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人質の朗読会ー小川洋子

2022年12月12日 | 読書
評価4

山岳地帯のゲリラによって人質となった日本人旅行客8人と救出部隊の兵士1人が自身の過去を振り返って語ったテープが公開された。どんな人、どんな人生にも物語がある。市井の名もなき人々の小さな出来事を真綿で包み込むようにすくい上げる小川洋子の世界。

事件の設定は、小川さんがエッセイで何度も取り上げているミュンヘンオリンピック(1972年)のテロ事件(黒い九月事件)を彷彿とさせ、各人が自身に起こったことを読み聞かせる展開はポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」に近いような気がする。

私の好みは、危機言語を救う友の会、運針倶楽部が登場する「B談話室」。「槍投げの青年」も捨てがたい。運動選手の躍動感の表現が秀逸。いつか小川さんにスポーツ物書いて欲しいな~♪

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