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東海テレビのドキュメンタリー『光と影 光市母子殺害事件 弁護団の300日』

2008-10-28 18:36:14 | ノンジャンル
 フジテレビで放送された東海テレビ制作のドキュメンタリー「光と影 光市母子殺害事件 弁護団の300日」を見ました。
 1999年に18才の男性が若い女性を強姦して殺害し、その女性の泣き叫ぶ幼子も絞殺したという事件。無期懲役刑が最高裁で差し戻され、広島高裁の差し戻し審で死刑判決が出た事件です。このドキュメンタリーでは、差し戻し審で被告人を弁護した弁護人たちの活動を中心に、その裁判で明らかにされた被告人の人となり、そして犯行の事実性が検証されていました。
 被害者に残された証拠から考えると、どうも最初から強姦目的で家に侵入したとは考えがたく、女性の悲鳴を押さえるために口に置かれていた手がずれて首を圧迫して殺してしまったこと、息子に関しては母を殺してしまったお詫びの意味で首につけたひもが皮膚をうっ血させ、結果としてひもが首をしめてしまい息子を死に至らしめてしまったことが分かってきます。また、被告人は父親のDVがひどく、首を吊って自殺した母の姿を12才の時に見た過去を持っていることが紹介されます。
 事件当日、被告人は水道の作業員として被害者宅を訪れ、仕事を終えて帰ろうとした時、テーブルの向こうにいた、幼い息子を抱いた被害者の姿を見て甘えたくなり、作業員という立場を忘れて被害者に抱きついてしまい、被害者を死に至らしめてしまった、という被告人の証言を、状況証拠から弁護団は真実の声なのではないかと確信するようになっていきます。
 したがって傷害致死だったのではないかというのが弁護人たちの主張になり、被告人の真実の声、検察と弁護団の戦い、そして世間からの被告人と弁護団へのバッシングの様子が描かれていきます。しかし、この番組で主張されているのは、事実誤認があったのではないか、ということだけではありません。それ以外で一番印象的だったのは、別の殺人事件の遺族が、死刑にならなかった被告人に対し、被害者の墓に参ってもらった上で被害者の分もこれから精一杯生きてほしいと語ったというエピソードを、弁護人の一人が、これから弁護士になることを目指す若者たちに語りかけるシーンです。死刑というのが復讐刑でしかなく、本当に命を尊重することとは矛盾するのではないかという問いを投げかけるシーンであったと思います。死刑の是非について、「寛容さ」「命の尊さ」という観点からもう一度考え直す時期に来ているような気がしますが、皆さんはどうお考えになるでしょうか?