9月4日 編集手帳
昭和天皇の五女、
清宮(すがのみや)さまは1959年3月に20歳を迎えた。
島津貴子さんである。
長兄の今の陛下の結婚が翌月に控えていた。
成人の記者会見で質問が出た。
今度は宮さまの番ですね。
「私が選んだ人を見ていただきます」。
ご自分で選ばれるのですね。
「もちろん」。
場は驚きに包まれたのだろう。
一問一答を報じた本紙の記事は(平然としておっしゃる)と、
括弧書きでその様子まで伝えている。
国民は新しい時代の風を島津さんの発言に感じた。
半世紀余りを経て、
秋篠宮家の長女眞子さまが、
大学時代の同級生の小室圭さんと婚約内定の記者会見に臨まれた。
「最初にひかれたのは太陽のような明るい笑顔であったと思います」
「将来を考えている方として両親に紹介致しました」。
会見でのお答えは、
まさにご自分でお相手を決められた経緯を物語る。
驚いた人はいまい。
誰もが自然な気持ちでつつがなき今後をお祈りしたことだろう。
括弧書きで様子を伝えるなら、
やはり(自然に)の表現がふさわしい。
「平然」と「自然」の間に皇室観や結婚観の変化がある。
成熟した時代の風を感じた方もあろう。