メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

最低の女

2018-09-11 21:52:05 | 
真夜中のタクシーで家路を急ぐのは懐かしい。
お水の頃はよくそうして帰ったものだ。
ふと薄目を開けると、窓には光るビルがいくつか映っていた。
東京のど真ん中よりは暗い街だ。

眠いけど眠れそうにない。
梓にしてしまったこと、自分の気持ち、っていうか要するに自分自身にガッカリだ。
ガッカリなんてリズミカルな単語で済ませられる気持ちじゃない。
絶望感だ。




梓が私に触れた時って言ってもロングシャツにズボンじゃ首と腹くらいしか触れなかったけど。
もっと正確に言うと、抱き締めて首にキスした時。
私は「これは仁さんにしてもらいたかったのに」と思ったのだ。
どうでもいい男相手ならよかったのかもしれないが、そんな気持ちのまま梓を受け入れてはいけないと思った。
私は本当に梓が大好きだった。


頭が痛いのは梅酒のせいか精神的なものか。
いや、日本酒をガンガン空けていた私があんなもんで酔っ払うわけがない。


ずっと良くしてくれてきた梓に悪いことをしたというのに
会ったこともない不誠実な仁さんで心がいっぱいだなんて
そんな自分には絶望しかない。
ああ、ごめん梓。
私は本当にバカモンだ。





部屋についた頃、梓からメールが届いた。





『無事に着いた?
今日は会えてよかったよ :) 楽しかった。
でも眠かったね(笑)おやすみ』




帰ったことは、伝えなきゃ……




『今着いたよ。ありがとう。
私もすごく楽しかった!おやすみなさい』




化粧も落とさず適当に服を脱ぎ捨ててベッドに倒れこんだ。
マジで眠い。
頭も心も体もぜーんぶグチャグチャのクタクタだ。
ポイと投げ捨てた携帯の光が暗い部屋で目立つ。
手繰り寄せるようにそれを掴んで、例のアプリを開いた。




仁さん……




彼のプロフィールを開くと、彼がいつオンラインだったかわかる。
2〜3時間前に彼もこのアプリを使っていたらしい。





どうしてこの人を忘れられないんだろう。
どうしてこんな辛い思いしなきゃいけないんだろう。
あっという間にレビューが増えた私には、今や話し相手が20人はいる。
それなのに毎日この人のことが気になってしまう。
どうしたら忘れられるんだろう。
どうして彼は連絡してこないんだろう……。





ポチ……




ポチポチポチポチ……





送信ボタンを押したのと、眠りに入るのと、どちらが先だったかわからない。





『こんばんは、仁さん。元気?(╹◡╹)』





翌日、彼から返信が来た。






続きます。


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