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ドイツ 夫婦別姓導入から約30年

2021-07-18 07:18:12 | 報道/ニュース

2021年6月17日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


近年 日本では
希望すれば結婚前の姓を名乗れる選択的夫婦別姓をめぐる議論が活発になっている。
その日本より先に夫婦別姓を議論の末導入したのがドイツである。
ドイツではかつて夫婦で同じ姓にするのが原則で
長い間 夫の姓を名乗るよう法律で定められていた。
特に旧西ドイツでは“男性は仕事 女性は家庭”という考え方が根強かった。
しかし女性の社会進出が進んだことなどから
90年代に入り別姓も認められるようになった。
夫婦別姓の選択肢が加わって約30年が経つドイツ。
その現状と実現までの道のりはー。

2005年に結婚したボワセルさんさん(49)と夫のブリンクマンさん(50)。
照明や空間を演出するデザイナーとして働いているボワセルさん。
キャリアを途切れさせないために夫婦別姓を選んだ。
(妻 ボワセルさん)
「突然 別の名前になることは想像できませんでした。
 キャリアを積み上げてきたのに
 認識してもらえなくなります。」
建築雑誌の編集者を務める夫のブリンクマンさんも自分の姓を変えるつもりはなく
夫婦で別の姓にすることはすんなり決まった。
子どもの姓については
長男が生まれた際ふたりで話し合い
妻の姓ボワセルにすることで一致した。
法律で兄弟の姓はそろえる決まりとなっているため
その後生まれた長女も妻の姓になった。
結果 父親だけ姓が異なるが
家族の一体感は変わらないという。 
(夫 ブリンクマンさん)
「子どもとの絆は姓で築かれるのではなく
 共に暮らし支え合って深まるのです。」
(長女)
「クラスには両親が別姓の子も同姓の子もいます。
 親の名前が1つでも2つでも大きな違いは感じません。」
ドイツではかつては結婚すれば夫の姓にするよう義務付けられていた。
そこから妻の姓
さらには別姓も選択できるようになるまでには
多くの人の訴えと社会での活発な議論があった。
声を上げたひとり
ジャーナリストで作家のクラムロートさん(66)。
同じくジャーナリストの夫と別姓が認められる前の1985年に結婚。
話し合いでは姓を決められず
硬貨を投げて妻の姓にそろえることにした。
すると家族や職場から強い反発があったという。
(妻 クラムロートさん)
「両親に『結婚がダメになる』と言われ
 夫は同僚から『妻の姓なんてありえない』と言われ
 無口になっていきました。」
思い悩む夫を見て
クラムロートさんは結婚式の直前になって自分の姓を諦めることにした。
その代わり
夫婦別姓を認めるよう訴えを起こしたのである。
さらに同じような不満を持つカップルと情報を共有し
支え合うための団体を設立。
積極的にメディアの取材に応じ
自らも現状を記事にし発信を続けた。
姓について合意できず結婚しないことにしたカップルなど
ドイツ各地から手紙が届いた。
次第に議会でも取り上げられるようになった。
(1990年 ボン連邦議会 緑の党 議員)
「女性はやりたいことがあっても男性のために断念し
 自分の姓を手放している。」
「名前はアイデンティティーの一部です。」
そして1991年
連邦憲法裁判所が既定の一部を違憲とする判断を示す。
その後法律が改正され
別姓を選ぶことが正式に認められるようになったのである。
(妻 クラムロートさん)
「裁判所の判断は画期的でした。
 女性は姓を選ぶ際に自分のアイデンティティーを表すことができるようになったのです。」

名前について調査を行なっている団体によると
別姓を選んだ夫婦は
1996年   8,5%
2016年 13,0%と徐々に増えている。
実はメルケル首相も夫婦別姓を選んだひとりである。
1998年 与党の幹事長を務めていた時期に
著名な科学者のザウアーさんと再婚したが
どちらも名字を変えなかった。
別姓を選んだ理由についてメルケル首相が公の場で語ったことはないが
地元メディアは
対等な夫婦関係のために別姓を選んだのではないかなどと推測している。
一方
夫の名字にそろえる夫婦の割合は
1996年 81,9%
2016年 73,8%。
8割を超えていた1996年に比べて減少しているものの
依然として最も多くなっている。
伝統的な家族観が今も根強い。
結婚した後の名字は選択肢は増えてはいるものの
子どものことを考えて
家族の一体感のためにひとつの名字が必要だと考える人は多く
その際
自分の名字が代々引き継がれていくことを重視する男性も多くいるという。
夫婦別姓を選んだブリンクマンさんも
子どもの名字を妻の名字ににしたと実家の両親に伝えたところがっかりされて
しばらく連絡を取り合えないほど険悪な関係になったという。
(ヨハネスグーテンベルク大学マインツ ロザー氏)
「ドイツでは今も夫の姓を選ぶことが当たり前な風潮があります。
 異なる決断をするのが難しいのです。」
専門家は
伝統的な家族観が変わるのには時間がかかるとする一方で
夫婦の名字の選択肢が増えたことで
家族の事情に合わせた解決策が見つけやすくなっているという。
ドイツに限らず海外では夫婦別姓が広く認められている。
日本の法務省によると
夫婦が同じ姓を名乗ることを義務付けられている国は
把握できている範囲で
世界で日本だけだという。
その日本でもこのところ議論が盛んになっていて
夫婦の名字のあり方が今後どうなっていくのか
注視していきたい。

 


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