8月末から9月にかけて、3週間ほどチュニジア・トルコ・イタリア3か国周遊の旅に出ていた。翻訳者という職業柄、語学力を錆びつかせないための自己研修という意味合いも大きかったが、基本的に今回の旅のテーマは「猫と酒」だった。
チュニジアではチュニスを拠点にし、カルタゴ遺跡や北西のアルジェリア国境の町タバルカにもちらっと行ってみた。トルコはイスタンブルのみ。イタリアでは、フィレンツェで友人たちと会ったりしてのんびり過ごしてから、南部バジリカータ州のマテーラ・アリアーノ・ポテンツァを巡った。もう全然若くない身で、しかも人より疲れやすいへなへな体質なのに、重いスーツケースを引きずって短期間であちこち移動するのはとっても大変だった…今後は一度に2か国までに抑えようと思う。
というわけで、これからしばらく、その旅行記を書いていく予定だ。今回は旅先で、毎日パソコンで備忘録をつけていたので、それを短くまとめて写真を添えればなんとかなるはず~
まあ、私のことだから、最後まで書けるかどうかは不明ですがね・・・
第1の目的地チュニスには、カタール航空で成田からドーハ経由で到着した。なぜカタール航空を選んだかと言うと、サウジやUAE等による封鎖に苦しんでいるカタールを、特にカタール航空を応援したいと常々思っていたからだ。それに私はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラを深く愛しているので(猫と酒の次くらいに)、機内でアルジャジーラの生中継が視聴できるかもしれないと期待したのだ。実際に乗ってみると、機内エンターテイメントにはアルジャジーラのアの字もなかったが。なぜなんだ、カタール~
成田を夜出発して翌日の早朝にドーハに着き、チュニス行きに乗り継いで昼頃には到着するはずだった。
ドーハ行きの機内でサービスしてくれた客室乗務員の若い日本人女性は、「こんなフレンドリーな日本人のアテンダントさんがこの世に存在したのか!」と驚愕するレベルで人懐っこく、食事をサービスする時も「チキンがすっごくおススメなんですよ~」などとアドバイスしてくれた。それに従ってチキンを選んだら、特に美味しくなかったわけだが、おそらく何を選んでも大差なかったと思われる。ドーハ発チュニス行きの機内で出たラム肉のデミグラスソース・ポテトピューレ添えは美味しかったが、他はどうもイマイチで、美味しい機内食を提供したい!という意気込みは感じられなかった。赤ワインもアルゼンチン産のテンプラニーリョ種のもので、質が高いとは言い難い。但し、リキュール類としてベイリーズが置いてあったのは評価したい。食後に氷を入れたベイリーズをデザート代わりに楽しむなんて、優雅じゃないですか?エコノミークラスの小さな楽しみ、それは酒なのだ。(個人的な意見です)
隣に座ったのは筋肉隆々のブラジル人の若者で、柔道の選手だと言っていた。せっかくの機会なので、アマゾンの森林火災について聞いてみたら、「あんなのは毎年起こっている。大げさに騒ぎすぎだ。フランスなどはアマゾンの地下にある金とかを狙っているんだ」とのことだった。バリバリのボルソナロ大統領派らしい。彼はトイレに立つ時、通路側に座った私を起こさず、軽々と座席を飛び越えて音もたてずに着地するという技を見せた。
機内食の写真は上手く撮れなかったので省略。メニューのみ載せておく。読みにくいかもしれないが。
11時間のフライトの後、ドーハに到着。
ドーハ・ハマド国際空港の名物、電気スタンドに突き刺さった黄色い大熊に再会
この熊をデザインした人は一体何を意図していたのか
空港のトイレ。使用済みのペーパーを入れるための容器と手動ウォッシュレット用のホース付き。こういうトイレを見ると、「ああ、中東に帰ってきた~」という感慨がわく。
ドーハでの待ち時間は5時間のはずだったが、チュニス行きの便の出発が「技術的な理由」で4時間遅れたので、合計9時間待つことになった。カタール航空のチュニス行きの便が遅れるのは日常茶飯事のようで、利用者のチュニジア人たちが(私以外の外国人は見当たらなかった)「いつも遅れるじゃないか!ちゃんと理由を説明せず、毎回初めは『30分遅れる』などと言っておいて、結局2時間以上遅れる!」等と抗議していた。ようやくゲートが開いて連絡バスに乗ってからも、さらに「10分待機」と係員に言われたため、乗客たちが激怒して、バスから降りて係員に食って掛かる人も出てきた。そこに警察が登場して、最も激しく抗議していた男性をどこかに連行しようとしたので、人々の怒りがマックスになって大騒ぎになった。それを見て、「おお~さすがチュニジア人、革命の国の人たちだ~」と感激し、スマホで写真を撮ったら、警察の人たちに「写真撮影は禁止だ。削除しなさい。携帯が取り上げられてもいいのか!」と怒られた・・・のでやむなく消した。しくしく。連行された男性はしばらくしてから戻ってきて、バスはようやく動き出した。
警官がバスから去った後に1枚だけ撮った写真。ベレー帽の人が警官。
そんなわけで、予定を超える長旅になり、チュニスに着いた時には、よれよれだった。しかし、宿を予約していなかったので、宿探しから始めなければいけないのだった。
(続く)
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