1月13日 キャッチ!
韓国の番号制度は「住民登録番号」と呼ばれている。
日本のマイナンバーと違って番号は無作為ではなく生年月日などが含まれており
税金や年金はもとより医療や金融など
多くの個人情報と結び付けられている。
長い運用の中でメリットが拡大する一方
情報流出が起きるなど問題も起きている。
市役所の建物の外にATM似た機械が設置されている。
機械に住民登録番号を入力し
指紋で確認が取れると
24時間 365日
さまざまな公的な書類を受け取ることが出来る。
韓国で住民登録番号が導入されたのは1968年。
今では駅などの公共施設に設置された端末から
いつでも
住民票のほか60種類以上の公的な書類を取得することが可能である。
韓国での住民登録番号の導入には安全保障上の目的があったと言われている。
1968年に北朝鮮の特殊部隊がソウルに侵入して
大統領を襲撃しようとした事件が発生し
それを受けて韓国政府がスパイなどを見分けるために
より詳細な身元の証明が必要だと考えられた。
導入から約50年
行政サービスだけでなく
銀行口座の開設やクレジットカードの申請など民間にも活用されてきた。
今では人々の生活に欠かせない。
(市民)
「便利です。
身元証明書は必要ありません。」
「運転免許証にも“番号”が入っています。」
2000年ごろからスマートフォンやパソコンなどでインターネットを使って住民登録番号を使えば
所得証明など3000もの届け出を行うことができるようになった。
さらに住民登録番号を使ったインターネットでの納税サービスを2002年に導入。
確定申告が自宅のパソコンからわずかな操作でできるのと同時に
脱税防止に役立っているという。
(国税庁 担当者 チェ・ユンミンさん)
「税収を高めることができたり
納税者の来署数を減らすことで
職員の業務の軽減など様々な効果があらわれています。」
大変便利な制度だがメリットばかりではない。
インターネットの普及が進んだ2000年ごろから
韓国では繰り返しカード会社などから個人情報の流出事故が相次いでいる。
2014年1月
カード会社から人口の約3分の1にあたる1,500万人分の住民登録番号などの個人情報が流出した。
会社が契約するセキュリティー会社の社員が持ち出したのが原因だった。
こうして流出した情報の一部が
誰でも見られる状態でインターネット上にさらされていることもわかった。
サイトからファイルをダウンロードしてみると
6,000人を超える氏名と住民登録番号が掲載されていた。
サイトは中国やロシアのプロバイダーを介して転載が繰り返されているため
情報流出が止められない状態だという。
流出した情報は犯罪にも使われている。
被害にあった30代の女性。
ある日 捜査当局を名乗る男から電話があり
「あなたは犯罪に巻き込まれている。捜査に協力してほしい。」などと言われた。
相手を捜査当局と信じ込んだのは
自分の住民登録番号など個人情報を詳しく知っていたからである。
女性は捜査のためだと言われるまま
銀行預金の引き出しに必要なパスワードまで教えてしまう。
気付いたときには口座から約450万円が無くなっていた。
犯人はいまだにわからず
警察の捜査も進んでいない。
女性は再び同じような被害にあうのではと不安にかられている。
「国民番号で管理するなら個人の情報はしっかり守るべきです。
それが守れないならいっそのこと廃止すべきです。」
一度与えられた住民登録番号は基本的に変更できないということになっている。
しかし12月 韓国の憲法裁判所は
政府が住民登録番号の変更を認めていないのは憲法に違反しているとして
番号が流出したために犯罪の被害にあった人などを対象に
2018年から番号の変更を認めるように言い渡した。
一方で個人情報の流出事件で被害者の補償を求めて企業と争っている弁護士は
番号の変更だけでは根本の問題は解決されず
幅広く住民登録番号が利用されている現状を変えていかなければならないと言う。
(弁護士 キム・ギョンファンさん)
「住民登録番号で多くのサイトに入れるので
番号が盗まれれば情報が流出します。
そのため最近は“番号”の活用を縮小させ
目的の範囲を狭める傾向にあります。」