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「孔子学院」めぐり欧州で警戒感広がる

2020-12-01 07:06:47 | 報道/ニュース

11月5日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


孔子学院は中国語などを教えるため中国政府が各国の大学などと協力して世界中に開設してきたものである。
しかし今ヨーロッパの教育現場では
影響力を強めようとする中国への警戒感が広がっている。

孔子学院の公式のホームページでは世界に500か所以上あるとしている。
そのうちの1つ
ベルギー東部リエージュ大学にある孔子学院。
現在は新型コロナウィルスの影響で一時的に閉鎖されているが
大学生だけでなく中高生や一般の人たちにも開放され
中国語のほか中国の料理や書道の講義が人気を集めてきた。
リエージュ大学 ウィナン副学長は
学生が中国についてより深く知ることができるようになったという。
(リエージュ大学 ウィナン副学長)
「孔子学院との協力により我々だけではできない授業が可能です。
 授業を受ける学生は増え続け
 大学以外からの要望もあります。」
一方でこの孔子学院についてアメリカ政府は“中国政府の宣伝機関だ”と指摘し
悪影響を与えるとして
アメリカ国内の全ての施設の閉鎖を求めている。
こうしたなかEUは2020年2月
中国を念頭に
“学術分野で外国から干渉がある”として各国に警告を発した。
この中で大学のセキュリティーを強化するよう提言している。
各地の大学では構内に設置された孔子学院への懸念が高まっている。
ベルギーの首都にあるブリュッセル自由大学。
2015年に孔子学院を設置し200人ほどの学生が中国について学んできたが
2020年7月わずか5年で閉鎖した。
孔子学院の開設に関わったブリュッセル自由大学 フラングビル教授。
中国のウイグル族などを研究しているが
孔子学院では中国政府に批判的なテーマは使えず
学問の自由が保障されていなしと感じている。
(ブリュッセル自由大学 フラングビル教授)
「中国の民族や台湾 香港などは研究者が普段から扱っているテーマですが
 孔子学院では扱うことができません。」
さらに個人の研究についても中国側から干渉を受けているように感じている。
(ブリュッセル自由大学 フラングビル教授)
「中国大使館の教育担当者が接触してくるのです。
 “食事しながらお近づきになりましょう”と。
 そして
 “あなたは中国を理解していない。
  思考・言動を正さなければならない”というのです。
 さらに彼らは私の同僚が中国に現地調査に行った際
 同僚を3日間拘束・尋問して私の研究内容を根堀葉堀聞くのです。
 これは言わば彼らからのメッセージなのです。」
こうした干渉の有無についてブリュッセルにある中国大使館への取材申し込みに
“これらの事実無根で先導的な言説は単なるでっち上げで憶測にすぎない”と回答した。
教育分野でも影響力を強める中国。
学問の自由をめぐって懸念が広がっている。

ヨーロッパの危機感はとても強いものがある。
去年にはブリュッセルの大学に設置された孔子学院のトップが
中国の情報機関と情報を共有したとしてスパイの容疑がかけられ
大学側は今年孔子学院を閉鎖した。
EUは2020年2月の文書をもとに各国で議論し
2020年中にも
外国からの干渉にどう対応するかガイドラインを打ち出したいとしている。
こうした動きを見てもEUの警戒感は相当なものと言える。
貿易の不均衡や
新型コロナウィルスをめぐる対応や偽情報
それに香港の国家安全維持法の問題などをめぐって
EUの中国不信はかつてないほど高まっている。
EUにとって遠いはずの南シナ海での中国の動きについても首脳者会議で言及することが増えていて
幅広い分野で中国を警戒している。
EUは中国を「システミック・ライバル(体制上のライバル)」とみているが
同時に「戦略的パートナー」だともみなしている。
たとえば地球温暖化対策では“中国の協力は欠かせない”としている。
新型コロナウィルスの感染拡大で経済が大きく落ち込んだ今
巨大市場を持つ中国の存在は極めて重要である。
不信感を高めている一方で
うまく協力していかなければならない。
EUには絶妙なかじ取りが求められることになる。



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