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熊切和嘉監督『私の男』その3

2017-06-14 16:31:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
  夜。テレビを消すハナ。帰宅するジュンゴ。「お帰り」「ただいま。何か作るか?」「うん」「大塩のおじさん、死んだぞ。冷蔵室に行くたびに顔を会わせてた」「私がやったの。だから」「どうして?」「父さん、死ぬ?」。ジュンゴのシャツのボタンを外すハナ。「貯めてたのか?」「後悔なんてしない。好きな人と別れたくない」。泣くハナ。
 大塩の葬式。「ここらで世話になってない人なかった」「若い頃はあれでもモテたから」「事故じゃないって?」「ここらに痣があって」。「すみません。遅くなりまして」とコマチ。
 波。屋根の雪。車中のハナ。運転席の窓をハナが拭くと流氷が見える。ジュンゴの肩に頭を預けるハナ。手を握り合う二人。
 進むタンカー。信号。電車。セミの声。散らかしっぱなしの室内。車で弁当を食べるジュンゴ。指の臭いをかいで「やべえ」。
 タクシーから降りるジュンゴ。女性事務員に「すいません。あの給料を早めにもらいたいんですが。娘の服を買いたくて」。上司「娘は何歳だ?」「十七」「君は?」「三十四、五」「イヒヒヒヒ、そうか、そういうことか」女性事務員「腐野さん、怖い顔してないで、ここにチャッチャと書いて」。ジュンゴの手を取り「年頃の娘って潔癖よ。(ジュンゴの指を手にして)臭うわよ」。
 ジュンゴの指を舐めるハナ。全裸の二人。
 寝転んで自分の指を舐めるジュンゴ。ノック。「はい」。強いノック。「はい、はい」。警官、私服で現れ、「ちょっといいかい」と上がり込む。「これ何?」「シチューです」「どうしてる?」「え? 俺すか? あれは学校すよ」「元気そうだ。コマっちゃんが教えてくれたんだよ。うまくやれてるか? あんた何で東京なんかに出たのさ? あのこはいつ戻る?」。警官、メガネを取り出し「豚のエサだ」。部屋のすぐそばを電車が通過。ジュンゴは警官に襲いかかり、最後は包丁で首をかっきって殺す。死体から広がる血だまり。
 ハナ「ただいま」。靴が多いのに気づく。ジュンゴ、台所にしゃがみこんでる。ハナもしゃがみこむ。
 夜祭。花火。死体に腰かけるハナ。ジュンゴ「腹減った」。笑うハナ。
 サラリーマン「嫌ですよ」「あの子ら派遣だから。隣の子も誘って4人てイメージ? お前、ウケがいいから」。
 受付の女性に「どうですか? 4人で」「どうせ食事はするんでしょ?」。
 飲み屋「俺が連れていくまで、こいつ立ち飲み屋に行ったことなかったの。親父は専務。こいつの魅力は権力です。自分で言ってみな」「言う? 言いますよ」。
店の外。「わかんないわね。結局一人一人別の世界で生きてるんですね。行きますよ」。
 ハナ、ネグリジェに着替える。「何してんの?」ジュンゴ「死ぬほど後悔してる」。
 夜の屋外。ハナ「絶対に悪くない。私だって悪くない」。泣くハナ。
 ハナ「ジュンゴってもともと親戚だったの。私は養子。いつも一緒。そういう人だから」。外でキスをした時の回想シーン。
 タクシーの中のハナとサラリーマン。サラリーマン「自由ってあるんですねえ。きっと見てたものが違うんです」。サラリーマンの肩に頭を預けて寝ているハナ。サラリーマン「あっ、停めてください。大丈夫?」「ただいま」「すいません。こんなに遅くまで」ジュンゴ「始発までうちに来いよ」。家に入ると、奥の部屋でハナのメガネを取って、服を脱ぐのを手伝うジュンゴ。「お休み」。「水」「すいません」。ジュンゴはソファに。サラリーマンは正座。ジュンゴ「アンザイさん、裸にならないか? 上だけでもいいんだよ。ちょっといいかな」「何ですか? 嫌ですよ。絶対嫌です。じゃあ、上だけですよ。(ジュンゴが脱がそうとするので)自分で脱ぎます」。アンザイの胸を触り、頭を置くジュンゴ。「あー、手を開け」。臭いをかぐジュンゴ。「やめろよ。何なんだよ」。手を洗うアンザイ。「よかったか? あいつの舐め方」「違いますよ」「もういいよ。帰れよ。お前には無理だよ。俺は親父になりたいだけだ」。眠るハナ。
 ハナ「小さい頃はあの人のことを何でも分かった。でも今は少しも分からなくなった。私たち、子供だったんんだ」。
 流氷の前に立つ二人。握り合う手。森の中を疾走する車。朝。海鳥。スローモーション。銀座の時計台。赤い傘を差して歩くジュンゴの後ろ姿。店に入り「いらっしゃいませ。お待ち合わせですか?」と言われるのを無視して店内に入り、ハナと若者のいるテーブルに座る。若者「それ、あしたの練習ですか?」ハナ「その恰好どうしたの?」。ジュンゴは正装。ジュンゴ「かわいくなったね」。ハナはドレス姿。「いなくなって3年か」。若者、注文する。「何か飲みますか? お父さん」「実感がわかないね」「最初はそんなものですよ」「お前には無理だ」ジュンゴはハナの足を自分の足でなでる。動揺しないハナ。スポットライトが当たり、二人だけになると、ハナは微笑み、映画は終わる。

 何とも官能的な映画でした。