7月1日、京都みなみ会館にて鑑賞。昨年、キム・キドクの映画「弓」を鑑賞して、彼の作品に魅了され・・・・・。新作「絶対の愛」はぜひ鑑賞したいと思っていた。あまりにも恋人を愛するがゆえ、心が離れはしないか?という不安から、とった行為は何と“整形”である。ありえないようなストーリーに、キム・キドク監督の独創性を感じる。現実的な世界の中に不思議の世界を見る。そういう意味では「弓」も同じだと思った。
お話たがいを深くする若い恋人たち、セヒとジウ、付き合いはじめて二年になる。待ち合わせの喫茶店へセヒは整形外科から出てきた謎めいたサングラスとマスク姿の女性とぶつかる彼女の持っていたガクブチ入りの写真を壊してしまう姿を消す女セヒの手に不思議な女の写真が残った
ジウが少しでも他の女に気をとられるのが怖い嫉妬したくないけどだんだん時間が経つにつれ・・・・不安が襲うジウは私のこと、飽きているに違いないそんな不安から、またセヒはジウと言い争いとなる。とうとうその、ジウはセヒを抱けなかったが・・・・・。セヒが、「他の女の人を思い浮かべたら?」と言うと、突然彼女を激しく抱く事が出来たのだそのことはセヒに益々不安をもたらす。時が経つに連れて、かわり映えのない私の体やに飽きているのだと・・・・・。一方ジュウはそのセヒの不安も理解せず、彼女の愛だと思い、その極端な愛を強く肌で感じていた。
次の日から、セヒはジウの前から姿を消してしまう も繋がらない、まったくセヒを見つけることができないジウは、彼女を失ったことで、苦悩していた
その頃セヒは内緒で、整形手術を行っていた十分美しいから、手術をする必要がないという医者の助言も聞き入れず・・・・。彼女は新しいを手に入れた。なじむまでには六ヶ月かかるという。我慢するようにと・・・・。
セヒのことを諦めたジウは、その後何人かの女性と出会うも、肉体関係を持とうとすると、必ず見えない何かに邪魔をされる。例えばジュウが関わった相手が、誰かに脅かされたり、ホテルでの逢瀬の際、石がホテルの窓を突き破るということも
それからしばらくして、ジウはかってセヒと訪れた島へ・・・。のなかでジウは一人の女性と出会う。彼女は顔全体が覆われるほどの大きなサングラスにマスクをつけていた。そんな彼女だが、ジウは惹かれるものを感じる。多くの彫刻のある公園へ追いかけて行く。彼女はまるでそれを楽しんでいるようだ。やっと近づいたように思ったが、跡形も無く姿はなかった
ある日ジウはかってセヒとよく会った喫茶店で、魅力的なウェイトレスと出逢う。何と驚いた事に、彼女の名前はスェヒ。セヒと似た名前だ数日後、彫刻の島でスェヒと巡り会う次第に彼女に惹かれ始める。かってセヒと一緒に写真を撮ったように、スェヒとも同じようにを撮る。
ジウはスェヒを愛し始める。会って間もない二人はまるで、ぴったりののようだ。スェヒもジウの気持ちを受け、嬉しそうだ。しかし不安も・・・・。もしかしてセヒが戻ったら・・・・。ジウに聞くと、やはりセヒへの愛が消されないであるのか「わからない」と答える。二人で眠る夜求めていたものを手に入れたのか、失ったのか?分からず・・・一人泣きじゃくる
ジウの気持ちを確かめるために、セヒの名前でジウにを案の定、ジウはセヒの元へ戻るとスェヒに別れを告げるスェヒは怒り泣き叫び彼をののしったジウはそんなスェヒにうんざり出て行ってしまう。
その、再びジウはスェヒのを訪ねるが応答なく。暗い部屋の中でスェヒはセヒの写真を刻んでいた
ジウはセヒに会うため喫茶店に入ると、セヒの顔写真を仮面のようにかぶっている一人の女性がいた。仮面の隙間から、スェヒの顔がジウはすべてを理解した。島で会ったマスクの女性、そしてスェヒも本当はセヒだという事を。
セヒは告げた“時が怖かった、時が愛さえも変えてしまうから。顔を変えれば、時にあがなってずっと愛し合えると思った。いつまでも貴方に愛されたかっただけ”と・・・・。でもジウはショックと怒りで店を飛び出してしまう。彼を追うが、ジウは姿を消してしまうジウの一緒に行った場所、スェヒは探すが分からなかった
何とジウも整形を整形手術を受けた医者から、驚くべき事実をスェヒは聞かされる。セヒが受けたようにジウも整形したのだそれは復讐なのか数ヵ月後、まったく違う姿で、貴方の前に再び現れるだろうと言う。
それからのスェヒは彼を探し続ける。ジウがセヒを探したように・・・・。
スェヒ役・・・・ソン・ヒョナ
ジウ役・・・・ハ・ジョンウ
セヒ役・・・・パク・チョン
ウェイトレス役・・・・杉野希妃(ソ・ヨンファ)
まさかの「整形返し」?驚きの結末に、またまた驚き愛するがゆえの整形手術は、彼の気持ちを深く傷つけてしまう。そしてこのことで、大事な愛も無くしてしまい。それだけでなく、以後セヒもジウと同じ苦しみを味わうことになる。愛とは、一体なんぞや????
あり得ないほどに激しい究極の愛。それは人の世の深淵へと 驚くべきスピードで加速する怖いほどのセヒの愛は結局裏目に出てしまった。
キム・キドクの映画はデビューから「低予算かつ短時間」で制作しているそうだ。映画は、お金や時間をかけたらいいというものではないということが、確かに作品を観て、納得できる。でもこれだけのインパクトな作品を作るというのはやはり、キム・キドクの想像力なのだろう。単なるマスクや、写真等はこの映画によって変貌を遂げるわけだ。
※韓国では外見の美に対する意識や関心が高いようで、就職、結婚などでも外見が重視される傾向が強いようだ。美容整形の話題は、タブーではなく、現実的な日常の問題として、友人同士で普通に交わされているという。友人に整形をすすめたり、評判の良い病院を紹介しあうことも珍しくないようだ。