メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

ウサギを料理する話

2018-06-07 15:17:06 | 
仁さんからのドッキドキLOVEメッセージは止まることを知らなかった。
2日ほど経った頃のことである。







ピロリン






『メイサさん、こんばんは!』

『仁さん、こんばんは(^^)』

『今日はお仕事どうだった?』

『いつも通りかな。仁さんは今日は何していたの?』







彼は、日本に行く準備をしていたよ、と答えた。
彼は無事テスト期間を終え、大好きな日本を訪れるための準備をしていたのだ。
期間にして実に1ヶ月。
彼は数多のスポットをめぐる予定でいた。

へー、楽しそうだなぁ。
仁さん本当に日本好きなんだろうな。
日本人の私にはわからないけど、親日家なのは悪いことではないよね。







『いいね!具体的には何を用意していたの?』

『日本の友達にあげるお土産とか。お世話になるからね』

『いいね!どんなもの?』

『パスタを作る道具とか』







(°▽°)






『め、珍しいね!』

『僕の国の工芸品だからね』

『そうなんだ…。メイサさんに会うときも、それ持ってきてくれるの?』

『メイサさんにはもっとロマンチックな物をあげたいけど(笑)』





ふぅーん?
仁さんて、結構ロマンチストなんだなぁ。
ま、私も大概人のこと言えないけど。花が欲しいとか言うような女だしね。






ポチポチポチ







『例えば何?』

『僕の国では、某バスグッズブランドが有名なんだけど、入浴剤を始め、すごくクオリティが高いんだ。
特に、彼らの提供しているマッサージオイルが凄くいい。』





(OvO)







『えっとぉー…(笑)ちなみに、マッサージオイルと入浴剤のどっちをあげたいんですか?』








ピロリン






『僕がマッサージしてあげられるなら、マッサージオイルの方がいいです』






やっぱり。





ちょっと待って。
そういうキャラだったっけ?(笑)







『ハハハ!やっぱりね!(笑)えっと、それは本当にただのマッサージなの?』

『そうだよ。どうして?他に何かあるの?』







すっとぼける仁さんに、私は思わず吹き出した。
ふふーん?そっちがそう来るなら……







『そんなの決まってるでしょ。オイルを使ってすることなんて……









料理よ』








なるほど、と仁は呟いた。







『もしあなたがオイルを使ってバニーをマッサージしていたら、彼女を料理して食べたくなっちゃうと思うわ』

『確かにね。。。じゃ、メイサさんはマッサージオイルと入浴剤のどっちが欲しいの?』







こ、これ、マッサージオイルって答えなきゃいけないやつかな。←どんなやつ
んー。
イヤではないけど、すんなり答えるのも芸がないなぁ。
ってー事はだな………








ポチポチポチ








『そうね。答える前に入浴剤についてもちょっと情報をもらう必要があるわね』

『(笑)わかったよ。入浴剤はいくつか種類があって、その効能で色が分かれている。
ピンク、緑、紫、黄色なんかがあるかな』

『ねぇ、白はないの?』

『入浴剤がいいの?( ̄(工) ̄)白はないと思うよ』







私はスラスラと指を走らせた。







『そっかぁ~残念。私、白い入浴剤が大好きなんだけど、白い入浴剤を使う時には問題があるの。。。』

『なに?』

『白い入浴剤って、浴槽が滑りやすくなるのよね。
だから、使う時は誰か一緒に入って抱いててもらわなきゃいけないの。。。』









ピロリン








『考え直してみたんだけど、やっぱり白あったわ』







無いやろ








『(爆笑)あるんだぁー笑』

『うん(笑)だから入浴剤がいいんじゃない?』

『じゃぁ、誰かに一緒に入ってもらわなきゃ』

『誰か?もう誰がいいかわかってるんじゃないの?』

『わからないなー、誰か紹介してくれる?』

『僕のオススメは、日本文化全般が好きで特に温泉文化も好きな外国人の彼だね』

『彼、一緒に入ってくれるかしら?ちゃんと抱きしめててくれる?』









勿論!!と、その外国人の彼は答えた。





こういうユーモラスなセクシートークは嫌いじゃない。
直接的な話はハニーとだけしたいけど、オブラートに包まれた会話はハチミツほど重くない。
脳みそフル回転させて、エッチだけど下品じゃない、ロジカルだけどロマンスも忘れない
そんな会話をするのはとても楽しいし、それが出来るのは頭がいい相手とだけだ。




余談になるが、私は頭がいい男が好きだ。
と、言うと、勉強ができるって意味じゃないんでしょう?と言われる事がある。
何をおっしゃるやら。
勉強ができる男の方がいいに決まっている。
これは私の持論だけれど、勉強の得手不得手は持って生まれた才能によるところが大きい。
みんなあまりそれについて語りたがらないが、運動神経と同じだ。
やればやるだけ上手く、少なくともマシにはなるけれど、誰もが皆プロ野球選手やウサインボルトになれるわけではない。
勉強もそうで、例えばこの時私が必死に勉強していた英語だって、その国に生まれただけで私より幼かろうが勉強ができなかろうが、ペラペラ喋るネイティブスピーカーがいる。
それはひとえに常にその環境に置かれて来たからである。
そして彼らが同じ条件で同時に言語の勉強を始めたなら、悪いけど負ける気はしない。




勿論、勉強ができると一口に言っても、その得意分野は様々だ。
例えば私なら、正直恥ずかしいのであまり言いたくないが、数学と物理が苦手だ。
まぁ一応言い訳をさせていただくと、始めに躓いてしまった事と興味が湧かなかった事、
担当教師が好きじゃなかった事など、とにかく私は数学と物理が苦手なのだ(笑)
変わりと言っちゃなんだが、現文や古文、英語に古文などは得意だった。
もちろん歴史全般のスコアも良かったが、知識として身についているものは皆無だ。
試験のためだけに記憶して、試験が終わると消しゴムのカスと共に机の上に置いてきてしまったのだ。トホホ。
一方で、なぜか全く英語ができないと言う友達がいた。
彼らは決まって理数系が得意だった。
概して私はそういった理系の人間に惹かれる事が多かった。
男の子に限らず、女の子でも理系の子と話すと、私とは違った世界を
垣間見れてワクワクした。
けれど一番は男の子だ。
ロジカル、合理的、記憶力の良さ……そしてどこか無骨。
全てがものすごく魅了的で、そういった男の子と話すと一瞬で胸が弾んだ。
もちろん彼らが頭が良ければ、だけど!




でも皆さん、わかりません?
"勉強ができる人"は、当然その才能を持って生まれたわけですが、
それに加えて努力していますよね。
人間はみんな生まれながらに平等なんかじゃない。
だけどその才能にあぐらをかかず、努力して結果を出している人達がいる。
彼らが私のタイプなのだ。





まぁ勿論、他にも色々と条件はあるのだが(何様だよ←いや本当に)
とにかく第一声で『頭がいい人が好き』と言える。
この時私が仁さんに惹かれた理由も、まさにそれだった。
彼はド理系で、合理的で、非常にロジカルだった。
いつも勉強していて、話していると頭が良いことがよく伝わってきた。
独学だけでこんなにも日本語が上手になったことも、尊敬できた。





『話していて楽しいから好き』




それは、理由であって理由じゃない。



どうして楽しいか。



ロジカルな考え方ができて、返しがスマートで、ユーモラスだったから。



賢い彼に、私はすっかり夢中だった。




だけどいつも大きな不安を抱えていた。





年の差だ。







続きます。








チョコレートと先生

2018-06-06 15:16:26 | 
ようやっと両思いになった翌日は、偶然にもバレンタインデーだった。
私は特に誰にあげるでもなかったのでチョコを買うこともなく、のんびりと1日過ごしていた。
…と、言いたいところだが、
つい昨日両思いになったばかりだったので何やらソワソワと落ち着かなかった。





昨日は仁さんとあんな話ができて嬉しかったな。
いつかきっと会えるんだろうな。
えーうそうそ本当?8個下の子が私に実際会って大丈夫なのかなぁー(汗)
ってゆーか、仁さんて私と付き合う気?っていうか付き合ってる気??あるのかな???
ハッ!ってか彼女いないの!?






私はふと彼の写真を思い出した。
好みじゃないわ、とは言ったものの流石に美形の方だろうと思ったし、
頭もいいし会話も上手でやんわり肉食系。
これで彼女がいないっていうのもなんだかあり得ないようなあり得るような………。
ま、全てはタイミングなんですけどね。







よ、よぉーし。
聞いてやれ!






『仁さん、こんにちは♪』

『メイサさん、こんにちは!』

『今日は何してるの?』

『勉強していたよ。明後日まで試験期間だからね』

『そっかぁ。大変そうだね。お疲れ様』

『ありがとう!』








な、何をどうでもいい話がしてんねーん!!
き、きかんと!!







『えっとー、実は聞きたいことがあるんだけどー、いいかしら?』

『もちろん』

『仁さんは、今、彼女はいるの?』








ピロリン






『NO』







ぃよぉーーーーし!!!

心の中でガッツポーズをしているなど、仁さんは知るよしもないだろう(て言うか知らないでいてお願い)。








『そっか♪そういえば今日はバレンタインだね』←すぐ話変えた

『そうだね。』

『日本人はチョコあげるけど、あなたの国でも何かするの?』

『勿論。恋人同士で食事したりプレゼントあげたりするよ』

『へぇー、同じだね』

『メイサさん、僕の義理チョコは?(笑)』

『仁さん、義理チョコの意味間違ってない?(笑)好きな人にあげるのは本命チョコって言うんだよ』

『僕、もらえるの?』

『仁さんにだけあげるよ』








嬉しい、と可愛い返事が返ってきた。
と、思ったらもう一報続けてメッセージが届いた。







『メイサさんは何が欲しい?』

『え?私も何かもらっていいの?』

『もちろん』

『うーん何がいいかなぁ。何ならくれる?』

『なんでもいいよ』








うーん、と私は考え込んでしまった。
バレンタインと言えばチョコレート以外思いつかないティピカルジャパニーズなのだ。
しかも男子からもらうの?お花とか欲しいけど、そういうのでいいのか?
しばし悩んだ挙句、私は『仁さんのあげたいものでいいよ』と答えた。
仁はすぐに返事をくれた。









『じゃぁ、メイサさんが欲しいものをあげる』

『仁さん、私が欲しいものわかるの?』

『うん』

『どうして?どうやって知ったの?イチゴか人参?(笑)』

『違うよ(笑)』









仁さんはどこか楽しげに返信してきた。







『1.昨日メイサさんは僕のことを好きって言った。
2. 今日僕に彼女がいるか聞いた。
以上の事からメイサさんが僕から欲しいものはある言葉だと推測しています』







(OvO)









『いい読みね』

『間違ってる?』

『ううん、合ってるよ』

『:)』







そそそそれは
あの、その、何か言ってくれるんでしょうか?
その、確定的な言葉というかなんと言うかその……








『何を言ってくれるのかな~、楽しみだな♪』

『今言って欲しい?』

『えー、気になるけど。仁さんは今言いたくないの?』

『大事な事だから、メイサさんにとって、会って聞いたほうがいいんじゃないかと思ってる』







大事なことですと







『そうだね♪じゃぁその時まで待ってる♪』

『うん。楽しみにしてて :)』







ちょちょちょちょっと~!!
それってもうあれ、こここコケーッコッコこくはモゴモゴに決まってるんじゃないのー!?
ていうか、前回のはそれに含まれないのかしらん???



ここで少し触れておきたいのが、仁さんのバックグラウンドだ。
仁さんは生粋の何処かの国の人なのだが、お父さんの所有していた本をきっかけに日本に興味を持った。
そのまま日本について学ぶうちにどんどんと興味が増していき、日本人の友達を作ったり日本の会社でインターンシップをする程になった。
完璧というには程遠いものの流暢と言える日本語力はひとえに彼の独学の成果で、
いまでは定期的に日本を訪れるほどの親日家である。

そんな彼なので、日本文化について学んだり取り入れるのが大好き。
いつかした彼との会話では、『僕の国と日本はとても似ていて、だけど違うところは日本の方がちゃんとしていると思う』
『例えば日本人は告白をするけど僕らはしない。日本人の方がわかりやすくていいと思う』
と、のたもうていたのだ。






私は頬杖をついて彼の言葉を思い出していた。





するってーとアレだな。
やっぱちゃんとした話をしたいっていうのは、そーゆーことなんだな。
その姿勢も、どこか日本人ぽいというか、細やかな感じがするわね。






『ところで』





不意に仁さんが切り出した。





『メイサさんはどんな物をくれるのかな』

『え?チョコレートじゃないの?』

『バレンタインだからチョコレートもいいけど、実際に僕がメイサさんから欲しいものは、それじゃない』







(°_°)






『え、じゃぁ、なーに?』

『メイサさんからしかもらえない物で、甘いものがいいな』







あ ま い も の ?






それってつまり。。。







ポチポチポチ







『なるほど。
じゃ、私はチョコレートで出来た口紅を探した方がいいってことかしら?』







ピロリン






『:)』






さすがだね、と仁さんは続けた。








『メイサさんは僕のこと、本当によくわかってるね』

『私は仁さんの先生だからね』

『メイサ先生はいつも、素晴らしいレッスンをしてくれるね』

『もちろん』

『次はどんなレッスンを受けられるのかな?』







ポチポチポチ








『次のレッスンは、いかにして唇の上のチョコレートを上手に食べるか、よ』







ピロリン







『先生……先生となら、上手くやれる自信があります。
でも僕はスローラーナーなので、たっぷり時間をかける必要があると思います







矛盾しています








『仁くん、先生のチョコレートを食べ切るつもりですか?』

『勿論です。さもなければ、チョコレートが無駄になりますから』







私は思わず吹き出した。
フザケ切った一連の流れも面白かったが、彼のちょいちょい挟んでくるロジカルな言い訳がまた面白かった。
『大事なこと』の全貌はわからなかったが、だいたいの目星はついた。
ひと月以上になるという日本旅行が終わった後で、まぁいつか会えるのだろうと思った。
その時にその『大事なこと』を教えてもらい、直接会ってビールでも飲みながら
こんなおフザケが出来るのかなと思ったら、とても楽しみだった。



そしてこんな風に、仁さんのアプローチは少しずつ変わっていった。






続きます。