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経済危機のアルゼンチンで“局所的なバブル”?

2020-04-14 07:00:00 | 報道/ニュース

3月24日 NHKBS1「国際報道2020」


新型コロナウィルスの影響で世界的な景気後退が懸念されている。
ところが南米のアルゼンチンではいま局所的なバブルが起きている。
アルゼンチンというと
巨額の対外債務を抱えて
通貨はこの1年でドルに対して半値以下に暴落するなど
極めて厳しい経済状況のはずなのだが
何が起きているのか。

アルゼンチン中西部の都市メンドーサ。
3月初め 中南米で最大規模のワイン祭りが開かれた。
新型コロナウィルスの影響が懸念されるなか
世界各国から15万人の観光客が訪れた。
(ベルギーからの観光客)
「この祭りに来たくて南米旅行でメンドーサに立ち寄ることにしたんだ。」
国内のワインの80%を生産するメンドーサ。
15年ほど前からこの地で営業してきたワイナリーで聞かされたのは
景気の良い話ばかり。
特に海外への輸出が好調で
去年は前の年を15%も上回ったという。
(ワイナリーのオーナー)
「アルゼンチンワインには価格競争力がある。
 これは市場拡大に向けた大きな武器だ。」
輸出が急増している背景には
皮肉にも経済危機による通貨ペソの値下がりがある。
海外に安くて品質の良いワインを提供できると
業界団体も自信を深めている。
(アルゼンチンワイン生産連盟 サンチョ会長)
「ワインの輸出が伸びれば
 この国の経済成長に貢献できると思います。」
バブルに沸くのはワイン業界だけではない。
中西部ネウケン州のバカムエルタ地区。
5年前から本格的に採掘がはじまったシェールオイルの油田があり
それを目当てに人口が急増している。
真新しいホテルやカジノも建てられ
いたるところに“ここには未来がある”という看板も。
この油田の埋蔵量は世界有数の162億バレル。
今後10年間で年間2兆円を超える輸出が見込まれている。
石油の採掘現場に近い地域には
仕事を求めて多くの人が集まり街ができている。
今年に入って採掘現場に近い地域に移り住んだ労働者やその家族は
4千人にものぼる。
「石油関連の仕事につけて満足です。」
中心都市のアニェロには石油関連施設で働くエンジニアが集まっている。
平均年収は日本円で600万円ほど。
国内の最低賃金の30倍ほどになる。
アニェロで生まれ育ったフェラーダさん(21)。
去年 高校卒業後 石油会社に就職した。
月給は日本円で20万円余。
今年に入って新車も購入。
将来の夢はエンジニアになることだという。
(フェラーダさん)
「満足です。
 仕事して車が変えました。
 もっと昇進したいです。」
局所的なバブルともいえるこうした状況が
破綻寸前のアルゼンチンを救うことができるのが。
専門家は
外貨を稼いでもでもすぐに使い切ってしまう政府の体質を変えなければ
経済危機を脱するのは難しいと指摘している。
(石油エコノミスト モンタマタ氏)
「アルゼンチンの構造的な問題を解決するためには
 政府が長期的な視野で法を整備し
 負債問題を完全に片づけなければなりません。」

 

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