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フランス「香水の都」 伝統を次の世代に

2019-07-26 07:00:00 | 報道/ニュース

7月2日 BS1「国際報道2019」


「香水の都」として知られるフランス南東部のグラース。
世界中から多くの観光客が訪れる。
お目当てはここで生産される香水である。
花農家のカロナ・ビアンカラナさん(52)。
20年ほど前に勤めていた銀行を辞め
100年近く続く実家の花農家を継いだ。
香水の原料となる花を栽培している。
(花農家 ビアンカラナさん)
「グラースには素晴らしい花が数多くあります。
 特にバラはアルプスと地中海の間にある大自然の土が育んできました。」
グラースで香水作りが始まったのは16世紀。
バラの花びらなどから天然の香料を抽出し調合する昔ながらの製法が今も受け継がれている。
100ミリリットルを作るのに280本ものバラの花を使い
はなやかで豊かな香りを生み出している。
しかしそんな伝統の香水作りは次第に
化学物質で作る安い香水や他の産地との競争にさらされ
衰退の道をたどってくる。
全盛期の1950年代に1500ヘクタール余あった農地は
現在では30分の1近くまで減ってしまった。
この地が育んできた香りを絶やしてはならない。
ビアンカラナさんは花の栽培方法から見直し
品質を上げる努力を積み重ねてきた。
農薬を使わず
自然の営みを利用した花づくりを徹底し
新たに高級ブランドとの契約も勝ち取った。
(花農家 ビアンカラナさん)
「素晴らしい花があるという確信があって畑を継ぎました。
 その価値を守り
 しっかり伝えなければという思いでした。」
そしていま最も力を入れているのが後継者の育成である。
10年ほど前から花農家を目指す若者を受け入れ
伝統的な香水作りの技を伝えてきた。
「収穫する際は花の生育をしっかり見極めること。」
教え子のひとり
アルノ―・シュミノさん(28)。
もともと貿易関連の仕事をしていたが
グラース近郊に移り住んだことをきっかけに香水作りに興味を持った。
(花農家を目指す シュミノさん)
「ビアンカラナさんが花の栽培の全てを教えてくれました。
 私は花作りと恋に落ちたのです。」
ビアンカラナさんたちのこうした取り組みをグラース市も後押ししている。
若い農家が土地を手に入れやすくするため
法律を改正し
農地利用以外の売買を禁止する保護区を大幅に拡大。
(グラース市職員)
「商業用だったこの地域の土地を農業用に変えました。」
保護区のうちおよそ70ヘクタールは香水用の農地に限定する異例の決断もした。
(グラース市長)
「土地が高騰し
 都市開発を求める声があるなかで法改正は簡単ではありませんでしたが
 市の将来を考え土地を守りたかったのです。」
いまシュミノさんは香水作りを学ぶ傍ら
畑の取得に向けて準備を進めている。
来年春から農家として独り立ちするためである。
(花農家を目指す シュミノさん)
「私はまだスタート地点に立っただけ。
 今後は他の産地に負けない良い花を育てたい。」
そして去年11月
市民が声を上げ町ぐるみで保存に取り組んできたグラースの香水作りは
ユネスコの無形文化遺産に登録された。
ビアンカラナさんのもとで育った若手はこれまでに30人以上。
無形文化遺産への登録をきっかけに希望者はさらに増えているという。
(花農家 ビアンカラナさん)
「グラースで生まれ育った人は昔から家族の誰かが香水産業に携わっています。
 香水は私たちのDNAに深く刻み込まれていて
 この伝統を後世に残していきたいです。」





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