させていただくか、もしくはデータをいただきたい

自民党・大西英男衆院議員の政策秘書の方から、IWJ事務所にそう問い合わせがあったのは、11月17日のこと。
安倍総理が記者会見で、衆院解散を発表した前日でした。
私が大西英男議員にインタビューした映像を確認したい、との依頼です。


秘書の方が言うには、2014年10月30日付の日本農業新聞のコラム「万象点描」で、
私が大西議員の発言を引用して書いた記述が、気にかかったのだそうです。
大変あわてている御様子だったのは、安倍総理の解散の発表直前という時期だったためなのでしょう。

日本農業新聞は、読者層のほとんどが農業関係者で占められており、私が取り上げた「TPP問題」には、敏感な方が少なくありません。
同紙のコラムを読んだ読者から、大西議員の事務所に、問い合わせが殺到したようです。


▲2014年10月30日付の日本農業新聞のコラム「万象点描」


◼️「いずれ関税撤廃は、自民党の多くの議員も同じ考え」

私はコラム「万象点描」で、次のように書き、自民党の「二枚舌」を批判しました。

「2012年末の総選挙で、自民党は『ウソつかない。TPP断固反対。ブレない』というポスターを全国各地に貼り、JAの支持を取りつけて政権を奪還した。
しかし安倍総理は、13年2月22日の日米首脳会談で、オバマ大統領に対して早々にTPP交渉参加を約束。
3月15日には、TPP交渉への参加を正式表明した。

こうした安倍総理の姿勢は、JA、並びに全国で農業を営む方々に対する、明白な裏切りである。
『聖域』という名の『重要5品目の関税』、という最小限の約束も、実は守る気などさらさらない」



▲2012年12月の衆院選で自民党が掲げたポスター


大西議員秘書が「確認したい」と言われたのは、これに続く、次のくだりです。

「自民党の大西英男衆院議員は、13年5月14日に私がインタビューした際、自民党が掲げた農産品の『聖域』について、
『すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ』と語った。
これが、自民党の本音なのである」


「すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ」という、大西議員のこの発言部分について、大西議員の政策秘書は、
「この大西の発言とされる内容が、事実、大西が述べた内容なのか、岩上氏が内容を意訳なされたものなのかを確認したい」と、IWJに問い合わせてこられたのでした。

JAの方々は、「聖域は守る」という自民党の公約を素朴に信じ、選挙でも応援してきたのかもしれません。
それだけに、大西議員の発言は、自民党への信頼をぐらつかせるものであり、本当に事実としてそんな発言をしたのか、
我が目、我が耳を疑う思いで、大西議員事務所へ問い合わせをしたのでしょう。

その中には、大西議員の選挙区である東京16区、江戸川区の有権者の方々もいたことでしょうが、
他の都道府県の農家の方々からの、問い合わせもあったかもしれません。

しかし、もちろん、私が虚偽の事実を書いたわけではありません。
残念ながら、というべきか、大西議員は、確かに私の書いたとおりに発言されました



◼️大西議員の口から語られた「事実」とは

ここで、該当箇所の映像と、実際に大西議員の口から語られた「事実」を、文字起こしでお示しします。

※該当箇所の映像

https://www.youtube.com/watch?v=0KnvecB9i2Q

岩上:
じゃあ次に参りたいと思います。
次は大西さんの、大西先生のTPPの。


大西:
さんでいいですよ。さんでいいです。どうぞ。


岩上:
考え方ということで、これが色々出ました。
そして、色々、アンケートにお答えになった資料というものをお送りいただきました。
ずいぶんたくさんのメディアから、アンケートが来ていて、それに対してお答えになっていらっしゃるんですよね。

これです。
はい、アップしてください。
これです。
これが、平成24年衆議院選挙においての、TPPに関わるアンケート回答。
これ、このまま出しません。
その部分のところだけ、引用させてもらいます。

読売新聞に対して、『日本はTPPに参加すべきと思いますか? 思いませんか?』と言ったら、これは『やや賛成』とお答えになっていらっしゃる。
『TPPへの参加について、あなたの考えは次のAとBどちらに近いですか?』
『A:海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだ』
『B:日本の農家の収入を脅かすのでよくないことだ』

『ややAに近い』に近いと。
だから、海外の需要を取り込み、経済成長が望めるのでよいことだ、というところにやや近いと。


大西:
まあまあ、これ長くなりますからね。
はっきり申し上げますよ。
条件付き賛成ですよ、全部。


岩上:
条件付き賛成…。


大西:
で、毎日新聞だけは、こういう問いをしてきたんですよ、ね?
『TPPに反対ですか?賛成ですか?』それだけ。
で、さらに加えて、あの、『TPPの農業分野について、あなたの考えにもっとも近いものを、ひとつ選んでください』」


岩上:
なるほど。


大西:
「コメなど、可能な限り、多くの例外品目を設けるべきだ」と言ってるんですよ、ね? 
賛成か反対か? 
そのときに、私は条件付きの賛成ですから、これ本来だったら、どちらにも丸を付けないほうが良かったんでしょうね。
毎日新聞だけです。
あとは全部一貫してますよ。
条件付き賛成、はい。

それをね、それを見ないでね、この毎日新聞だけ、なんかインターネットかなんかで公開されているんでしょうか? 
それで、大西はTPPに賛成だと、孫崎さんが発言した。
それによって大変ですよ、ツイッターが。
選挙でTPPに反対したのに、なぜ今、賛成してんだ、お前は議員辞職しろとかさ。
とんでもない言論の暴力でしょ、ね? 
だけど、私ははっきり述べてるんだから、自分の信念を。


岩上:
条件付き賛成なんですか?


大西:
そうですよ
だからTPPは、日本の経済の発展のために必要なことである。
しかし、農業の問題だけはしっかり守らなければいかんということで、農業については条件付きでやりなさいと。
こう言ってきた。

安倍総理は、そのようにオバマ大統領と会見をして、その条件付き、ね? 
関税撤廃無制限でないという言質を得た
それでオバマ大統領との会見を終えて 日本に帰ってきてから、TPP交渉に踏み切ることにしたんですよ。


岩上:
この場合の、『聖域なき』というのは、どのように解釈されるんでしょうか?


大西:
ん?


岩上:
オンザテーブルということ。
つまり、すべてが交渉の上に挙げられると。
これは、USTRもはっきり言ってるわけです。
ということは、一切、もう論議することもなく、聖域確保、撤廃なしというような約束というのは、誰もしていないはずなんですよ。
これは、必ず、テーブルに載せられると。

そこで、重要なことがひとつあって、先日、そのUSTRに直接訪米した訪米団があったわけです。

元議員や議員のグループなんですけれども、そこで帰朝して報告会をやった。
そうしましたら、聖域と言いますか、例外扱いしてくれるのかと。
この方たちも、農業を守りたいとおっしゃっているから、志は同じだと思うんですけれども。
守りたいと思っているので、それは聖域扱いをするのか」と言ったら、これは、カトラーさんという、USTRのトップですけれども、No.3ですか。

彼女が、
関税の完全な撤廃を目指しているんであって、関税を残すということは一切ない』と(発言した)。
ただ、それが段階的に減らすか。
つまり、時間をかけて減らすか。
つまりなくしてしまう、ゼロに。
でなければ、一時的なセーフガードが認められるだけで、いわゆる聖域として関税を残すということはない、と言ってるわけですよね。


大西:
いや、だから、そういうことですよ。
それは、だから、もちろん、その半永久的にね、この関税を残せなんて言ってないんですよ。


岩上:
あ、そうなんですか?


大西:
そうですよ。
それは、やっぱり日本の農業の体質改善や、日本の農業の競争力の強化を図りながら、
そして、ゆるやかな形で、日本農業の改革を進めるなかで、関税を撤廃をしていこうというような基本的な考え方は、私は持ってますよ。
そして、自民党の多くの人たちも持ってますよ。

それを、TPPに入ったから、即関税撤廃だということはありえない
それは、アメリカも、農産物の関税は撤廃したいけど、自動車は守りたいんですよ。
あれ、自動車だって、10年後に協議しようということで落着したでしょ? 
だから、これはまた、そこからの論議です。

なんでアメリカさん、自動車だけは、関税撤廃を認めないで、日本の農業だけ、なんで即、関税撤廃だという話になるでしょ
それはありえない、外交交渉では。
ですからこれは、TPPを締結したあとに、しかるべき形で論議が進んでいくことだと思うんですよ。



◼️自民党「TPP対策に関する決議」とも根本的に矛盾する

読者の皆さんには、おわかりいただけたと思います。

大西議員は、
「半永久的に関税を残せなんて言っていない」とし、
「日本農業の改革を進めるなかで、関税を撤廃をしていこうというような基本的な考え方は、私は持ってますよ。
そして、自民党の多くの人たちも持ってますよ」
と、確かに発言されました。

この発言は、私が日本農業新聞のコラムで書いた、
「自民党の大西英男衆院議員は、(中略)『すぐにではなく、いずれ関税撤廃ということ。自民党の多くの議員も同じ考えだ』と語った。
これが、自民党の本音なのである」
という箇所と一致します。

大西議員は、ご自身のみならず、多くの自民党議員が、関税撤廃への意思を持っていることをはっきりと明言したのです。

また、大西議員は、
「TPPに入ったから、即関税撤廃だということはありえない」と言いつつ、
「TPPを締結したあとに、しかるべきカタチで議論が進んでいく」とも発言しています。

これは、TPPの参加が、関税引き下げ交渉の「ゴール」ではなく、締結後にも、交渉が続いてゆく
即ち、関税のさらなる引き下げ、あるいは完全なる撤廃の圧力が米国からかかり、日本側も応じる用意があることを意味しています

TPPは、交渉の終わりではない
そして、日米間協議が続く中で、いずれ、「関税を撤廃していこうという基本的な考え方」を、大西議員も、他の自民党議員も持っているというわけです。

大西議員のこの主張は、インタビューのわずか2ヶ月前、2013年3月13日に出された、自民党による「TPP対策に関する決議」の中の文言と矛盾しています

「決議」の中では、「TPP対策委員会第4グループとりまとめ」の項において、「TPPでの日本の主張」として次の文言が掲げられています。

「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう、除外、又は再協議の対象となること。
10年を超える期間をかけた、段階的な関税撤廃も含め認めない」


10年を超えるような、長期にわたっての段階的な関税撤廃も認めないと、自民党ははっきり言いきって決議までしています
この部分の約束を、全国の農業関係者の方々は頼もしく思ったことでしょう

自民党は、表向きには、重要品目の関税撤廃を永続的に認めないとし、あくまで「聖域を保つ」と断言して、農業関係者の歓心を買いながらも、
実際には、大西議員の言うように、いずれは関税の撤廃を目指している、という本音を腹の底にたくわえているわけです。

自民党の二枚舌が、私のインタビューの中で、図らずも露呈されたことになります。

大西議員事務所から、インタビューのデータを送るか、サイトでインタビュー全体を見られるようにして欲しい、という申し出がありました。
大西議員側だけに見てもらって確認してもらうのは、インタビューの本来の趣旨と違いますので、
多くの方に御覧になっていただけるように、11月20日に再配信し、その後もどなたでも御覧いただけるようにフルオープンにしております。
どうぞ、御覧ください。

※2013/05/14 【大義なき解散総選挙1】自民党公約「段階的な関税撤廃も受け入れない」とは違う議員が語った本音とは ~大西英男議員インタビュー
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/78774



◼️1000万票のJA票を裏切り、切り崩す安倍政権

農協は、自民党の「最大の支持組織」として、長年、自民党を支えてきました
農家数は年々減少していますが、農協は、正組合員と准組合員を合計すれば、いまだに1000万人近い組合員を擁しています
巨大な「農協票」です。

09年の選挙では、民主党が、農家への「戸別所得補償制度」を打ち出したことで、農協票の大半が民主党に流れたと言われており、
これが政権交代に、大きく影響していたとも分析されています。

民主党・菅直人政権時に持ち上がった、日本のTPPへの交渉参加問題
農協が、2011年に集めたTPP反対署名は、日本の人口の約10分の1にあたる、1160万筆を超えました
2012年の衆院選で、自民党は「TPP断固反対」を掲げ、農協票を再び取り込み、政権を奪還したのです。

しかし、安倍政権が、アベノミクスの一環として、今年6月に閣議決定した「新成長戦略」は、
政権交代の「恩義」のあるJAに対して、「仇で返す」ようなもの
でした。

「新成長戦略」の最大のポイントは「農協改革」です。
これはJAの事実上の解体であり、農家の発言力の低下を狙ったものです。

まず、全国約700の農協の司令塔である「JA全中」を、新たな組織に移行させ、単協に対する経営監査などの、権限の大幅縮小を打ち出しました
また、生産から卸し業まで、一括した管理体制で農作物を流通させている、JA全農を株式会社化するとし、
農業法人への企業の、出資の規制緩和も目指すとしています。
さらに、農業生産法人の設立要件も緩和するとしており、企業の農業参入を促進してゆくというのです。

自立した家族農・自営農の集まりである協同組合を、企業の形態に再編することは、将来的に何を意味するのでしょうか。

会社法改正以後の一般企業がそうであるように、株式企業となれば、株主支配が貫徹されることになり、株主には、高い割合で、外資が含まれることになるでしょう。
農業法人が、日本の国土の多くを占める農地を所有し、その農地を外資が株主支配すれば、
領土を巡るまがまがしい侵略戦争など引き起こさなくとも、無血で、日本の国土を事実上、手に入れることができます

その農地をまた、別の目的に転売することも可能でしょう。

もし、そうしたグローバル資本の思惑に抵抗しようとして、政府や地方自治体が、国土保全のための規制をかけようとすれば
TPP参加後であれば、ただちにISD条項による提訴が行われることでしょう。

小規模農家は次々と農地を手放し、農家を廃業するか、農業法人の従業者とならざるをえなくなります
何にことはない、戦後の農地解放以前の、「小作人」へ逆戻りです。



◼️農業関係者の悲鳴「我々はなぜ殺されようとしているのか」

こうした日本の農業と農家の切り捨て政策について私は、コラムの中で、次のようにも書き、警鐘を鳴らしました。

安倍総理が、TPPへの参加を表明した真の理由は、『強い農業』の復活による経済成長などというものでは、もちろんない。
安倍総理の狙いは、JAの解体であり、日本の小規模な家族経営農家を消滅させ、農業と農地を株式会社化した上で、大資本に売り渡すことである


7月30日付けの産経新聞の報道によれば、
安倍総理は、TPPに反対するJAを指し、『日教組のような抵抗組織だな』と周囲に怒りをぶちまけたという。
かつての小泉政権が、郵便局を『抵抗勢力』として『悪魔化』し、新自由主義改革を推進したように、
安倍政権は、JAを、『悪魔化』するキャンペーンを張ろうとしているのだ


安倍政権の「裏切り」を前に、農業関係者の方々は、
「我々はこれまで、さんざん自民党に尽くしてきたのに、なぜ、こんな扱いをされるのか」と、疑問に感じているでしょう。

これもコラムで書きましたが、私は今年7月、全国のJAの組合員の方々、百数十人を前にして、お話をさせていただく機会がありました。

私は、TPPに対する批判者であり、したがって、TPP参加をすすめる安倍政権への批判者でもあります。
今は、「TPPは交渉差止・違憲訴訟の会」の呼びかけ人にも名を連ねています
そんな私に、自民党の「最大の支持組織」であるJAの関係者が、講演を依頼するとは、どんな風の吹き回しでしょうか。
「講演依頼をなぜ私に?」とおたずねしました。

「我々は、なぜ『殺されようとしているのか』わからないです。なぜなのかを、知りたい」
担当者の方は、そう率直に答えられました。

我々は、TPP反対という自民党の公約を信じ、衆・参の両選挙で自民党を盛り立て、安倍政権を誕生させました。
しかし、その公約はあっさり反故にされ、それどころか、JA全中解体を迫られています。
尽くしたあげく、なぜ、殺されなければならないのか、わかりません


切実な口調でした。
本気で自民党を信じ、そして裏切られた、その悔しさが、ひしひしと伝わってきました

一方で私は、新鮮な驚きを覚えました。
この期におよんで、まだ自民党を信じていたのか、という驚きです。



◼️安倍政権は、なぜJAを殺すのか

コラムで記した通り、安倍政権の狙いはTPP参加であり、新自由主義政策の貫徹です。
そのためにも、「抵抗組織」として名指しするJAを解体し、農協を株式会社化した上で、土地を大資本に売り渡そうともくろんでいると考えられます。

そしてこの構想は、米国の思惑と表裏一体です。

安倍政権は、「愛国」的なイメージとは裏腹に、米国から突きつけられた要求を従順にこなす、「従米政権」です。
安倍政権は、米国と日本国民の利害の間の、「中間管理職」の役目を担っているに過ぎません
郵政民営化の時には、米国の狙いは、「郵貯・簡保」の資金でした。
今度は、「農林中金の資金」に目をつけていることは間違いありません。

安倍総理はたびたび、「日本を、企業が世界で一番活躍できる国にする」と口にし、国民のほうを向いているように見せかけていますが、
その内実は、米国発のグローバル企業にとって都合の良い国にする、という改革であり、
安倍政権に命令を下す「上司」であるワシントンD.C、ウォール街などの顔色ばかりをうかがっています

「上司」が、郵貯・簡保の市場を開放しろ、農協を解体し、参入させろ、と命令し、
「中間管理職」である安倍政権は、「上司」の命令に忠実に従い、結果として、矛先がJAにも向けられました

自民党を長年支えてきたJAは、その甲斐もむなしく、日本の市場に手付かずで残された「ビジネスチャンス」として、米国に差し出されようとしています

TPPに対する米国の執念は、本当に侮れません。

夜寝ているオバマを電話でたたき起こして、『(日本に求める)優先順位はなんだ』って聞いてごらん。
1にTPP、2にTPP、3にTPP、4にTPPと言うだろうね。
集団的自衛権は多分、『あ、そう言えば…』って言って、19番目くらいに(集団的自衛権が)出てくるかもしれない


こう証言したのは、米国の元NSC(国家安全保障会議)高官のモートン・ハルペリン氏
元内閣官房副長官補の柳澤協二さんに、ハルペリン氏が、米国の実情を紹介するうえで語ったといいます。
12月21日に、IWJが開催した「饗宴V」の中で、パネリストとして登壇していただいた柳澤さんが、明かしてくれました。

オバマは、米国は、日本のTPP参加をそれほど悲願に考えている、という事実を端的に表す証言でした。



◼️それでも「消極的」に自民党を支持するJAの選択

それでもまだ、自民党を支持する農業関係者もいます
佐賀と熊本のJAグループは、消極的ながらも自民党を推薦し、農協票を託すと決定しました。
産経新聞の記事を紹介します。

「JA佐賀の政治団体『佐賀県農政協議会』は11月29日、選挙区と比例の自民候補3人に推薦を決定したが、
政策協定書ならぬ『誓約書』を提出させ、当選後は、JAの意に沿った活動をするよう確約を取った
同協議会は、昨夏の参院選でも、TPPの対応をめぐり、佐賀選挙区の新人候補の推薦をいったん撤回するなど、揺さぶりをかけた。

JAグループ熊本の熊本県農政連からは、候補者が提出した政策協定書に、『内容がぬるい、JAを甘く見ているのではないか』と不満が噴出した。
このため、梅田穰委員長は、推薦を決定する予定だった11月28日の会合で、『政府自民の農政に不信感が募っている』と語り、推薦決定を保留した。

2日後の30日、協定書の文言の『遵守』を『厳守』に変えさせるなどし、自民と次世代の候補計6人の推薦を正式に決めた

『共産や社民候補を推薦した方がマシじゃないかと、冗談まで出るようになった。
とはいえ、すんなり推薦を出さないことぐらいしか、候補者へのプレッシャーにできないのが現状だ』」


※産経新聞(2014.12.6)農協票 TPPと組織改革、不満呑み込み自民推薦


09年の民主党のような、「受け皿」が存在していないことが響いているようです。

票を託せそうな野党がない
であれば、効果が薄いかもしれないが、選挙後に、自民党が少しでも「手心」を加えてくれるよう、ささやかでも歯止めとなる約束を取りつけておくのが得策だ。
誓約書や協定書の細かな文言を担保に、選挙後、少しでもダメージの少ない政策を期待する
そうした戦術を選択する他なかったのかもしれません。

茨城県や新潟県でも、同様の動きがあります。

「県JAグループの政治団体『県農協政治連盟』(加倉井豊邦委員長)は一日、常任委員会を開き、衆院選での県内小選挙区の推薦、支持者を決め、発表した。
茨城1、5区は自民、民主両党の立候補予定者を支持する。

推薦はいずれも、自民前職の額賀福志郎氏(2区)、葉梨康弘氏(3区)、梶山弘志氏(4区)、丹羽雄哉氏(6区)、永岡桂子氏(7区)の五氏。
1区の自民前職の田所嘉徳氏と、民主元職の福島伸享氏、5区の自民前職の石川昭政氏と、民主前職の大畠章宏氏は支持とした。

JAの組合員の意見を聞き、農業に理解が深い立候補予定者を選んだ
県農政連の要領で、推薦は一選挙区一人と決まっており、二人の場合は支持とした」


※東京新聞(2014.12.2)農業に理解が深い5氏推薦4氏支持 県農政連

 
「県内JAグループの政治組織『県農政刷新連盟』(県農政連)は3日、14日投開票の衆院選について、県内全6小選挙区の自民党候補者を推薦することを決めた。
態度を保留していた地域農協の意向を、3日までに確認した結果、県内25の地域農協で、野党の候補者を強く推す声がなかった
安倍政権が、農協改革を進めようとする中、自民党との関係を悪化させたくない思惑もあるとみられる」


※新潟日報(2014.12.4)県農政連、県内全区で自民推薦


他にも、福井県も自民党を推しましたが、JA内でも意見が対立し、票をまとめきれていないようです。

「福井県農政連(山田俊臣会長)は28日、来月の衆院選で、自民党公認の稲田朋美氏と高木毅氏を推薦することを決めた。
一方で、政権公約に農協改革を掲げた、自民党に対する反発は強く、農政連の動きとは別に、
26日には、県内11JAの組合長が、衆院選では中立の立場で臨むことを確認。
表裏一体の県農政連とJAは、足並みがそろわない状況となっている」


※福井新聞(2014.11.29)衆院選で農政連とJAに隔たり 福井、農協改革で足並みそろわず



◼️自民大勝を歓迎し、TPP推進を期待する米国

自らの首を締めるように、自民党をサポートするJA
衆院選の自民大勝を受けて、米国の農業団体などからは、TPP交渉推進を期待する声が上がっています。

全米豚肉生産者協議会(NPPC)は12月19日、ニュースレターで、衆院選後のTPP交渉に関する見通しを提示。
今後、安倍政権は、構造改革を推進してゆく分析し、特に農業は、その「最大の候補」と主張
「日本農業を競争力のある産業にするには、農産物の輸入障壁をなくすべき」だとしました。

そのうえで、日本が、TPP交渉で、農産物重要5品目を、関税撤廃の対象から例外にしようとしていることを挙げ、
NPPCは、「大幅に改善された日本の提案を要求し、特に、豚肉の差額関税制度の撤廃を求め続ける」との立場を表明しました。

さらに、米国のシンクタンク・米戦略国際問題研究所(CSIS)の研究員らも、衆院選翌日の15日、今回の選挙結果を分析。
与党の勝利は、安倍首相を、農業重要品目などの問題を前に進めるための、有利な立場に置いた」と高く評価しました。

麦などの生産者らで構成される「米国穀物協議会」は、今回の衆院選の意義をホームページで紹介し、
もし安倍首相が支持を得られれば、農業分野などの政治的に難しい問題に取り組む、大幅な権限を与えることになるだろう」との見解を提示しました。

安倍政権の大勝を歓迎する米国とは対照的に、JAは、いよいよ窮地に追い込まれたといえるでしょう。

※日本農業新聞(2014.12.23)TPP前進 期待多く 「農業こそ構造改革を」 衆院選・自民大勝受け米国団体



◼️「この道」の先に待ち受けているもの

「一人でも多くの農家の方々に、自分たちは自らを絞首刑にかけようとする者のために、自らロープを編んでいるのだ、と気づいてもらいたいと思う」

私が、コラムの最後に書いた言葉です。

安倍政権は、米国の要求にならい、これまでの日本のかたちを変え、米国型グローバリズムに付き従ってゆこうとしています
この選挙で、安倍・自民党は、300議席を獲得するとも報じられています。
それが現実の結果となった場合、暴走する安倍政権に、どうやってブレーキをかければいいのでしょうか

選挙前に書いた誓約書や協定書を突き出し、「約束が違うではないか」と迫ったところで、何の効果もありません
前回の衆院選後に、「TPP断固反対」の公約をあっさりと反故にして、交渉参加を決めた「実績」のある自民党です。
自民党が「二枚舌」をためらわないのは、大西議員が証言したとおりです。

自民党は、今回の選挙で、「景気回復、この道しかない。」とスローガンを掲げていますが、
「この道」の先には、どのような日本の農業の姿が待ち受けているか、火を見るよりも明らかではないでしょうか。

(まうみ注・この記事は、2014年に書かれたものに加筆したものですが、TPPの脅威が目の前に迫っている今、ぜひ読んでいただきたいと思い、紹介させていただきました)
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IPPNW→「単なるスクリーニング効果だけで説明がつけられない憂慮すべき現象。全国でもっと上昇する」

2015年10月04日 | 日本とわたし
わたしは昭和のど真ん中の32年、1957年生まれです。
ちょうどその頃は、核実験が頻繁に、まるで当たり前のように、罪の意識など全く持たずに行われていました。
1954年というと生まれる3年前のことですが、3月1日に、ブラックジョークのような名前の『ブラボー実験』が、米軍によって行われました。
広島型原子爆弾約1,000個分の爆発力(15Mt)の、水素爆弾が炸裂しました。
海底に直径約2キロメートル、深さ73メートルのクレーターが形成されたのだそうです。
このとき、日本のマグロ漁船・第五福竜丸をはじめ、約1,000隻以上の漁船が、死の灰を浴びて被ばくしました
そしてやっと、日本の中で、核に対する恐怖と怒りが湧き上がり、抗議活動へと発展したのでした。


第五福竜丸の被ばく事件
ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/第五福竜丸

第五福竜丸が、アメリカ軍による水爆実験に巻き込まれて被爆した出来事は、日本国内で反核運動が萌芽する動機になった
反核運動が反米運動へと転化することを恐れたアメリカ政府は、日本政府との間で被爆者補償の交渉を急いだ
一方の日本政府も、復興のために、アメリカ経済に依存せざるを得ない状況であり、
かつ平和的利用の為に、原子力技術をアメリカから導入できる可能性も出てきた時期でもあったことから、
アメリカを刺激したくないという思惑もあった
結果、両者は、「日本政府はアメリカ政府の責任を追及しない」確約のもと、事件の決着を図った
1955年に200万ドル(当時約7億2000万円)が支払われたが、連合国による占領からの主権回復後間もなかったこともあり、
賠償金でなく、「好意による (ex gratia)」見舞金として支払われた

また、事件が一般に報道されると、焼津では、「放射能マグロ」による風評被害が発生した

これに対してアメリカ政府は、第五福竜丸の被爆を矮小化するために
4月22日の時点で、アメリカの国家安全保障会議作戦調整委員会(英語版) (OCB) は、
「水爆や関連する開発への、日本人の好ましくない態度を相殺するための、アメリカ政府の行動リスト」を起草し、
科学的対策として、
「日本人患者の発病の原因は、放射能よりも、むしろサンゴの塵の化学的影響とする」と、嘘の内容を明記し、
「放射線の影響を受けた日本の漁師が死んだ場合、日米合同の病理解剖や、死因についての共同声明の発表の準備も含め、非常事態対策案を練る」と決めていた。
実際、同年9月に、久保山無線長が死亡した際に、日本人医師団は、死因を「放射能症」と発表したが、
アメリカ政府は現在まで、「放射線が直接の原因ではない」との見解を取り続けており、また、この件に対する明確な謝罪も行っていない

******* ******* *******

ずっとこんなふうに、倫理や正義のかけらもない態度で、核というものは存在してきました。
核にとり憑かれた人間もまた、その罪の深さを無視して、生き物そのもの、生態系、文化や町や村を破壊し続けてきました。
核兵器(もちろん生物化学兵器やその他従来のものも含めて)を開発研究する人は、その仕事に就いていることが犯罪です。
それを製作している人、流通している人、そして売買に直接かかわっている人、使用する人、その人たちも犯罪人です。
人を殺し、広大な環境を破壊し、深刻な汚染を生み出し、長年に渡って苦しめることの罪。
それを全く負わずに済ませることができる社会は、ぜったいに間違っています。
さらに、理不尽な苦しみを受けた、あるいは受け続けていかなければならない人々は、謝罪と救済をきちんと受ける権利があります。
世界中のわたしたち市民が手を取り合って、新たな国際法を作るときが来ています。

『戦争を仕掛けた者は必ず、政治家であろうと財閥であろうと学者であろうと軍人であろうと、一人残らず、執行猶予無し、情状酌量も無し、減刑も無しの終身刑を言い渡す』

わたしはこんな法律を、地球に作りたい!

↓以下の見解は、核戦争防止国際医師会議IPPNWから、先日出された声明です。
子どもたちは傷つき、恐れ、痛めつけられています。
政府(国)ははじめから、無視を決め込んでいます。
現実を知ってください。
そして、子どもたちの心に、思いを馳せてください。
甲状腺がんは、簡単なものではありません。
首にざっくりと一本線の傷跡がつき、一生飲み続けていかなければならない薬は、不快感をもたらします。
夫の姉は、40歳を過ぎるまで発症しませんでしたが、そんな大人になっていても、とても傷つき辛い思いをしました。
あんなことが、まだ小さな子どもや、思春期の子どもたちの身の上に起こっていることを考えると、本当に胸が痛みます。

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核戦争防止国際医師会議『IPPNW(International Physicians for the Prevention of Nuclear War)とは、
核戦争を医療関係者の立場から防止する活動を行うための国際組織で、1980年に設立された。
本部は、マサチューセッツ州サマービル。
各国に支部があり、日本支部の事務局は広島県医師会内にある。
米国のバーナード・ラウンと、ソ連のエーゲニィー・チャゾフが提唱した。
1981年以来、現在は隔年で、世界会議と地域会議を開催している。
83カ国、約20万の医師が参加している。
1985年にノーベル平和賞を受賞。
2012年に開催された20回目の世界大会は、23年ぶりに日本で行われた。

ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/核戦争防止国際医師会議

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私たちは、電離放射線による健康影響や、原子力災害が及ぼす影響、すべての核連鎖によって誘発される計り知れない危害
そして、民間原子力産業と軍事核産業との間の、切り離せない密接な関係(参照:http://chikyuza.net/archives/52594)について熟知しています。

私たちは、核兵器、および原子力に関する問題が、多くの国々において非常に政治的なものであること、
また、これらの核問題については、さまざまな政党や政治団体が、それぞれ多様な見解を持っている、ということを認識しています。
フクシマ原子力災害による健康影響や、原子力の民間使用、または核連鎖における他の部門について論じるとき、
私たちはあくまでも、影響を受けた人々の健康状態を懸念する医師として、また科学者として論じています

ドイツ支部から発信される出版物や声明文は、個人、団体を含めた誰もが利用できますし、私たちがそのことを禁止することはできません。
また、禁止するつもりもありません。
しかし、私たちは、これらの出版物や声明文を、自らの政治的利益のために利用しようとするような試みには、一切関わりたくないことを明言します。
私たちは、IPPNW ドイツ支部が、いかなる政治団体や政党とも提携していない医師団体であることを言明します。

私たちは、原子力、そして核兵器のない世界を目指して努力されている、世界中の全ての団体、および全ての方々の協力を歓迎いたします



福島の小児甲状腺がん症例数が100件以上に
22,000人以上の子どもたちに見つかった新たな嚢胞と結節

http://www.fukushima-disaster.de/information-in-japanese.html
2015年6月10日

2015年5月18日、福島県の甲状腺検査の、最新結果データが公表された。
その間、急速に成長した腫瘍や、または、転移が見られた甲状腺がん症例のある計103人の子どもたちが、手術を受けなければならなかった

それに付け加えて23人に、甲状腺がんの〝強い疑い〟がある、との診断が下されている
ここで懸念されることは、過去2年間の間に、解明が必要とされるような検査結果が、さらに増えているということである。
最初のスクリーニング(先行検査)においては、まだ何の甲状腺異常も検出されなかった22,837人の子どもたちに
今回の2巡目のスクリーニング (本格検査)で、嚢胞や結節が確認されたのである。

しかも、その内の235人に見つかった嚢胞/結節のサイズが、非常に大きかったため、さらなる解明が緊急に必要とされたのだった。
これまでの時点で、5人に新しいがん腫が見つかり、手術が行われた
これはもう、単なる「スクリーニング効果」だけで説明がつけられない、憂慮すべき現象である。

そして更に、日本全国で、甲状腺がん症例数がもっと上昇することが、予測されなければならない。
2013年のUNSCEAR報告書には、フクシマ原子力事故により日本国民が受ける甲状腺の集団預託実効線量は、【112,000人・シーベルト】になるであろうと推計されている。
この数値にしたがい、BEIR-VII報告のリスク係数【0.009/人・グレイ】を用いて算定すると、
およそ1,000件の甲状腺がん症例数を、予測しなければならなくなる
しかしながら、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)によって示された集団線量は、システマティックな過小評価に関わる数値であろうから、
おそらく、もっとはるかに高い症例数を、予測しなければならないだろう。


IPPNWドイツ支部は福島第1原発事故で数千人癌になり死亡すると報告した。

IPPNWのドイツ支部は、福島第1原発事故について3月3日に、ベルリンで記者会見を行い、
福島原発事故4年後に、福島の被災者達は、放射腺の原因で健康への影響が現れ始めた、と述べた。

福島第1原発事故の放射線の影響を調査する国連の科学委員会(UNSCEAR)は、日本で16000人が癌になる、と報告しているが、
放射腺が原因で、将来さらに9000人が癌になり死亡する、とIPPNWのドイツ支部は報告した

IPPNWドイツ支部は、UNSCEARの報告書での福島第1原発事故の放射腺の放出量は、日本原子力研究開発機構が提供したデータに基づいて計算しており
政府に影響されない独立した機関が計算した放射腺の放出量は、UNSCEARの報告書より高い量だと報告した。

IPPNWドイツ支部は、東電が、福島第1原発で働く労働者の内部被爆の放射腺線量について、信頼できない計算をしていることを、非常に懸念すると述べた。

IPPNWドイツ支部は、甲状腺癌は、放射腺による健康被害の小さい部分である、と報告した。
福島の子供達の、甲状腺の1次検査で、109人の子供達が甲状腺癌である、と確定した
109人の内87人の子供達は、手術をしている

IPPNWのドイツ支部は、福島の子供達の甲状腺癌は、予想した以上に高い状態であると述べた。
福島医大は、スクリーニング検査の効果で、甲状腺癌を多く発見したと述べた

2014年12月の、スクリーニングの1次検査で、福島の子供達の48.5パーセントに、結節や嚢胞が発見された。
2次検査では、57.8パーセントもの子供達に、結節や嚢胞が発見された。
12,000人の福島の子供たちのスクリーニングの1次検査では、甲状腺の嚢胞や結節が発見されなかったが、2次検査で、多くの嚢胞や結節が発見された。
11人の子供達の、甲状腺組織の針検査を行ったところ、8人の子供達が、急性の甲状腺癌になる疑いがある
この2年間で進行した甲状腺癌である。

甲状腺癌の発見は、もはや、スクリーニング検査の効果であると説明することはできないと、IPPNWドイツ支部は述べた。
スクリーニング検査は、福島県だけに限定されている

IPPNWのドイツ支部のAlex Rosen博士は、福島県の子供達の、甲状腺のスクリーニング検査の2次検査の結果は、非常に心配な状態であると述べている。

福島県の周辺の県は、甲状腺の検査は全く行われていない
福島県周辺の汚染された県は、多数の甲状腺癌が出る可能性があると、Alex Rosen博士は述べた。

Alex Rosen博士は、福島第1原発事故による長期的な健康への影響を評価するのは、時期的に早すぎると述べた。
なぜなら、原発事故の健康被害の結果は、少ししか出ていないからと述べた。
チェルノブイリの原発事故の経験に基づいて、今後数年間で、福島の子供達の甲状腺がんの数はより増加すると、Alex Rosen博士は説明している。
Alex Rosen博士は、福島の子供達の甲状腺癌は、放射腺被爆による健康被害の小さな部分であり
過去の原発事故の経験に基づき、白血病、リンパ線腫瘍、他の組織の腫瘍や心臓疾患、ホルモン異常や精神障害の発生率が増加する、と述べた。

Alex Rosen博士はまた、福島県や日本政府が、被災者達に真実を報道せずに、被災者達を放置しているので、将来に、被災者達の心理的な病気が出てくると述べた。
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もんじゅは何もしなくても約2万4千世帯分の電気を使い、再処理工場は稼働していなくても年間1千百億円!

2015年10月03日 | 日本とわたし
まずこのことを、しっかりと頭の中に刻み込んでください。

もんじゅは何もしなくても、ざっと2万4千世帯分の電気を使う
再処理工場は、稼働していなくても、年間1千百億円の費用がかかる

そして、そんな無能なくせに高額な施設の維持のために、私たちに課してきた負担額は?

↓以下、転載はじめ
https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/genpatsu/kochira/02/

こちら東京新聞原発取材班
あなたの原発に関する素朴な疑問にお答えします。
「私たちが払っている電気料金のうち、いったい原発関連にいくら使われているの?
その詳細って分かるの?」


みなさん、毎月支払っている電気料金で、原発関連の費用をどれくらい負担しているのかご存知だろうか?

東京電力の平均的な一般家庭(月290キロワット時を使用、料金は7000円弱)を例に取ると、ざっと200円。
全国の消費者の分をまとめると、年間数千億円と、とてつもない金額に膨れ上がる。



一つ目は電源開発促進税
負担額は一般家庭で月約110円
電力会社が代行して徴収、国のエネルギー対策特別会計に入る
この額だけで、年間3千億円以上になる。

二つ目は、使用済み核燃料の再利用(再処理)に備えるため、電力会社が積み立てているが、
そのお金は、消費者に転嫁されていて、月約70円が取られている

三つ目が、核燃料を再処理した後に発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる『核のごみ』の処理(最終処分)費用
これも電力会社が積み立て、同様に月20円が取られている


これとは別に、廃炉費用がある。
原発の廃炉には、一基あたり300億~800億円がかかるので、電力会社はそれも積み立てている
が、
電力会社によって原発依存度が違い、一戸当たりの金額が出しにくいので、ひとまず除外している。

税かどうかの違いはあれ、国民は、原発にかかるお金を、相当負担させられていることは確か




核燃料サイクル政策に注ぎ込まれた金額は…。

金額も大きく、問題も多そうな核燃料サイクル政策に、全国の消費者のお金が、これまでどれだけ注ぎ込まれてきたのか、文部科学省、経済産業省、財務省のほか、電力事業者など、幅広く取材した。

出た答えは10兆円

これまで、国が主に負担してきた高速増殖原型炉『もんじゅ』(福井県敦賀市)の建設費などで1兆円、
電力会社が負担してきた再処理工場(青森県六ヶ所村)の建設費で2兆円、
合わせて3兆円が、事業総額であるようなイメージで語られることが多かったが、実際はもっと多かった。

使用済み核燃料を再処理する費用として、2兆4400億円の積立金
再処理後に出る高レベル放射性廃棄物の最終処理費用として、8200億円の積立金
高速増殖炉の研究費として、6400億円
これらすべてが、国民が負担しているお金。

これらの金額は、高速増殖炉の開発が、国家プロジェクトに指定された1966年からの合計
単純に年平均にすると、2200億円あまりだが、45年も前となると、貨幣価値がまるで違う
国家予算も、現在とは1ケタ違う。

計算が難しいのと、数字を大きく見せるのが目的ではないので、現在の価格だったらいくら?という数字は出していないが、
とにかくすごい金額を負担してきたことだけは確か

そして、これだけの負担を課しながら、国の原子力政策を統括する内閣府原子力委員会に、10兆円の数字をぶつけると、
これまで聞かれたことがないので、集計していない」と、
無責任極まりない答えだった。

もんじゅは何もしなくても、ざっと2万4千世帯分の電気を使う
再処理工場は、稼働していなくても、年間1千百億円の費用がかかる

45年の歳月と、10兆円もの国民負担の末に得た果実は、せいぜい一度、使用済み核燃料を再処理して、MOX燃料として利用できるかどうか、というもの。


↑以上、転載おわり

******* ******* *******

もんじゅ関連予算撤回へ 文科省 施設改造費の2億円
【東京新聞】2015年9月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092702000137.html

日本原子力研究開発機構が、建設工事を中止した高速増殖炉研究の関連施設(茨城県東海村)を、別目的の施設に改造する計画をめぐり、
機構を所管する文部科学省は、2016年度予算の概算要求に計上した、関連経費約2億1千万円を取り下げる方針を固めた
 
改造計画に関しては、休眠状態の施設の維持費用がかさんでいるとして、会計検査院が問題視している。
予算要求を撤回しても、別の活用策の検討を迫られる。
 
施設は、高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の、再処理を研究する「リサイクル機器試験施設(RETF)」。
建設費約830億円を投じたところで、もんじゅのナトリウム漏れ事故などの影響で、2000年に工事を中止した
その後も、年間約2千7百万円の維持費がかかっているほか、建物が未完成なのに、年間約6千4百万円の固定資産税などを東海村に納めている
 
会計検査院は2011年、RETFに関し、
多額の費用を投じたのに、施設を使わないのは不適切だ」と指摘。
機構は、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を最終処分場に運ぶために、容器に入れる施設に転用する案を示し、改造費を総額百億円程度と見積もった
文科省は、改造に向けた調査費2億1千万円を、15年度予算に計上
16年度も同額を要求している
 
これに対し、自民党の行政改革推進本部(河野太郎本部長)は、
総工費の積算根拠が不透明だ
最終処分場の立地のめどが立っておらず、施設は必要ない」と、予算要求の撤回と計画の見直しを求めていた。(宮尾幹成)



検査で全容分からず=もんじゅ不備で報告命令-規制委
【時事ドットコム】2015年9月30日
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015093000419

多数の点検漏れがあった日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)で、
新たに、機器の点検頻度などに関わる「安全重要度分類」に、誤りが見つかった問題で、
原子力規制委員会は30日、9月3日から現地で行った保安検査で、全容を把握できなかったとして、
原子力機構に対し、10月21日までに報告書を提出するよう命じた。
 
田中俊一委員長は、
運転管理の資質にも関わっていると考えざるを得ないと指摘。
報告書の提出後に、原子力機構の児玉敏雄理事長を呼び、事情を聴くことを決めた。
 
重要度分類は、機器や設備を安全確保の上で重要なものから分類し、
最も重要なクラス1機器は、点検頻度を増やすなどの対応を定めている。
もんじゅでは、今年3月の保安検査で、クラス1配管の点検不備が発覚。
原子力機構が再確認した結果、約3000機器で、重要度分類自体が誤っていたことが分かった。
 
規制委は、9月からの保安検査で、分類を誤った機器の数や、ミスが生じた理由などの聞き取りを行ったが、
原子力機構の集計や経緯の調査が間に合わず、全容を把握できなかったという。
 
30日に開かれた規制委の定例会合では、各委員から批判が続出。
更田豊志委員長代理は、
極めて異様な、奇っ怪な報告
保安検査で十分な確認ができず、報告命令を出さざるを得ないというのは、保安院時代も含めておそらくないのでは」
と述べた。
 
原子力機構は、
「重く受け止めている。
理事長も陣頭指揮を執って対応し、引き続き安全最優先で改善活動に取り組んでいく」とのコメントを出した。



「負の遺産、整理を」=原子力機構理事長と面談-規制委
【時事ドットコム】2015年9月30日
http://www.jiji.com/jc/ci?g=soc_30&k=2015093000979


原子力規制委員会で発言する日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長=30日午後、東京都港区
 
原子力規制委員会は30日、日本原子力研究開発機構の児玉敏雄理事長を招き、安全性向上に向けた取り組みに関する意見交換を行った。
田中俊一委員長は、
半世紀以上の歴史の中で負の遺産があり、これを整理するには労力がかかる。
限られた予算をどう配分していくかの議論が必要だ」
と指摘。
児玉理事長は、
「選別が必要。コスト意識を持って無駄を省く」と組織再編を進めていく考えを示した。

もんじゅ所長らを処分=修理依頼の伝票回覧せず―原子力機構
【時事通信社】 2015年10月1日
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20151001/Jiji_20151001X026.html

日本原子力研究開発機構は1日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、
機器の不具合や故障が起きた際に発行する「保修票」を、関係部署に回覧していなかったとして、
青砥紀身所長(同機構理事)ら15人を、同日付で、戒告の懲戒処分にしたと発表した。
 
原子力規制委員会が8月、保安規定違反を確認していた。
他に処分を受けたのは、所長級2人と部長級7人ら
戒告は、同機構の5段階ある懲戒処分で、最も軽い。 



もんじゅと再処理工場の年内撤廃を要求します!
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うれしいお知らせ

2015年10月03日 | 家族とわたし
半年間、就職活動をやっていた次男くんに、やっとやっと良い知らせが届いた。

「この会社は、今まで僕が落ち続けてきたことが幸運だったと思えるほど、環境も仕事の内容も報酬もすばらしい」

彼が何度もそう口にするのを聞きながら、
「そんなふうにあんまり煮詰まってしまうと、万が一という時に余計に辛くなるよ」などと忠告したりした。

電話での面接後、最終面接に残ったのは彼ひとりだったということがわかり、一気に期待度がアップした。
最終面接から1週間、やっとかかってきた電話だったが、ほぼ決定、というふうにとっていいのか悪いのか、掴み所のない話が続いた。
報酬や仕事の内容などの交渉が続き、こちら側の希望のどこでキリをつけるかなどの戦略を巡って、緊迫した状態が続いた。
向こう側が考えている以上に要求が過ぎて、せっかく決まりかけていたものを逃した経験が少なくなかったからだった。
5年間、面接を受けては落ち、また受けては落ちして、それでも自分を信じてこれはと思う環境の会社に採用されるまで頑張り続けた夫の姉アードリィに、
この局面に至って初めて、次男くんは、対策の練り方の教えを請うた。
彼女からのアドヴァイスは、とても助けになったらしい。

1ヶ月、2ヶ月、そして3ヶ月と過ぎていくうちに、だんだんと負のイメージがふくらみかけたりしたけれども、本人も家族のわたしたちも、きっと大丈夫と信じていた。
夏が終わりに近づいた頃、また大きなチャンスがやってきて、それをつかみ取るためにかなりいろいろと努力もしたので、
それが全く何の連絡も無しに、やはりダメだったとわかった時は、さすがにすごく落ち込んで、それからちゃんと眠れない夜が続いていた。
彼が、三階の自室から降りてくる足音で、どんな心持ちなのかを想像した。
面接後や、その結果が連絡されるはずの1週間などは、あ、良いことがあったようだとか、ああ、だめだったのかなとか、彼の足音を聞きながら思ったりした。

夫は、彼をできるだけ外に出そうと、小さな用事や楽しみ事に誘った。
夫は、息子たちのように、就職活動をやった経験が無い。
バリバリの猛烈サラリーマンで、だから大きな会社の頂点にまで上りつめた父の息子として、家庭が決して楽しいものでなかったことをとても残念に思っている夫は、
だから自分は絶対に、会社人間にはならない(なれない)と考えていて、実際に一時期会社員をしていた時は、まるで人格までが壊れているように思えるほどに荒れた。
なので、就職や面接などに関して、全く知識も経験も無いのだけれど、息子を思う気持ちからか、自分なりのアイディアを話して聞かせたりしていた。
ところがそれらの話が、今回の最終決定の会話の中にことごとく出てきたと、だから僕はちゃんと答えることができたと、次男くんが言っていた。
恐るべし愛の力。


いよいよちゃんとすべての整理がついて、採用が決定した一昨日の夜は、本当に久しぶりに、良く眠れたらしい。

昨夜は、タイ料理の持ち帰りをして、ビールとワインで乾杯をした。
食事中に、右肩と首の付け根の間に、強い痛みと突っ張りがあるというので、さっそく夫が治療をし始める。


そして、今まで心配をかけていたであろう人たちに、お礼かたがた連絡をした。
わたしも母に、ネットを使って報告をしようと思い、ちょうど次男くんが近くに居たので、直接伝えるよう、彼をパソコン画面の前に立たせた。
すると、
「今回、やっと採用に漕ぎ着けました。
えっと、随分と長い時間がかかってしまったけど、こんなふうに就職活動に専念できたのは、両親のおかげだと思ってます」と次男くん。
え?
「えらいえらい、そんなふうに感謝できるのは立派」と母。
そんな母と次男くんの会話を聞き、じぃーんと胸を熱くしたわたしに、
「あんたはほんまに幸せもんやなあ」と母。

確かにその通りなので、わたしはへへへと笑って頭の後ろをガリガリ掻いた。

******* ******* *******

ハリケーンの影響もあって、ずっと雨が続いている。
おまけに気温は最高でも11℃?!
なので、まだもう少し先にと思っていた、すいかくんの収穫をしに、雨合羽を着て畑に行った。


2日前まで丸々としていたのに、ありゃま!、お尻がパックリ割れてしまっているではないか!


慌てて切って調べてみたら、下半身がぼてぼてに太ったアリさんたちが、忙しそうに動き回っていた。
おぉ~のぉ~!!
お楽しみのところを申し訳ないとは思ったけれど、全部食べられてしまうのは困るので、その部分をスパスパ切り取り、大丈夫なところを食してみた。


季節外れ、まだ少し未熟、素人がただ苗を植えただけの育て方と、どう考えてもうまくいきそうにない条件がそろっていたが、
それがどうした、美味ではないか!!
いやもう、ありがたいやら嬉しいやら。
ひと口ひと口、感謝しいしいいただいた。
コメント (8)
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『千の風になって』のほんとうの話

2015年10月01日 | ひとりごと
『千の風になって』
この歌詞と歌は、当時、父の死の直前に、自分がとった態度が許せなくて、思い出しては悔やみ、泣いていたわたしにとって、大きな慰めとなりました。
今でもふと、口ずさんだりしていました。

今朝、南風椎(はえ・しい)さんとおっしゃる方が、先月の9日、ガンのため、息を引き取られたという記事を読んでいました。
どうしてその記事を読んでいたのかを思い出せないのですが、その記事の中に“『1000の風』などの作品”、という文章があり、気になったので調べてみました。

すると、南風さんは、日本国憲法の前文を訳しておられたことを知り、まずそれを読みました。
とても感動しました。

日本国憲法 前文  南風椎 訳
http://blog.greetings.jp/?eid=184

私たち日本人は
正しく選ばれた
国会の代表者たちをとおして
行動します。


私たち日本人は
すべての国々との
平和的な協力によってえられる実りと
この国土いっぱいに
自由がもたらしてくれた恵みを
かたく守っていくことを決心しました。
私たち自身と子孫たちのために。


私たち日本人は
政府によっておこされる戦争の恐怖を
もう二度と
私たちのところにやってこさせないことを
決意しました。


私たち日本人は
人々こそが最高の力をもつことを
宣言します。


そして私たち日本人は
揺るぎない意志で
この憲法を制定します。


政府は
人々の神聖な信頼によるものです。
その権威は人々から出され
その力は人々の代表者たちによって行使され
その利益は人々によって楽しまれます。


これは人類すべてがもつ原則であり
この憲法は
その原則にもとづいています。
私たちはこれに反する
どのような憲法
どのような法令
どのような詔勅も排除します。


私たち日本人は
永遠の平和を願います。


私たち日本人は
人と人との友好関係を支配している
高い理想を
心から自覚します。


私たち日本人は
平和を愛する世界の人々の
正義と信念を信じて
私たちの安全と存続を
守っていくことを決めました。


平和を守り
専制政治や奴隷制、圧制や偏狭を
地球から永久に追放しようとしている国際社会で
私たちは
誇り高い地位を占めたいと願っています。


世界中の人々が
恐怖も欠乏もない
平和な暮らしをする権利を持っているということを
私たちは認識しています。


どのような国でも
自分の国のことだけを考えてはいけない、という
政治道徳の法則は
誰にもどこにでも通用するものだと
私たちは信じています。


自分の国の主権を保ち
他の国々と対等な関係をもとうとする
すべての国にとって
この法則に従うことは義務なのだと
私たちは信じています。


私たち日本人は
国の名誉にかけ
全力をあげて
これらの高い理想と目的を
達成することを誓います。




http://www.amazon.co.jp/前文―日本国憲法-ポケット・オラクル-南風-椎/dp/4883209016


1994年に上梓した『日本国憲法 前文』(三五館)の全文です。
70年代にヒッピー学生だったぼくが、シカゴの書店で、日本を紹介している分厚い本を読んでいたとき、はじめて『前文』の英語原文を読みました。
それまで日本語では読んだことはあったのですが、難しい言葉遣いだったせいか、正直言ってよくわかっていませんでした。
ところが、英語による『前文』は、びんびんと心に届いてきました。
(まるで『イマジン』みたいな文だな)と思いながら、書店の床に座って読んだ記憶があります。
そのころ、ジョン・レノンの『イマジン』は、60年代の闘いの日々に疲れた人たちの、気持ちを癒してくれているかのように、ラジオからよく流れていました。

それから20年たって、英文原文を翻訳して、出版するチャンスが訪れました。
それが上の文です。
原文は、ワンセンテンスが長すぎるものがいくつもあったので、センテンスを短く区切って訳していますが、意味は変わっていません。
日の出、落雷、蜃気楼、噴火、桜吹雪、富士の彩雲など、日本の美しい自然現象の写真をそえて、編集しました。

2010年、憲法記念日前日に。

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この人の訳はあたたかく美しい。
ますます知りたくなって、『1000の風』について読み始めました。
すると…今の今まで知らなかったのは、もしかしたらわたしぐらいなのかもしれませんが、本当にびっくりするようなことが書かれてありました。

『1000の風』は、80年代後半、デーブ・スペクターが、両親を亡くして落ち込んでいた南風椎に、
アメリカの新聞に載った、アン・ランダースのコラムの切り抜きを、持ってきたのが始まりだった。
そこに、"A THOUSAND WINDS"の詩が、紹介されていた。
 
南風椎は、その小さな切り抜きを、大切にしまった。

(辛淑玉氏記)

そして…、

80年代にまず母が他界し、数年後に父も他界した。
ぼくはまだ30歳代だった。
「お前は末っ子で、両親と過ごした時間が短いのが可哀想だな」と兄に言われた。
ぼくもそう思った。
父の死については、このブログにも書いたことがある。
母の死についても、いつかは書いておきたい。

親が生きている間は、親が「壁」になってくれているので、「死」に向き合わなくすむ、と言われる。
ぼくの場合は、30歳代で、「壁」がなくなってしまった。

"A THOUSAND WINDS"という、作者不明の美しい詩に出会ったのは、両親を亡くして間もないころだった。
そして95年には、『1000の風』という本を作った。

(南風椎氏記)

 
http://www.amazon.co.jp/あとに残された人へ-1000の風-南風-椎/dp/4883209067/ref=pd_cp_14_1?ie=UTF8&refRID=14S86C971HWEET7WKYZW
『1000の風』

訳 南風椎

http://blog.greetings.jp/?eid=162

私の墓石の前に立って
涙を流さないでください。

私はそこにはいません。

眠ってなんかいません。

私は1000の風になって
吹きぬけています。

私はダイアモンドのように
雪の上で輝いています。

私は陽の光になって
熟した穀物にふりそそいでいます。

秋には
やさしい雨になります。

朝の静けさのなかで
あなたが目ざめるとき

私はすばやい流れとなって
駆けあがり

鳥たちを
空でくるくる舞わせています。

夜は星になり、
私は、そっと光っています。

どうか、その墓石の前で
泣かないでください。

私はそこにはいません。

私は死んでないのです。


Copyleft by Hae Shii 1995-2010


『1000の風』と『千の風になって』という連載日記
その1:
http://blog.greetings.jp/?eid=98

その2:
http://blog.greetings.jp/?eid=99

その3:
http://blog.greetings.jp/?eid=100

その4:
http://blog.greetings.jp/?eid=101

その5:
http://blog.greetings.jp/?eid=102

その6:
http://blog.greetings.jp/?eid=103

その7:
http://blog.greetings.jp/?eid=104

『1000の風』と『感謝する死者』
http://blog.greetings.jp/?eid=105

『1000の風』と『千の風になって』という連載日記
その8:http://blog.greetings.jp/?eid=141

昨年11月に『1000の風』と『千の風になって』という連載日記を書いた。
あれで終わりにするつもりだったけど、もう少し続けよう。
辛淑玉さんが『月刊 マスコミ市民』(NPO法人 マスコミ市民フォーラム)という雑誌に、あの件について書いてくれた。
許可をもらったので、ここに全文を紹介したい。

山椒のひとつぶ  しんすご(辛淑玉)

「1000の風」の悲劇


新井満が、「千の風」を商標登録したという話を聞いて、そこまでやるかと思った。
ずうずうしいにもほどがある。
新井満の「千の風」は、南風椎(はえ・しい)が世に送り出した『1000の風』のパクリであり、
その思いを共有した人たちの心を踏みにじって、自らの利益のためだけに活用したものだ。
そして今度は、商標登録ときた。
 
私が、南風椎の『1000の風』(ポケットオラクルシリーズ)を手にしたのは、1990年代だった。
いつだったか、デーブ・スペクターが、ステキな作品だよといって、『平和』『(憲法)前文』といった小冊子を数冊持ってきて、南風さんを紹介してくれたのだ。
 
のちに、南風さんは、私が十代のとき初めてお金を出して買った本、『日本国憲法』を手がけた人だとわかった。
その文章や本の美しさに見入ってしまったことを、今でも鮮烈に憶えている。
 
90年代、南風椎の作品群は、多くの人たちの心を打つメッセージとして、店頭に並んでいた。
彼が体から搾り出した一つひとつの言葉は、いまなお褪せることなく、人々の心に届いている。
 
『1000の風』は、80年代後半、デーブ・スペクターが、両親を亡くして落ち込んでいた南風椎に、
アメリカの新聞に載った、アン・ランダースのコラムの切り抜きを、持ってきたのが始まりだった。
そこに、"A THOUSAND WINDS"の詩が、紹介されていた。
 
南風椎は、その小さな切り抜きを、大切にしまった。
 
以下、南風椎のブログ『森の日記』から引用しよう。

     ※      ※
 
『80年代から90年代にかけて、ぼくは、アートワークス・コミッティというNPOをやっていた。
(略)
1990年に、そのコミッティから、日米独伊の200人の芸術家たちに、アピールを送った。
(略)
そして表紙に、「神」「GOD」と書かれただけの、真っ白なパノラマ本(お経本)を送り、「神」をテーマにした作品にしてくれるよう依頼した。
(略)
ぼくは、200冊の本の中に、あの"A THOUSAND WINDS"の詩を入れたいと思い、そのときはじめて日本語に訳した。
"A THOUSAND WINDS"は、本来なら、「たくさんの風」「いっぱいの風」と訳すべきなんだけど、あえて「1000の風」と直訳した。
その方が、日本の人たちの心に届きやすい、と思ったからだ。
 
デーブ・スペクターにパノラマ本を渡し、表に英文の詩、裏に翻訳した詩を書いてくれるよう頼んだ。
デーブなりの表現方法で、『1000の風』のパノラマ本が完成し、展覧会場に並んだ。
 
『1000の風』が本になったのは、あれが世界ではじめてだった。
しかし、世界で一冊だけの本だった。
『1000の風』が、印刷製本された本として世の中に出ていくまでには、さらに5年近くかかった。』
 
『"A THOUSAND WINDS" についての調査は、困難をきわめた。
まだ日本にはプロバイダーがなかった時代に、2400bpsのモデムでインターネットに接続し、国際電話料金を気にしながら情報を探し回ったりしたが、収穫は少なかった。
(略)
自然の詩を集めた英語のアンソロジー本の中に、収録されているのがわかったし、小説にも引用されていたが、いずれも作者Unknown(不明)とされていた。
"A THOUSAND WINDS" をタイトルにした本は、見つからなかった。
 
94年に、三五館から、『ポケットオラクル』を出すことが決まった。
20世紀も終わりに近づいていて、「次の世紀まで残したい言葉」で、小さな本のシリーズを作りたかったのだ。
第1巻は、日本国憲法の「前文」を、英語原文からわかりやすい現代語で翻訳し直した。
 
シリーズは、『シャイアンインディアン 祈り』『マイケル・ジョーダン 飛言』『ピースメイカーズ 平和』『般若心経』と続き、
95年6月に、6巻めとして、『1000の風 あとに残された人へ』を世に出した。
(略)
これだけ美しい詩なのだから、そばに置く写真は負けないものにしたかった。
おびただしい数の写真を見た。
「私は1000の風になって 吹きぬけています」の、ページの写真を探していて、この写真と出会えたときの喜びったらなかった。
(略)
少部数だけど、毎年増刷も重ねていた。
ほんとうに静かなさざ波のように、「1000の風」の詩が広まっているのは実感できたし、うれしかった。』
 
『2003年の8月23日、朝日新聞の「天声人語」に、驚くようなことが書いてあった。
「1000の風」についての記事だった。
IRAのテロで死んだ青年の話、ジョン・ウェインが朗読したという話、マリリン・モンローの25回忌にも朗読されたという話。
 
10年以上、「1000の風」のことを調べてきたぼくが、知らないことばかりが書かれていた。
あたかも日本以外の国々では、「1000の風」は誰でも知っている詩であるかのような記事だった。
そんなはずはないのに。』

『ぼくが出した『1000の風』の本にも、記事は触れていたが、メインはそうじゃなかった。
作家で作詞・作曲家の新井満さんが、自分で作った私家盤のCD『千の風になって』を、友人らに配っているというのがメインの記事だった。
そして、新井さんが訳したという詩も書かれていた。
「1000の風」が「千の風」になっているだけ。
あとは、ぼくの訳詩の言葉の順番を変えたり、省略したりしているだけの詩に思えた。』

『この「天声人語」をきっかけに、新井さんの活動が活発になったようで、ぼくのところにも、新聞やTVの取材がくるようになった。
記者の人たちに、「新井さんにぼくに連絡をくれるよう」頼んだけど、新井さんからはまったく連絡がなかった。』

      ※     ※

のちに、紅白歌合戦で、『千の風になって』が歌われ、mixiの中では、新井満への怒りと非難が相次いだ。
南風椎は、
「子どもがいないぼくにとっては、これまでに作ってきたたくさんの本が、自分の子どものようなものだ。
『1000の風』という本が、孫やひ孫を作って、その連中が賑やかにやっているなあ、というような気持ちで騒ぎを眺めている」と語った。
 
しばらくすると、新井満は、南風椎との対談を申し込んできた。
新井満は、「千の風」の日本酒やお香といった、グッズをしこたま持ち込んで、なんと感想を求めたという。
中には、南風椎が作った「1000の風」と、そっくりな本もあった。
 
この人、ちょっとおかしい。
パクっておいて、その相手に自分の作品を見せるという感覚は、相手をなめているとしか思えない。
電通という会社は、著作権の基本も教えないのだろうか。
 
新井満は、同席した人々を前に、南風椎にまったく連絡もせずに、似たような本を作ったことを詫び、
これまでの自分の言動が、元祖本である『1000の風』への敬意に欠けていたことを詫び、
テーブルに両手を置いて、何度も何度も頭を深々と下げたという。
(しかし、彼が、著作権料を支払った形跡は全くない。)
 
「千の風」の商標登録をするというのは、作者不明で、人類共通の財産である"A THOUSAND WINDS" を、私物化したということである。
 
新井満がこの詩を口にするとき、そこには、命への畏敬の念も、尊厳もない。
あるのは自己顕示欲と、利潤追求の限りない欲望だけ、と取られても仕方あるまい。
彼が、この詩を口にする資格を得るためには何をすべきか、彼自身が考えるべきだろう。
 
それができる能力があれば、の話だが。

 


新井満の本は、南風椎の本のパクリではないか、という意見は、ネット上ではたびたび見かけたけど、
印刷媒体で、こうやって「パクリだ」と明言してくれたのは初めてだと思うので、うれしくてここに掲載させてもらった。
正直に言おう。
ぼくも、あれは完全なパクリだと考えている。

一例をあげよう。
翻訳の一番重要な個所だ。

英語の原詩にはこうある。

『I am a thousand winds that blow;』

普通に翻訳すれば、こうなるだろう。

『私は吹いているたくさんの風だ』

ぼくはこう翻訳した。

『私は1000の風になって
 吹きぬけています』

「1000の風」と、あえて直訳にしたのがミソだった。  

新井さんの「訳」はこうなっている。

『千の風になって
 あの大きな空を
 吹きわたっています』

「千の風」がパクリであり、「になって」もパクリだ。
「あの大きな空を」は原詩にないが、ぼくの本の写真(上)から、イメージをパクったに違いない。
「ですます」調で訳したのも、写真と組み合わせたのもパクリ。
まったく恥ずかしくなるほどの本だったのだ。


先週、友人の北山耕平と清水伸充が、同時にメールをくれた。
「顔も見たくないだろうけど、満さんが朝日新聞に出てるよ」

『1000の風』の原作者が、メアリー・エリザベス・フライという女性ではないか、という本を出そうとしている人がいて、
新井さんが、「ようやく納得のいく解答にめぐり合えた」と語っている、という記事だった。
笑ってしまった。
2年前、新井さんがわが家にきて謝ったとき、
「エリザベス・フライ説は嘘だよね? デタラメでしょ?」
と何度も聞いてきた。
ぼくは、こう答えた。
「そのことについては、おそらくあなたより詳しいけど、あなたにだけは情報を教えようという気になれない」

いずれ、このブログで書くことになるだろう。

辛淑玉さんは、
「反撃を開始しましょう」というメールをくれた。
それも面白いかも知れない。
何が起きようと、(何も起きなくても)このブログですべて報告します。

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上記の記事が書かれたのは、2010年の1月の末のことでした。
わたしはその頃はまだ、インターネットを使うのは、日本の新聞記事を読むためと、のんびりと毎日のことを綴るだけのブログを書くためだけでした。
フェイスブックもツィッターも、なんだか恐ろしくて、手に負えなそうで、始めることができませんでした。
なので、ちょっとした騒ぎになっていたことすら、全く知らずにいました。

今日はなんだか、腹が立ったり同情したり、そして何より悲しくなりました。
コメント (4)
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