8月23日 国際報道2017
安定した経済成長を続けるシンガポール。
女性の社会進出に伴い
産後の女性たちの間で需要が広がっているサービスがある。
3か月前に2人目の子どもを出産した女性が利用していた宅配サービス。
配達されていたのは薬膳料理。
人口の大半を占める中国系の各家庭で
昔から産後の1か月間
母親のために用意されてきた料理である。
しかし核家族化が進み家事や育児など産後の負担が増加。
自身の栄養にまで気を配れないなか宅配料理が人気を集めている。
(サービス利用者)
「育児があるので自分の食事にまで気を遣えません。
このサービスは必要な栄養がとれて助かります。」
女性が利用する宅配サービスを行っているのが産婦人科病院。
産後の母親の回復を助ける料理を提供しようと
6年前に宅配サービスを始めた。
需要の拡大を受けて
7月に新たに取り入れたのが栄養価の高い日本のコメである。
(産婦人科病院 担当者 メガ・シュエンさん)
「食物繊維が多く炭水化物が少ないので
このコメは私たちの求めに合致しています。」
販売開始から1か月で評判は上々。
特に玄米が人気だという。
コメを納入している日本の企業も
宅配サービスは共働き世代を中心にさらに支持を集めると見て
シンガポールでの販売拡大に期待をしている。
(日本企業 担当者 山脇千加子さん)
「主産した母親が仕事に戻りやすいというサポートのひとつだと思うので
期待値は十分にありますし
売り上げはどんどん伸びていくだろうと予想しています。」
シンガポールでは昔ながらの産後の手助けもビジネスとして成長を見せている。
2年前にナニーの研修所を設立したのはシンガポールの会社。
英語でナニー(乳母)と呼ばれる中国系マレーシア人の女性たちを指導している。
彼女たちは研修後シンガポールの家庭に派遣され
生後間もない赤ちゃんの育児や家事を担当する。
この会社の顧客の多くはシンガポールに進出する外国企業の駐在員。
シンガポールに住む外国人は人口の3人に1人にのぼり
ナニーの需要が増えているという。
1か月あたりの利用者は立ち上げ当初と比べ11倍になった。
(ナニー派遣会社 アレン・センさん)
「想定より外国人の利用が伸びています。
産後の手伝いに親を呼び寄せづらい高所得者が多いのです。」
この会社では
海外の在住経験があり英語や日本語など外国語が出来る人を積極的に採用している。
(研修を受けたナニー)
「日本人の岡さんがシンガポールに来て
生まれてくる子どもを私がちゃんとすべて面倒を見ます。」
ナニーの派遣サービスを利用している藤田さん夫婦。
外資系企業の駐在員として働く夫の大介さんにともなって妻の満惠さんもシンガポールに移住。
7月に現地で長女措出産した。
派遣されたナニーは育児を24時間で対応。
食事の際にはショウガやニンニクなどを使った免疫力を高める料理を見栄さんに出してくれる。
さらに3人の子育て経験を生かした子育てのノウハウも藤田さんに伝授。
夫の大介さんは出張で家を留守にすることが多く
慣れない海外での初出産に不安があったという満惠さん。
費用は日本円で1か月24万円だが
サービスを利用することで心配が解消され
産後の体を休めることができると言う。
(ナニー利用者 藤田満惠さん)
「何かがもし起きたときに心配なこととか
夫が出張でシンガポールにいないということもあるので
24時間ナニーにいてもらえるとありがたい。」