歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

On Death and Dying

2010-01-17 00:23:26 | Weblog
ターミナルケアを携わる内には一度は耳にし、また訳書を手にしている。
1969年に出版された、エリザベス・キューブラー・ロスの著作である。
「死」の課程の5段階を表し、それが現在では基本といわれている。

1、否認と孤立
2、怒り
3、取り引き
4、抑うつ
5、受容

7日から読み始め、内容的に重いので進みが遅くなり1週間かかった。

ターミナルケアに携わっているので、死に関する本は何冊も読んでいる。
・病院で死ぬということ(山崎章朗)
・「死の医学」への日記(柳田邦男)
・生きるための死に方(マーテイン・シェパード)
などなど。あるブログから出版されたものも。

何をするのでも先駆者はすごい。

ターミナルというと、癌の末期と想像されるが、
別の視点から見ると高齢者ケアは全て含まれると思う。

生きている私たち全ては生を受けた瞬間から死に向かっている。
誰にでも平等なのは、生と死。
どのような死を向かえるかはわからないが。


身近な死を語ろう。

10歳で祖母を自宅で看取った。
たらいでオムツをすすいだこともあるが、汚いとは思わなかった。
亡くなる前の日、昼間なのに「暗い、電気をつけて」といった。
火が消えるように静かな死だった。
深夜、一人で遺体と留守番したが怖くなかった。
私を育ててくれた祖母だから。

35年前、父を看取った。
入院した時は手が着けられない状態の肝臓癌。
おまけに年末年始がかかり検査もできずに転移していた。
幸いだったのは痛みが少なかったこと。
息が浅くなった時、病室から私は追い出された。
息をひきとる時、唯一の家族の私は病室のドアの外。
なぜ無理にでも入室しなかったか、今でも後悔している。
映画やテレビで流されるような看取りは大学病院にはなかった。


勤務してきた施設はターミナルケアを行うので、これまで何人もの方を看取ってきた。
中には、連れ合いの後を追うよう選択していかれたような方もある。
その殆どの方は家族は間に合わず、居合わせたスタッフが看取っている。



気が抜けたビールになりつつある?

2010-01-15 00:00:47 | Weblog
年が明けてから、寝過ごしたり、
勤務シフトを間違えて、のんびりして和んでいたり、
今までしなかったことをしている私である。

人事制度が変わることもあって、先が読めなくなりつつあるのがどうやら影響しているようだ。(これ、自己分析)

かなり気が抜けた状態。
苦さが残って炭酸が消えたビール。
せめてジンジャーエールくらいにしておかないと。

自分のために気を引き締めないといけない。


来月のコンサートのための暗譜は、4重唱を残して完了。
あ、いえ、80%かな?(笑い)
昨日楽譜を放して歌ったら、ところどころ落とした。
合わせは、あと3回あるから何とかなるだろう。
ボイストレーニングは手を抜くことにする。

からからで干からびそうな中で1日喋っていると喉がおかしくなる。
胸の奥に塊がある用ですっきりしない。
炎症を起こしているときのようだ。
ほんとに若くないんだ、と実感させられる。


専門職の勉強も少しまた再開する。
外部講習へ申し込んだ。
こちらも2月3月と続くが有休を有効利用するつもり。
年度末までに7日は消費できる。
でないと消えてしまう有給休暇だ。
7日も取るわけにはいかないだろうが・・・。

現在の会社に転職して3年経った。
子供のような若い同僚や上司に囲まれて、いささか疲れているようだ。
若いというのはよい所ばかりではない。
年長者を配属する意義、だと会社は言うが、
管理職という肩書きも手当てもなしにお荷物だけを背負わせるのは過酷だ。
聞く耳を持たないものにとってはうるさいだけだろう。

勝手に栓を開けられて、気が抜けてしまった。
ほろ苦さが渋みに変わりつつある。(笑い)


嬉しくもあり、嬉しくもなし

2010-01-11 22:50:21 | Weblog
2010年が動き出している。
2009年においてきたものもある。
思い出の中に綴じこんでおくことにした。
振り返るまい・・・、そう決めた。


ナースコールが鳴っている。
「ワ、またか。イヤだな。」
ツイこう感じてしまうのは「物盗られ妄想」。

1週間の間に、2回はある。
この1年で増えたなあ・・・。

居室は鍵を閉め、留守の間は誰も入れない。
いや、誰も入らない。

入居半年から「物盗られ」が出現して、
不確定な相手から、固定スタッフへ転化し、
出入りするスタッフ全員を信用していないような言動に変化してきた。

だんだん回数が増え、こちらのストレスも高くなる。


1年前は百人一首の読み手がまあまあ出来ていた方が、
今年は、つまづく事が多くなっていた。


携帯の写メールまでできていた方も、
写真の撮り方がわからなくなった・・・。
トイレが間に合わなくて、紙パンツにしたと嘆かれた。


生年月日は言えていた方が、わからなくなった。

年がだんだん若返る。
去年は50歳、今年は32歳。
赤ちゃんはどこへ行ったというはずだなあ・・・。


失敗しながらもトイレに行っていた方が、
全くトイレと縁が切れてしまった。


長年机に向かっていた方が、何の意欲もなくなった。
「自分でもどうしたのか判らない」と。

「お父さんみたい」というと、
「私からすると、アンタはお姉さんみたい」と笑う。
あれせい、これせいという喧しいお姉さんか。マ、いいわ。(笑い)
お母さんという入居者もいる。


1年前は1人で入浴していた人が、恐くて介助浴しか入れなくなった。
今では1人で足が上げられない。

誰かを頼りにしないといけない方もいる。
依存心がこんなに強いとは、親族は気づいていない。
「占いに言われたの。自分から求めていかないとダメだって。」
赤の他人のアドバイスが助けになる方もいる。


数少ないがレベルアップもある。
しかし、
殆どが施設内の生活にならざるを得なくなるだろう。


わが母も、12月には3回転んだ。
幸い怪我はしていない。上手な転び方。
少し弱ったな、と感じた。


住めば我が家

2010-01-09 00:02:29 | Weblog
家族に呼び寄せられて入居してくる方も、
自分の意思で入居してくる方も、
住み慣れれば「一番ホッとできる我が家」になる。

「帰りたいなあ」といっていた方も、
「ここが一番いいよ!」になっていく。

それでも、事情はいろいろだが退去せざるを得ない方もある。
思いを残して去った方。
なみだ涙で別れた方。
医療的に無理になり入院生活をせざるを得なくなった方。
中には、小規模施設が合わなかったという方も。


自慢してもよいが(笑い)、勤務先の施設は外部評価は高い。
ご家族からも誉め言葉を頂いている。

しかし、私から見る評価はまだまだ低い。

例えば、
これまで排泄の意思がなかった人が、
「トイレへ行きたい!」といった時、
どのような身体状況でも、何とかして連れて行こうと思うのが「その人に必要なケア」だと私は思っている。
その人にとって、専門職の評価が必要なのではない。

例えば、
ベッドの高さを転落リスクから大体の方が一番低くしてある。
体格にあわせることを忘れているのだ。
背の高い人のベッドが低くなっていたら、立ち上がり難い。
Aさんのときベッドを高くしたのに、
同じようなBさんには応用できない。

筋トレするつもりなの?と聞いてしまったことがある。(笑い)


拙いケアをしていると私はまどろっこしい思いをすることが良くあるが、ご家族やご入居者は感謝してくださる。
「ここが一番いい!」
「みんなが優しくしてくれるから嬉しい」
「帰ってくるとホッとする」

しかし、こんな声も聴こえた。

私たちの世代は長生きしちゃいけないわよね。
自分の始末はじぶんでつけなくちゃとおもうの。
若い人たちは割り切ってるから、仕事以上には考えていないでしょ。

団塊の世代の方である。
ご自分の「我が家」にはなり得ないということだろう。

勤務先の誰にも伝えてはいないが・・・。
若いと本音は語ってもらえないこともある。


以前、重度の認知症の方の家族から聞いた言葉。
「家では看られないので、あまりこうしてああしてと言えないのよ。人質みたいなものだと思うの。要望が多いと嫌がられると思って。」
けっこう要望をなさっておられた家族だが、
それでも内心は複雑だったのだと知った。

それ以来、常に頭にその言葉がよぎっている。

わたぼうしコンサートのお知らせ

2010-01-04 10:39:16 | Weblog
早春とはいっても、まだまだ寒い2月26日。
京王線聖蹟桜ヶ丘駅前、ヴイータ・コミーネ、
18:30会場、19時開演。
市の主催なので入場無料、250名。

小ホールですが音響はなかなかいけます。

出演:ベッラ・ドンナ
 
(プロフイールは会場のHPに出ているので興味があればごらんください)


演奏曲目:

第一部;私の愛する歌
1、Mammma      (テノール)
さらば栄光の夢
2、鉾をおさめて    (ソプラノ)
3、丹沢の(組曲沙羅より)(バリトン)
4、もしこの心があなたを失うなら(ソプラノ・カウンターテナー)
  Time to say goobay (ソプラノ・テノール)
5、叱られて      (ソプラノ)
  平城山
6、千の風になって   (バリトン)
7、ふるさとの四季より  (全員)

第二部:愛の妙薬よりハイライト
1、前奏曲       (ピアノ)
2、なんと美しく愛らしい人(ネモリーノ)
3、気ままな風に聞いてごらん(アデイーナ・ネモリーノ)
4、みなの衆、愛の妙薬を!(ドルカマーラ)
5、その妙薬を売ってください(ネモリーノ・ドルカマーラ)
6、ラ・ラ・ラ  (アデイーナ・ネモリーノ)
7、ぼくはあの妙薬をたっぷり飲んだ(4重唱)
 (アデイーナ・ジャンネッタ・ネモリーノ・ドルカマーラ)
8、これこそ愛だわ!(アデイーナ・ドルカマーラ)
9、人知れぬ涙(テノール)


という多彩な2時間たっぷりのコンサートです。
何年も前に「愛の妙薬」は2度歌っていますが、
今回は4重唱で「ジャンネッタ」を担当しなければならず、
次に歌う2重唱が、とてもタイヘンに・・・。
それじゃなくとも軽い曲は苦手なんですよ。

歌を歌うと、感じたくない年齢をイヤでも感じる!(笑い)
私の気持ちはいつも27歳なんですけどねえ。

たぶん、生きていれば80になってもそうかもしれない(笑い)。
ご入居者とお付き合いしていると、そんなフウに感じます。
80歳で恋する女性はありうるんですよ!
素敵だと思いませんか!


今年からの課題、
欠点は気づいても黙視し、好いところを誉めよう!