マキノ雅弘監督の'62年作品『千姫と秀頼』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
「元和元年五月」「大阪城最後の日」の字幕。豊臣秀頼(中村錦之助)は、家康の意向により自分の妻となっていた家康の孫・千姫(美空ひばり)を、家康(東野英治郎)に命じられて千姫を助けに来た出羽守(平幹二郎)に託して、自害します。自分を愛してくれた秀頼のことを思い、以後も豊臣方の一人として生きて行くことを誓う千姫。「彦根城」の字幕。顔にひどいケガを負った出羽守は、江戸まで警護すると千姫に言いに来ます。山車を囲んで歌い踊る江戸の町人たち。「江戸城」の字幕。一旦は出羽守に千姫との婚姻を許した家康でしたが、土佐守(北竜二)の進言を取り入れ、千姫を政略結婚させることにし、邪魔な出羽守を殺すことにします。顔の半分に醜い傷痕を負った出羽守は、千姫を幸せにさせるという秀頼との約束を守るため、千姫の真意を聞こうと千姫とのお目通りを願いますが、但馬守(近衛十四郎)は必死に彼を制止します。酔って泣いている出羽守の元へ、輿入れ先の本田平八郎の元へ向かうはずの千姫の行列が、鉄砲隊を率いてわざと自分の元へ向かっているとの知らせが入り、侮辱されたと思った出羽守は、周囲の制止を振りきり邸外へと出、待ち伏せしていた鉄砲隊に射殺されます。千姫は出羽守の位牌を持ち、平八郎に対し、名ばかりの夫婦を通すことを宣言します。半年後、酒に溺れ労咳にかかった平八郎は死に、それを知らされた家康は、以後千姫の意思を尊重するように周囲の者に言い付けます。桜の季節となり、宴で舞っていた千姫の元に、以前豊臣の武将の生き残りがいることを通報して家康から褒美を賜ったという町人がまかり出ますが、千姫はその男をその場で斬って捨て、怒りと嘆きにまかせて、たまたまその場に居合わせた家康方の町人も家来に斬らせ、以降、豊臣の生き残りとして、家康と自分の父・秀忠を生涯困らせてやると宣言します。夫を殺された妻が半分正気を失って道を歩いているのを見て、千姫のことを罵る町人たち。千姫はそれからも家来を使って無実の町人を次々と殺め、やがてそれは家康の耳にも届き、土佐守は千姫を亡き者にしようと家康に進言しますが、但馬守がこれは千姫が家康を恨んでいることから生じた凶行なのだと家康に言うと、家康はならば千姫の気が済むまで待とうと言います。夫を殺された女は、千姫を暗殺せんと千姫の行列に乱入し、取り押さえられますが、千姫が女を自由にして自分を殺せと言うと、女は泣き崩れます。そこへ千姫を売女呼ばわりする男(高倉健)が乱入しますが、男は自ら刀を放り出して捕えられます。千姫太郎としか名乗ろうとしない男に対して、千姫は本名を言えと打ち据えますが、男は相変わらず売女呼ばわりを続けます。しかし千姫が、今でも持っている豊臣の紋の入った短刀を男に見せると、男は自分は豊臣方の武将の生き残りであることを明かし、千姫への無礼を詫びて千姫の短刀で自害します。泣き崩れる千姫。数日後、家康の前でなぎなたの舞を見せる千姫を見て、家康はやっとこの時が来たと御満悦でしたが、但馬守は千姫の殺気を感じて警戒します。家康に対して白刃を向ける千姫と、家康と千姫との間に立ちはだかる但馬守。千姫は心情を吐露しますが、結局家康を殺せない自分を認めます。そして出家した千姫は但馬守が見送る中、江戸を旅立つのでした。
全く期待していなかったのですが、出羽守がお目通りを願って進み出るところをカメラがズームアップしていくところや、町人を切り捨てた後の千姫を追うカメラのクレーン移動や横移動、また冒頭のシークエンスであの美空ひばりが見せる、なよなよとした身ぶりなどは、まさにマキノ映画ならではのものであり、高倉健の登場シーンにも後のマキノの任侠映画における彼の原型が見てとれました。ほとんど知られていない映画だと思いますが、見る価値は十分にあると思います。映画好きな方にはオススメです。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
「元和元年五月」「大阪城最後の日」の字幕。豊臣秀頼(中村錦之助)は、家康の意向により自分の妻となっていた家康の孫・千姫(美空ひばり)を、家康(東野英治郎)に命じられて千姫を助けに来た出羽守(平幹二郎)に託して、自害します。自分を愛してくれた秀頼のことを思い、以後も豊臣方の一人として生きて行くことを誓う千姫。「彦根城」の字幕。顔にひどいケガを負った出羽守は、江戸まで警護すると千姫に言いに来ます。山車を囲んで歌い踊る江戸の町人たち。「江戸城」の字幕。一旦は出羽守に千姫との婚姻を許した家康でしたが、土佐守(北竜二)の進言を取り入れ、千姫を政略結婚させることにし、邪魔な出羽守を殺すことにします。顔の半分に醜い傷痕を負った出羽守は、千姫を幸せにさせるという秀頼との約束を守るため、千姫の真意を聞こうと千姫とのお目通りを願いますが、但馬守(近衛十四郎)は必死に彼を制止します。酔って泣いている出羽守の元へ、輿入れ先の本田平八郎の元へ向かうはずの千姫の行列が、鉄砲隊を率いてわざと自分の元へ向かっているとの知らせが入り、侮辱されたと思った出羽守は、周囲の制止を振りきり邸外へと出、待ち伏せしていた鉄砲隊に射殺されます。千姫は出羽守の位牌を持ち、平八郎に対し、名ばかりの夫婦を通すことを宣言します。半年後、酒に溺れ労咳にかかった平八郎は死に、それを知らされた家康は、以後千姫の意思を尊重するように周囲の者に言い付けます。桜の季節となり、宴で舞っていた千姫の元に、以前豊臣の武将の生き残りがいることを通報して家康から褒美を賜ったという町人がまかり出ますが、千姫はその男をその場で斬って捨て、怒りと嘆きにまかせて、たまたまその場に居合わせた家康方の町人も家来に斬らせ、以降、豊臣の生き残りとして、家康と自分の父・秀忠を生涯困らせてやると宣言します。夫を殺された妻が半分正気を失って道を歩いているのを見て、千姫のことを罵る町人たち。千姫はそれからも家来を使って無実の町人を次々と殺め、やがてそれは家康の耳にも届き、土佐守は千姫を亡き者にしようと家康に進言しますが、但馬守がこれは千姫が家康を恨んでいることから生じた凶行なのだと家康に言うと、家康はならば千姫の気が済むまで待とうと言います。夫を殺された女は、千姫を暗殺せんと千姫の行列に乱入し、取り押さえられますが、千姫が女を自由にして自分を殺せと言うと、女は泣き崩れます。そこへ千姫を売女呼ばわりする男(高倉健)が乱入しますが、男は自ら刀を放り出して捕えられます。千姫太郎としか名乗ろうとしない男に対して、千姫は本名を言えと打ち据えますが、男は相変わらず売女呼ばわりを続けます。しかし千姫が、今でも持っている豊臣の紋の入った短刀を男に見せると、男は自分は豊臣方の武将の生き残りであることを明かし、千姫への無礼を詫びて千姫の短刀で自害します。泣き崩れる千姫。数日後、家康の前でなぎなたの舞を見せる千姫を見て、家康はやっとこの時が来たと御満悦でしたが、但馬守は千姫の殺気を感じて警戒します。家康に対して白刃を向ける千姫と、家康と千姫との間に立ちはだかる但馬守。千姫は心情を吐露しますが、結局家康を殺せない自分を認めます。そして出家した千姫は但馬守が見送る中、江戸を旅立つのでした。
全く期待していなかったのですが、出羽守がお目通りを願って進み出るところをカメラがズームアップしていくところや、町人を切り捨てた後の千姫を追うカメラのクレーン移動や横移動、また冒頭のシークエンスであの美空ひばりが見せる、なよなよとした身ぶりなどは、まさにマキノ映画ならではのものであり、高倉健の登場シーンにも後のマキノの任侠映画における彼の原型が見てとれました。ほとんど知られていない映画だと思いますが、見る価値は十分にあると思います。映画好きな方にはオススメです。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)