3月17日の日曜日、クルド人が新年・春の到来を祝う祭り「ネウロズ」に行ってきた。会場は去年と同じく、さいたま市秋ヶ瀬公園の三ツ池グランド。10時スタートとのことだったが、私たちが到着したのは13時近かったと思う。しかも、2時間ほどで帰ってしまった。だから主催者の日本クルド文化協会の事務局長の挨拶や、シリアのクルド人政治家の大物サーレハ・ムスリム氏(クルド民主統一党・PYDの元共同議長)のスカイプ中継等は見られなかった(心底残念)。でも、去年は着いた時にはもう終わっていたことを思えば(去年の記事はこちら)、間に合っただけでも良しとしよう。自分一人だときっと起きられないと思い、友人たちを誘って待ち合わせしたのが功を奏した。
行きはJR浦和駅西口から志木駅行きの国際興業バスに乗って「下大久保」というバス停で降りて歩いたが、帰りは桜区役所前からバスに乗って浦和駅に戻った。そちらの方が会場から近いと知人が教えてくれたからだ。というわけで、秋ヶ瀬公園の三ツ池グランドの最寄りのバス停は「桜区役所」のようですよ。
17日は天気が良くて暖かく、絶好のネウロズ日和だった。タクシーの運転手さんに道を聞いたり(嫌な顔一つせず親切に教えてくれた)、私たちと同様に道に迷ったクルド人の一家の車に遭遇したりしながら、ひたすら歩く。途中で猫を一匹見かけたが、写真に撮り損ねた(痛恨)。
クルドの民族音楽が大音響で響いていたので、その音源を目指して歩いたら会場にたどり着いた。
。
近づくと、楽しそうに踊っている人々が見えた。手を繋いで横並びになって踊る「ハライ(Halay)」と呼ばれている民俗舞踊だ。
動画も撮ったのだが、ブログへのアップの仕方がわからないのでなかったことにする。
もちろん男性も踊る。今回のネウロズの私のイチオシはこのイケメン2人組。(1人はサングラスのせいで顔がわからないが、イケメンだということにしておいて下さい) いい表情で伸び伸びと踊っていたし、全体的に群を抜いてあか抜けている。私がタレント事務所で働いていたら、すかさずスカウトしたところだ。
会場にいるクルド人の中には、家族が入管で収監されている人も少なからずいる。収監された家族がいなくても、仮放免という身分のため働けなかったり、日本語がよくわからないため子供が学校で苦労していたり、いじめられたりするケースもある。在日クルド人は苦労が絶えないのだ。だから、中には晴着を着ているにも関わらず、どこか寂しそうな気配を漂わせている人もいた。
十条のクルド料理店「メソポタミア」の料理人だったファーティマ(ファトマ)さんに遭遇
母娘でお揃いの花柄のドレス
この人の被り物は色とりどりの房飾りがついていて、興味深い
ちょっと退屈してそうなお姫様たち
倒木にのぼっている男の子にカメラを向けたら、ドヤ顔で目線をくれた
会場の片隅には、ネウロズに必須のケバブコーナーがあり、長蛇の列が出来ていた。飲み物はアイラン(塩味のヨーグルトドリンク)とコーラのみで、ビールはない。トルコ出身のクルド人には、お酒を嗜む人が少なくないが(特に男性)、この場はアルコール禁止のようだ。というわけで、持参したビールは帰り道で飲んだ。
スパイスたっぷりのお肉が、焼かれるのを待っている
ケバブを焼くのは男性の仕事
焼けたケバブは野菜と共に薄いパンに包まれる
並んでいる人数に対して、ケバブを焼くスピードが全然追いつかず、1時間近く待ってもまだまだ順番がやってこない状態だった(並んだのは友人たちで、私はウロウロさせてもらったが)。これは主催者側の来年の課題だろう。
前に並んでいた女の子たち。日本語ペラペラ
この青緑っぽい色のドレスは、レース部分が取り外せて、下の布地部分は洗濯機で洗えるらしい。毎年ドレスの洗濯のことが気になって質問する私。ドレスの値段を聞いたら、「千円」と言うので、「そんなに安いの??」と驚いたら、「5千円のもある」「いいやつは1万円くらいする」と言っていたが、きっと適当に答えたんだと思うので、詳細不明。
ネウロズの前日、クルド人向けの日本語教室に顔を出したら、大人の女性は誰も来てなくて、近くに住んでいて自力で来られる子供たちだけがいた。女性たちはドレスなどの準備をしていたらしい。ちなみに、ドレスが入るように、ネウロズ直前にダイエットをする女性もいるようだ。
ドレス姿の女性が多い中、普段着の人もちらほらいた。私がクルド人だったら、きっと普段着だったと思う。あるいは、家で寝ていたかも・・・
なかなかケバブにありつけそうにないので諦めて帰ることにしたが、お腹が減っていたので、バスで浦和駅に出てから蕨に向かった。目的地はクルド人が経営するハッピーケバブだ。ネウロズなんだし、牛丼やカレーを食べている場合じゃないだろう、クルド人が焼いたケバブを食べなきゃいかん!ということで意見が一致したのである。
久しぶりのハッピーケバブ。私たちをハッピーにしてくださいな
ハッピーケバブは、ネウロズに関係なく通常営業だった。トルコ系クルド人の男性が1人または2人連れでやってきて、ケバブを食べて帰っていく。聞こえてくるのはほぼトルコ語だ。日本人のお客もちらほら入るものの、全体として煮しめたような現地感が漂っている。
メニューはこちら。 全部は映ってませんが、心の目で見てください
ケバブ丼とケバブラップ。チャイはなんと100円
ケバブサンド。生ビールはアサヒで残念だったが、凍るくらいキンキンに冷やしてあって、細かい味の違いは分からなかったから良しとしよう
トルコの伸びるアイス、ドンドゥルマはガラスの器に入って出てきた。私は食べていないが、美味しそうだった。なぜアイスクリームがネバネバせねばならんのか解せないが
この日は日曜日だったので、ケバブはチキンではなく牛肉オンリーだった。この店では、日曜日は「牛肉ケバブの日」なのだ。牛肉のケバブを食べるのは数年ぶりだが、とても美味しく感じられた。友人たちもそう言っていた。ハッピーケバブは日曜日が狙い目ですぜ。
というわけで、「ネウロズ→ハッピーケバブ」というコースが私の定番になりつつある。とはいえ、来年はどうなるかわからないが。
(おまけ写真)
秋ヶ瀬公園で見つけたつくし。美味しそう。うちの実家では、つくしはきんぴら風に甘辛く炒めて食べる
(参考)
ネウロズを特集した記事:
彩の国 さいたまで“国なき民”と春の訪れを祝う
弾圧を逃れた人々が埼玉で開いた春祭り そこに今年も僕のお父さんはいなかった
https://www.buzzfeed.com/jp/sumirekotomita/saitama-kurd
(終わり)
2020年のネウロズの開催情報が知りたくて検索中に貴ブログにたどり着き、楽しく拝読させていただきました。
蕨に住んでいるので、ハッピーケバブには、何度か行きました。
以前、中国に住んでいたので、ウイグル自治区には、何度も行くウイグルマニアですが、中央アジア、中東などイスラム圏に興味があります。
これから順次、過去記事を拝読していきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
それでは、今後ともよろしくお願いいたします。