1月18日 BIZ+SUNDAY
アメリカテキサス州ミッドラン。
シェールオイル開発に沸くこの町で異変が起きている。
オイルを生産するために掘削を続けてきたが1月に作業が止まった。
理由は原油安。
シェールオイルの生産コストは1バレルあたり60~70ドル。
50ドルを切るような現在の価格では利益がほとんど出ないため開発が滞っている。
(シェールオイル開発会社 スティーブ・プルエットCEO)
「先月は6基の掘削装置が稼働していた。
来月には1基だけになる。」
「非常に不幸な出来事だ。
アメリカのシェールなどの非在来型の石油ガス革命は劇的に鈍化するだろう。」
開発業者の中には原油安などの影響で経営破たんした企業もある。
シェール革命に沸くアメリカに大きな衝撃が走っている。
OPECで強い発言力を持つサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相。
減産を見送った理由はアメリカのシェールオイルに打撃を与えるためだとみられている。
(2012年3月 アメリカ オバマ大統領)
「ガソリン価格が中東情勢に左右されてはならない。
国内の原油生産を増やす。」
シェールオイルの開発に成功したアメリカ。
原油生産量は13%伸び
世界最大の産油国サウジアラビアに迫る勢いである。
去年12月 ヌアイミ大臣はシェールオイルへの警戒感をあらわにした。
「OPECが減産したらシェールオイルの生産者が我々のシェアを奪うだけだ」
原油安によってシェールに打撃を与える。
産油国としての地位を守る戦略である。
一方 原油安の影響はアメリカだけでなくOPECに加盟する産油国にも及んでいる。
特に大きな影響を受けているのが南米のベネズエラである。
ベネズエラは原油の輸出によって外貨を稼ぎ国を支えてきた。
しかし原油安によって経済が悪化。
生活必需品などが輸入できなくなっている。
スーパーの棚にはほとんど商品は無く
国民は食料の確保すら難しい状況である。
「市民のことをバカにして食糧は入ってこない。」
「コーヒー1パック買うために朝の5時から並んでいるのよ。
理不尽だわ。」
原油価格の下落は世界第2位の産油国ロシアにも波及。
通貨ルーブルは一時1ドル=80ルーブル台と半年で5割以上下落。
輸入品を中心に値上がりが進み人々の暮らしを圧迫している。
さらにロシアの混乱はヨーロッパ経済にも悪影響を与えている。
ロシアへの輸出が年間5兆円にのぼるドイツ。
バイエルン州の機械部品メーカーでは売り上げの12%をロシア関連が占めている。
ロシアの取引先企業の経営が急激に悪化したため資金の改修が出来ない事態に陥っている。
(機械部品メーカー ピーター・フェンクルCEO)
「ロシアの危機は弊社の事業に大きな影響を与えている。
それを補うため世界の他の市場に目を向けて機会を探す必要がある。」
世界経済に影響を及ぼしている原油安。
産油国の危機が今後どこまで広がるのか
先行きは不透明である。