本年度最大の衝撃!
漆黒の闇を疾走する
戦慄のクライム・サスペンスの傑作、誕生。
連休最終の5月6日、「チェイサー」と「マックス・ペイン」を鑑賞してきました。
まず「チェイサー」。これは1日から上映開始となり、他のブロガーさんの記事を読んでいたもので、かなり注目していました。はっきり言って、後味が嫌だと思われる方にはあまりお勧めできない作品です。
何でもハリウッドでのリメイクが決まっているらしく、デカプリオとワーナー・ブラザースがそのリメイク権を獲得したとのこと。どうなんでしょうかね。この作品をリメイクしてどこまで観客に震撼させられるか?オリジナル韓国版がかなりの出来栄えが凄いだけに・・・・。
本国韓国では、2008年2月に登場したこの作品。年齢制限があるにも関わらず、口コミだけで瞬く間に動員数が500万人を突破!NO.1ヒットの座を掌中におさめ、韓国アカデミー賞(大鐘賞)、大韓民国映画大賞の主要部門も独占するという勢いだ。カンヌ国際映画祭から世界へ飛び火し、激しい争奪戦の末にデカプリオがその権利を取ったわけです。
実際に起きた連続殺人事件を下敷きにして作られたというのですから。脚色されているものとは言え、何か身震いしてしまいます。犯人の暗闇に隠された心理状態も、何故か?謎めいています。動機が分からない上に人をいとも簡単に殺害するその残虐さに、凍りつく恐ろしさを、観ながら感じました。
犯人ヨンミン(ハ・ジョンウ)
見覚えのある方、多いと思います。キム・キドク監督の作品、「絶対の愛」や「ブレス」に登場している今注目の若手俳優。今年公開の日韓合同作品「ノーボーイズ、ノークライ」で妻夫木聡とW主演を務める。あのマーティン・スコセッシも絶賛している。
今回の犯人役も、本当に憎たらしいほど、狂喜的で・・・・。もうもう何とかつかまって欲しい!!と叫びたくなるような気持ちにさせるんですね。まるでこの映画の中に、自分が同化している気分になるんですね。
追う男とともに、自分も一緒に探しているって気もします。不思議で、しかも不気味なシチュエーションがまたたまらなく凄いです。
追いかける男は元刑事。今はDERIHERUの元締め。そして追いかけられる男は正体不明だが、何やら行動が怪しいのだ。
こんな猟奇的な犯人が存在していることが空恐ろしい。ターゲットとなるのはDERIHERUの女性や、高齢者。考えると弱者が対象なわけだから、これまた酷いよね。
ところが、意外にも簡単に捕まることに・・・・。しかしそこがこの物語が思わぬ方向へと繋がっていくところ。ここがこの映画の見せどころかもしれないななんて思った。
また追いかける男の心理状態もかなり細かく表現されている。元刑事だった男ジュンホが最初は単に囚われた店の女性を探すということだけだったのが、彼女の子供と出会ったことで心が動かされ、何とか命を救うためにひとり、夜の街を走り続けるという姿だ。
思わぬ方向とは?そう全く思わぬ方向へと事態に。犯人ヨンミンは殺したことを認めた。複数の殺害をも認めている。しかし具体的な場所などは供述せず。ここがこのヨンミンの悪賢いところなのだろう。警察も確実な証拠を得ることなく、消えたDERUHERU女性、ミジンの車を手掛かりに捜索を始めるも。物的証拠は何も得られず。証拠不十分ということになり、ヨンミンは再び街に放たれる。
結局ジュンホただひとり、ヨンミンを追い続け、闘いを挑むことになる。
物語
DERIHERUの元締めをしている元刑事ジュンホのもとから、ふたりの女が相次いで失踪、二人目のジョンが乗っていた車がマポ地区マンフォン町の路上で発見。女たちの多額の手付金が渡してあることから、持ち逃げしたと思い、捜査を開始。車に残された携帯の着信履歴から、下4桁に見憶えある番号を見つける。調べると、今夜もその番号の客に風邪で休んでいるミジンを無理やりに派遣したばかりだった。女をURITOBASIてしまったのか?男の家に着いたら携帯メールで知らせるように指示する。同時にかっての先輩、イ刑事にも応援を頼むも、市長護衛でそれどころではなかった。
ミジンは坂道の迷路のような入り組んだ鬱蒼とした樹木に囲まれた一軒家に迎えられた。ジュンホにメールを送ろうとしたが圏外、玄関にはすでに鍵がかけられていた。男は一転して狂喜的な姿に変わる。遂に囚われてしまう。一撃を浴びせられようとした時、この家の本来の主、朴執事の身を案じる老夫婦が訪ねてきた。男はその夫婦も殺害、そして彼らの車を運転して外出。
ジュンホもミジンの携帯に連絡するが、圏外状態。付近を車で探し回る。そのとき車がある車に追突!その車に乗っていたのはあの男だった。男の服に付いている血に疑問を抱く。例の電話番号を試す。探していた相手だと確認。走って逃げる男を、追いかけ格闘の末捕まえる。
暴行容疑でジュンホ、ヨンミンが女性をURIとばしたと主張するも、彼は曖昧な供述を続ける。ところが「URITOBAしていない。殺しました」と答える。複数の殺害と、ミジンは生存していると。イ刑事はマポ地区殺人事件との関連を調べるためにヨンミンを本部へ連行する。
ジュンホはまだURIとばしたと疑っていた。警察に協力しつつ、独自の捜査を続ける。
ヨンミンの乗っていた車、車内にあった鍵束が手掛かり。車の持ち主老夫婦の住所を訪ね、外出先の教会を教えてもらう。仕事の弟分にはその周辺一帯を虱潰しに探して鍵の合う場所を見つけるように命ずる。
警察は焦っていた。逮捕状なしで捕まえた場合は12時間以内に検事の承認が得られなければならず、そのためには証拠が必要だった。殺害の詳細や人数の変更を語ったものの、死体遺棄場所や住所、動機は話さない。そのヨンミンは過去2度、証拠不十分で釈放されていることも判明。それだけに今回は何とか物証を挙げたいところ。
DNA採取のために、ミジンの自宅へ。そこには7歳の娘ウンジがいた。仕方なく娘を連れて捜索を続ける。
ヨンミンの本籍地アニャンを訪ねる。そこには姉夫婦がいたが、ヨンミンとは3年間も音信不通だという。ところが姉夫婦の子供を見て愕然!子供の頭にヨンミンに負わされた大きな傷跡があったのだ。
警察は見当違いの山中で遺体捜索する一方でジュンホは同業者に聞き込みをする。どうも他の店の女性の失踪にも関わっていた事実を知る。唯一の生存者ヒジョンによると、ヨンミンはSEITEKIFUNOUだったらしい。後日そのことで恐ろしい写真を送りつけ「殺す」と脅したらしい。おぞましい話をジュンホはうっかりウンジに聞かせてしまい、泣かれてしまう。
弟分が鍵の合う扉を見つけた。ジュンホが駆けつけると、そこは狭いアパートだった。住人の男は、刑務所でヨンミンと知りあい、一時同居していたと話す。部屋の壁の一面にヨンミンが描いた不気味な絵が残っていた。
ジュンホが車に戻るとウンジの姿が消えていた。母に似た女性を追いかけるうち、事故に遭遇したのだ。病院に駆け込み、保護者としてジュンホは署名。ミジン救出の決意を新たにする。
夜が明けた。拘留期限は正午。精神科医の力を借りて動機だけでも掴もうとするが、依然遺体の在り処は皆目分からない。そこへ飛び込んできたのが怒れるジュンホだ。警察は彼の暴力的な尋問を黙認する。
ヨンミンから聞き出した住所は、半年前まで働いていた採石場。現地へ行ったジュンホは騙されたと気づく。ミジンもいない、彼女の車の場所からは遠すぎる。
ミジンの生存の絶望視している警察はその意見を無視。それどころか、検事の横槍でヨンミンの釈放が決定。逆にジュンホはヨンミンの暴行容疑で逮捕。
ジュンホ役(キム・ユンソク)
連行される車から逃走し、ミジン捜しに急ぐジュンホ。一方命からがら脱出したミジンは近くの雑貨店に駆け込んで電話をかけいた。しかし警察やジュンホが到着するより先に、釈放されたヨン民がその店に立ち寄ることに・・・・。
ミジン(ソ・ヨンヒ)
果たしてミジンは助かるのか?ジュンホには、再び街に消えたヨンミンとの対決が残っていた。いよいよクライマックス。衝撃的な結末を迎えることに。
再びアジトに戻ったヨンミンです。スーツに着替え一体なにをするのか?
キム・キドクもどっきり?韓国新鋭の監督。
監督・脚本を手掛けたナ・ホンジン
監督来日インタビューはこちらです。
デビュー作にして韓国の映画賞を席巻し、すぐさまハリウッドでのリメイクも決定した驚異の新人ナ・ホンジン監督による衝撃のクライム・サスペンス。風俗店を経営する元刑事と連続猟奇殺人犯との緊迫の攻防を、巧妙な脚本とパワフルかつスピーディな演出でスリリングに描き出す。主演は「ヨコヅナ・マドンナ」のキム・ユンソクと「絶対の愛」のハ・ジョンウ、共演に「連理の枝」のソ・ヨンヒ。
メディア | 映画 |
上映時間 | 125分 |
製作国 | 韓国 |
公開情報 | 劇場公開(クロックワークス=アスミック・エース) |
初公開年月 | 2009/05/01 |
ジャンル | サスペンス/アクション/犯罪 |
映倫 | R-15 |
http://www.chaser-movie.com/
※この犯人はただものではありません。後味が悪いのが好みでない方にはお勧めできません。
そして何よりも坂道での追いかけ合いでのあの音楽。
一気に緊迫感が高められるとともに、スクリーンから完全に目が離せなくなってしまうあの効果には脱帽でした。
人の狂気、心の闇をここまでリアルに描き出した作品はあまりないと思います。
ハ・ジョンウの演技は、演技に見えないほど怖かったです。
トラックバックありがとうございました。(*^-^*
ホント、この犯人ただ者ではなかったですよね。。。
ハ・ジョンウはキム・ギドク監督の映画に出演したいた時は地味な感じがしたけど、
この作品では飄々と不気味な雰囲気で凄かったですね。
恐ろしい映画でした~衝撃的で・・あまりの救いのなさにドンヨリでした。
犯人の目的のはっきりしない残酷さが身震いするくらい怖かったですが、直接的な映像がなかったのだけが救いでした。
あの犯人の役者さん「ブレス」にも出てました?全然記憶にないです~
削除の件了解しました!
こちらこそこれからも宜しくお願いします♪
どういう訳か、当方からTBがうまく送れなくてすみません。
怖かったですね~!ハ・ジョンウは本当の殺人者みたいでした・・・!
これはリメイクしても本作に敵わないのでは、と思うほど凄い出来栄えでした。
韓国映画、恐るべし!という感じです。
こちらからは未送信になってしまってすみません。
コメントだけ残していきますね!
すごいパワーを秘めた韓国映画でしたよね。
ブロガーさんの間でも口コミで広がっている気がします。
実際の事件を基にしていますが、この事件で怒りを感じた監督さんの叫びみたいなものをガンガン感じました。
ハ・ジョンウと妻夫木クンの共演作も楽しみですね!
とにかく、これを見ないと!ということで、見ましたよ。
うん、怖かったけど、mezzotintさんに「怖いぞ!!」といわれていたので、腹くくっていきました。
すべてはハ・ジョンウに尽きましたね。
凄かった。
おとといと昨日と、渡辺謙の「刑事一代」を見入ってしまったのですが、三億円事件になって平塚刑事(渡辺謙)が「犯罪は人が起こすんだから、変わらない!」と言ったのに対して、若い刑事が「その人が変わったんです!」と言い放つシーンのとき、この映画を思い出しました。
得体のしれない、人物の恐ろしさを、じゅわっと感じましたわ。
日本映画ではお目にかかれない
圧倒的な暴力、絶望感など観る者に
衝撃を与えるほどの完成度に
驚くばかりです。
今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
日本は大変なことになっていますが、お怪我などされなかったですか?
そんな時にこんな映画ですが、地震の前に見たもので・・・
確かに「凍りつくような恐ろしさ」ですね。
久しぶりにぐったり疲れました。
「傑作」と呼ぶより、「とんでもない映画」と呼ぶのが合っているように思いました。