9月14日 BIZ++SUNDAY
イケアは世界26か国に展開し国内でも店舗を拡大している。
イケア・ジャパン社長 ピーター・リストさん(45)は
イギリスやオーストラリアで販売や人事の責任者を務めた。
今年4月 イケア・ジャパンの社長に就任した。
(イケア・ジャパン ピーター・リスト社長)
「日本に住んで働くことが夢だった。
私は小さいころ鉄腕アトムが大好きでアトムと同じ髪形をしていた。
日本に夢中だった。
日本で働くチャンスが回ってきたときうれしくて飛び上がった。」
9月からリストさんが導入したのが全パートタイム従業員の正社員化。
狙いは従業員のやる気を引き出すことで業績を拡大することである。
(イケア・ジャパン ピーター・リスト社長)
「9月1日から全従業員に平等な賃金体系と福利厚生を提供する。」
全国8店舗で働く3,400人のうち7割がパートの従業員。
時給を正社員と同じ水準に引き上げ福利厚生も同じにする。
イケアのこの大胆な改革。
かかる費用は少なくとも年間7億円にのぼる。
(ピーター・リスト社長)
「正社員化にコストがかかるのは分かるがこれは投資なのだ。
従業員成長に投資すればビジネスの成功につながる。」
なぜ人への投資にこだわるのか。
そこにはイケア独自の経営哲学があった。
“あなたの成長こそがイケアの成長”
この哲学によって世界有数のグローバル企業に成長したのである。
(ピーター・リスト社長)
「ビジネスは人ともに育つ置いう信念がイケアの歴史にある。
私が世界で働き学んできたことは
仲間とともにに楽しみながら働き社会にも貢献していけば会社も成長するということだ。
私はそう強く信じている。」
リストさんが日本に来て驚いたことがある。
多くのパートの従業員が雇用の不安を抱えていたことである。
デフレが長引く中で日本の企業が人件費をコストとして削ってきた状況に一石を投じたいと考えた。
(ピーター・リスト社長)
「イケアに何を求めるのか。
たくさんのパート従業員に話を聞いてきた。
するとより質の高い仕事をするには雇用の保証がほしいと多くの従業員が言ってきた。
雇用に対する不安は従業員に悪影響を及ぼす。
正社員化はより良い毎日を送るための第一歩であり
仕事の質を上げることにつながるのだ。」
正社員化は今働く人に大きな変化をもたらしている。
10月から正社員になる宇山裕貴さん(23)。
自ら売り上げの目標を立てて働くようになった。
売れ行きの悪い商品は宇山さんのアイデアで使い方を詳しく書いてPR。
その結果この商品の売り上げは10倍にもなった。
(宇山裕貴さん)
「正社員がやっていた仕事をいま全部担っている状態。
仕事の量とか頑張りたいと思う。」
雇用のあり方に風穴を開ける今回の取り組み。
事業の拡大とともにその哲学を広めたいとしている。
(ピーター・リスト社長)
「日本人ほどよく働く人たちはいない。
驚くべきことだ。
熱心に働く彼らの姿にいつも影響を受けている。
2020年までに14店舗に拡大します。
イケアと共に成長したいと思う人。
そうした人材が必要なのです。」