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排出大国の中国 進む温暖化対策

2015-12-21 07:30:00 | 報道/ニュース

12月2日 キャッチ!


中国の二酸化炭素の排出量は世界で最も多く
全世界の4分の1を占めている。
地球全体の温暖化対策を進めるうえで中国の協力が避けられないなか
COP21の初日に登場した習近平国家主席は演説で次のように発言した。
「中国はグローバルな気候変動対策に積極的に参加している。
 我々はこの約束を果たす自信と決心がある。」
これまで地球温暖化対策に後ろ向きだと批判されてきた中国が
なぜ積極的な姿勢を示すようになったのか。

中国東北部黒竜江省チチハルの朝は
大気汚染で200m先もかすんでよく見えない。
急速な経済発展に伴い各地で深刻化する大気汚染。
この問題が地球温暖化対策に対する政府の姿勢を大きく変えさせたと言われている。
中国政府を突き動かしたのは市民の厳しい目である。
北京市中心部に住む鄒毅さんは
2年前から毎朝出勤前にスマートフォンを使って目の前の高層ビルを撮影し
ネット上にアップしている。
その名も“一目瞭然”。
政府が発表する大気汚染物質の数値よりも
汚染状況を自分の目で確かめたいという市民が利用するようになり
多い日には50万人が閲覧するまでになった。
政府の対策に効果は現われているのが。
目を光らせる鄒さんの活動は政府に無言の圧力を与えている。
(鄒毅さん)
「大気汚染は改善されるべきです。
 さもないと家族の将来に悪影響が及びます。」
世間の注目を集めるようになると
鄒さんは政府系の団体から環境フォーラムにゲストとして呼ばれるようになった。
市民の不満の高まりを受けて習近平指導部は徹底した大気汚染対策に乗り出した。
石炭を多く使うエネルギー効率の悪い工場を次々と閉鎖。
さらに地方政府は汚染源となっている工場が排出基準を満たしているか
厳格に検査をするようになった。
北京市の環境部門は11月 抜き打ち検査を行う様子を初めてNHKに公開した。
(査察責任者)
「メディアを通じて問題点と査察の進展状況を社会に迅速に伝えていきます。」
この日は市内にある石炭を燃料とするボイラー施設を調べた。
二酸化硫黄や粉じんなどが排出基準を満たしているか
ひとつひとつチェックする。
そして大気汚染につながりかねない作業工程がないか
確認を進める。
(査察官)
「なぜ門を空けているのですか?」
「石炭を搬入するためです。」
「石炭を入れたら閉めなさい。
 ほこりを出さないことです。」
(ボイラー施設責任者)
「石炭燃料の管理体制など指摘された点を積極的に改善します。」
こうした対策の積み重ねにより
中国ではこれまで増え続けていた石炭の使用量が去年初めて減少に転じた。
大気汚染対策が二酸化炭素の排出抑制に結びついていると専門家は指摘する。
(国際天然資源保護協会 上級アドバイザー 楊富強氏)
「汚染の原因物質を減らすことは二酸化炭素の削減につながります。
 つまり根っこは同じなのです。
 二酸化炭素排出のピークは2025年よりも早くできるでしょう。」
しかし政府の思惑どうりにいっていない対策もある。
黒竜江省チチハルから高速道路で1時間のところにある穀倉地帯。
地元政府は大気汚染の原因の1つとなっている違法な野焼きの取り締まりに力を入れている。
しかし監視の目を盗んで夜間に野焼きをする農家が後を絶たない。
(農業従事者)
「逮捕や罰金があるから昼間にはやりません。」
野焼きをやめさせるため地元政府は
トウモロコシの茎などを燃料とするバイオマス火力発電所の建設を急いでいる。
稼働すれば年間12万トンの石炭を燃やさずに済むとうたい
農家に対価を払って燃料を集める作業も始まっていた。
しかし農家の人たちの長年の習慣を変えることが出来るかどうかは未知数である。
世界最大の二酸化炭素の排出国である中国。
多くの課題を抱えながらも大気汚染対策と連動する形で
二酸化炭素の排出を抑える取り組みが進みつつある。

 

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