日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

希望と不安が交錯する五輪

2021-07-19 18:58:11 | 編集手帳

2021年6月18日 読売新聞「編集手帳」


 メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」は、
天才科学者が作り出した醜悪な人造人間の悲しみを描く。
何度も映画化された。

中でも1994年公開の「フランケンシュタイン」は名優ロバート・デ・ニーロが人造人間役を演じ、
過去の映像作品には見られない“よくしゃべる怪物”が話題になった。
熱演シーンは数々あれど、
最近ちょくちょく思い出すセリフがある。
「おれには感情があるが、
 使い方を教わっていない」

東京五輪の代表選手が次々に決まっていく。
その報に接するたび、
心がふわっと浮き立ったかと思えば、
次の瞬間には心配がよぎる。

こんなオリンピックは過去になかった。
感情の使い方がよくわからず、
戸惑う人は多いことだろう。
そもそも五輪の期間中、
どんなふうに過ごせばいいのか想像がつかない。
感染症の広がりの程度にもよる。
先が見通せないなか、
希望と不安を交錯させながらスポーツの祭典を待つ状態にこの国はある。

今回の東京五輪で記録映画が作られていることをふと思った。
未曽有の苦しみと混迷のなかで祭典を待つ人々の感情も、
主題の一つになるだろう。

 


コメント    この記事についてブログを書く
« ドイツ 夫婦別姓導入から約3... | トップ | 台湾 ウミガメの島 プラゴミ... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

編集手帳」カテゴリの最新記事