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山田詠美『PAY DAY ! ! !』

2006-09-20 17:23:44 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は'03年の「PAY DAY!!!」です。第一章「Robin」、第二章「Harmony」、第三章「Robin」、第四章「Harmony」、第五章「Robin, and Harmony」、解説は豊崎由美さんです。
 黒人の父とイタリア系アメリカ人の母が離婚し、当時16歳の双児の兄ハーモニーと妹ロビンは、ハーモニーが父と一緒にニューヨークから南部のサウス・キャロライナの父の実家に住むことに、ロビンが母とニューヨークに残ることになります。父の実家には、湾岸戦争から帰還して以来一日中飲んだくれて、ポーチに座って庭をアライグマのラッキーが通り過ぎるのを見守るウィリアム伯父さん、信仰心の強い祖母、二人の逞しい従兄弟と共に暮らす生活は暑い気候を除けばささやかな幸せに満ちています。ハーモニーは中古車センターの経営者の妻である黒人のヴェロニカと恋仲になり、ロビンには父の実家にいる間にバーテンダーをやっている白人の恋人ができますが、ロビンがニューヨークに帰ってしばらくした9月11日、同時多発テロに会い、母を失います。ロビンは父の実家で暮らすことになり、それぞれの家族の間で様々なことが語られ、物語りが展開して行きます。最後はウィリアム伯父さんの女友だちのシャーリーンが旅立つところで、死んだと思っていたラッキーが、生きた姿で目の前に現れて、皆が狂喜し、ハーモニーは「今日は給料日だ(イッツ・ペイデイ)」と叫びます。給料日は喜びの象徴なのです。最後の文は「少なくとも、給料日には幸せになれる。そんな人生が、たった今、始まったばかりだ。」といいうもので、希望を残して、この小説は終わります。
 普通の家庭を描いた、なんて言うこともない小説なのかもしれませんが、かなりの長篇であり、同時多発テロを盛り込んでいる等、見様によっては大河小説と言えるかもしれません。
 限られたキャラクターで、これだけ内容豊富な小説というのもなかなか巡り会えないと思います。未読の方には、ぜひ読まれることをオススメします。

桐生操『世界史拷問処刑博物館』

2006-09-19 16:17:30 | ノンジャンル
 今日は、山田詠美さんが対談で名前を出していた桐生操さんの「世界史拷問処刑博物館」です。対談のどのような文脈で出てきたのかは忘れてしまいました。ちなみに桐生操というのは二人の女性のペンネームです。
 内容は、題名の通り、世界史に登場した様々な拷問、処刑の仕方を網羅しています。ちなみに帯に書いてあるものは、串刺し、鋸引き、親指ねじり、蛇責め、頭蓋骨粉砕器、鉄の処女、といったものです。鉄の処女というのは、以前明治大学の刑事博物館で実物を見たことがあり、鉄でできた人型の器のようなものの中に囚人を入れ、ふたをするのですが、その人型の内側には無数の槍がついていてふたを閉めると囚人の体を刺し貫くというもので、「これ、拷問じゃなくて死んじゃうじゃん」と思ったものでしたが、実際には、小さな部分ごとにふたが閉まるようになっていて、死なないようにふたを閉めていくのだそうです。
 あと、有名な処刑で、両足と両手を別々に4頭の牛や馬に繋ぎ、牛や馬に鞭をふるって人間の手足を引きちぎる四つ裂きの刑というのがありますが、フランスに残っている二つの記録では、どちらの場合も関節がはずれるだけで手足はちぎれず、結局ナイフで切り取ったとのことでした。
 と、ここまで読んで来て気分が悪くなってきた人がいるかもしれません。私は面白がって、「今こんな本を読んでいるんだぞう」と何人かの友人に見せたら、一人は表紙を見るのもいやだ、という感じで本に触れもせず、別の一人もパラパラと見ただけで、嫌な物に触れたかのように、私に返してきました。私は割にこういうのは大丈夫なのですが、だめな人もいるみたいですね。
 でもつい200年前まで、私たちの先祖は公開処刑を娯楽の一つとして見ていたのですよ。残虐なものを好む性向は、我々の中にまだ多分に残っているに違いありません。それが戦争に結びつかないことを、今後も祈ろうと思います。

山田詠美&小林丸人『巴里製皮膚菓子』

2006-09-18 16:29:27 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は、'01年12月発行の「巴里製皮膚菓子」です。
 カバーが透明なプラスチックで何やらジャン・コクトー風の線が書きなぐられています。本は外国本のように左に開いていくようになっていて、ページに使われている紙も写真集などに使われる厚い紙が使用されています。
 本の題名の次のページは、黒い地にいきなり白でフランス語「君は彼女(彼)が好き?」「私はそうは思わない、しかし~」というおしゃれなページで始まり、次のページは白地に淡い黒で目次が書かれていて、章の題名はすべてフランスの男性の名前です。次のページは壁の落書きの写真、次のページは、左のページが題名(フランスの男の名前)が黒い地に浮き出ていて、右のページが詠美さんの散文詩。詩は苦手なのでまったく意味不明。「死と隣り合わせになるほどの愛情は、私を素通りして、パリの街を泳ぐ。」「その視線からしたたる雫に溺れかけた人々がいる。」私には理解できない文章です。
 次のページから若い男性の肉体を映した写真が続き、また左ページが黒い地に題名が浮き出ていて、右のページに詠美さんの散文詩。ということで、これは詠美さんの散文詩集と男性の肉体を映した写真集の合体した本なのでした。私は詩がほとんど理解不能なのに加えて、男性の肉体にも大して興味がないので、パラパラとめくって、ほんの10分かそこらで読み終わりました。これが人によっては2時間になり10時間になり、24時間になるような、そんな本だと思いました。
 興味をもたれた方、ぜひ実際に手に取ってご自分で判断してみてください。

山田詠美『姫君』

2006-09-17 17:28:20 | ノンジャンル
 今日の山田詠美作品は'01年の作品「姫君」です。「MUNU」「検温」「フィエスタ」「姫君」「シャンプー」の5編の短編と著者本人によるあとがき、文庫版あとがき、そして若くして芥川賞を受賞して話題になった金原ひとみさんが解説を書いています。
 私が特に面白かったのは「MENU」と「シャンプー」でした。
 「MENU」は、「母が首を吊ったのを見つけた時、ぼくが、まだ五歳だったのは幸せなことだ。」というショッキングな一文から始まり、この先どうなるのだろう、と思うのですが、その後彼は両親と兄と妹という家族構成の矢野家に引き取られ、幸せな日々を過ごして行きます。聖一兄はいち早く大人の世界へ行ってしまい、残された僕と妹の聖子の親愛なる日々が続いて行きます。僕の大学の友だちだった麻子は聖一兄と結ばれますが、これはできちゃった結婚で、麻子を力づくで自分のものにしたことのある私は良心の呵責に少し苛まれますが、聖子との楽しい日々は続くのでした。
 「シャンプー」は、離婚した父とともに暮らす娘の暮らしを描いたもので、ひょうひょうとした父のキャラクターが楽しめました。
 詠美さんはあとがきで、生と死にこだわって、これからも書いて行きたいと述べていますが、そうしたテーマを抜きにして楽しめる作品になっていると思います。
 まだ読んでいない方、オススメです。

aiko『彼女』

2006-09-16 17:12:06 | ノンジャンル
 aikoの最新アルバム「彼女」をようやく聞きました。8月23日発売のこのアルバム、初回限定版を手に入れようを思っていたのですが、発売初日に早々と売り切れになったとか。aikoの人気が落ちていないのは、いいニュースです。
 収録曲は全部で14曲。私にとってのベストは、シングルカットされた曲かもしれませんが、「キラキラ」と「雲は白リンゴは赤」でした。私は基本的にaikoの曲を聞く時、元気の出る曲、歌詞に出てくるカップルが幸せな状態にある曲を高く評価するのですが、その点でいくとアルバム「夏服」以降、そうした曲が減ってきていると思います。またメロディーラインも「夏服」で見せた、先を予想させない意外性に富んだメロディーから、次第に大人しくなってきている気がしますが、私の気のせいでしょうか?
 決して出来の悪いアルバムではありませんが、予想を上回る出来とは言えないように思いました。次回のアルバムに期待です。(ところで、TOKIOの国分太一と付き合っている、という噂はその後どうなったのでしょう? 知ってる方がいらっしゃったら教えて下さい。)